裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

31日

木曜日

ジャニーはご機嫌ななめ

大野! YOUこんな大事な時期に大麻で3Pって何〜!

※ラジオライフ原稿 NHK−BS『とことん! ルパン三世』出演

夢日記、恒例で。
黒須たまご、という黒いお菓子(ごまたまごみたいなものか)
が送られてきて、その由来とかについて語ってくれというので
調べる夢。調べていくと、戦前に活躍した須黒榮三という
喜劇俳優がいて、その実家の菓子屋が作ったもので、黒須という
名前は須黒を逆にしたものらしい。
須黒榮三の写真をGoogleで探すと映画のスチールが見つかり、
中年のチョビ髭をはやした親父さんだった。
ところで、今回の夏コミ同人誌は1960年代の少年マガジン
読物記事本なのだが、トラウマになっているのが、夢に関する記事。
「色のついたゆめを見る人は病気だといわれるが、健康な人でも、
色つきのゆめを見ることがある。だが、ゆめの色はとてもうすく、
そのうえ、色の種類もすくない。ゆめの一部分しか色がついて
いないのだ」
という記事を8歳の時に読み、私はそれまで毎日、総天然色の
夢を見ていたので(白黒の夢の方を見たことがない)、
ボクは病気なのだろうか? とおののいたものである。

朝8時起床。
オノとメールチェックなどで同人誌系のこと最終ツメ。
他にもいろいろ。
モヤモヤすることもあり、ウキウキすることもあり。
ま、これが日常。
9時朝食。梨四切れ、巨峰数粒。
アオマメの濃厚なスープ。

今夜は『とことん! ルパン三世』出演。
送られてきた資料用DVD2枚のうち、1枚はすぐに見て、
まだ未見の1枚があったので、見なくてはとデッキにかけたら、
何と中身が『味噌汁探検隊』という番組だった。
あわてて連絡したら、向うの手違いで、『味噌汁探検隊』からは
「ルパンが来たんだけど」
と連絡があったそうである。困った話なのだが、
『ルパン三世』と『味噌汁探検隊』のギャップに苦笑せざるを得ず。

NHKと言えばこないだの熱中夜話のヒーローソング、9月に地上波
での再放送が決定したそうな。地上波と聞くとやはり興奮度が違う。
どれくらい数字がとれるか。

知人のブログに、誰だかがと学会のことを利権集団とののしっていた、
とあって大笑い。オタクアミーゴスのことも昔、そう言っていた
連中がいた。よほど金に縁のない人物なのであろう。
一方で、今年のトンデモ本大賞本の翻訳者の日記も
ちょっと前に見たが、よほどいい人なのか、すごく勘違いしているのか
大変に受賞を喜んでいて、その日記についたコメントも
「おめでとうございます、素晴らしいことですね!」
などの連続で、ちょっと読んだときは頭がクラクラした。

昼は弁当使い、それからラジオライフ原稿。
たまたまこのあいだ、お義理で某古書店から買った本が
まさにこの連載のネタにぴったり、というものだった。
余裕もって11枚半、書き上げる。
書き上げて時間みると6時50分。
これから用意してNHKに行けばちょうどピッタリ、
という時間。あまりにスケジュール通りに仕事しているのに
我ながら感心。

タクシー使って渋谷へ。一旦事務所に行って郵便等の整理。
衣装を持ってNHK入り。
控室を見たら、私が一人楽屋なのに岡田斗司夫さんと氷川竜介さん
は相部屋。おかしいなと思って台本を確認したら(原稿書き
で忙しくてデータで送られたものに目を通してなかった)、
私が今回は最初から最後まで出ずっぱりのメインコメンテーターで、
岡田さんも氷川さんも後半からの登場なのだった。
これには驚くが、まあ読むにさほど難しいことはなし。

楽屋及びスタジオの外に用意されているお菓子類の量が
やはり長丁場番組だけに凄まじい。おまけに横山智佐さん
手作りのパンとか、地方から直にスタジオ入りした
松村邦洋さんのおみやげのお菓子などもある。
昔から、映画やテレビの撮影時にはとにかく、お菓子を
山のように用意するという慣習がある。かべす、という言葉が
あるくらいで、菓子(間食)、弁当(昼食)、寿司(夜食)と
全部食い物系である。現場というものはなべてイライラする
ことの多いもので、そういうときに空腹だと、そのイライラが
すぐ爆発する。それを押さえる工夫なのだろう。

ディレクターのYくんとちょっと話す。
あと、制作会社アマゾンの人たちとも。
加藤夏希ちゃんとは『ギララの逆襲』ばなし。
イタリアの映画祭に何と正式招待されたとか。
「でも、監督が次の撮影で行けないんで、あたしが代わりに
行ってきまーす」
と。いい子なのだが何故かカタカナが苦手で
“殺し屋ガーブ”を“殺し屋カープ”と読んでしまう。
里匠アナとは『とことん! あしたのジョー』以来か。
あのときは中川翔子が司会アシスタントだった。
時代は変わる。

岡田さんより登場が遅いのに早く入った氷川さんに挨拶、
松村さん、横山さんとも挨拶。この番組の趣向としては
コーナーが進むごとに一人ずつコメンテーターが増えていき、
最後は論客5人と司会2人の計7人がずらりとスタジオに
並ぶということになる。
里アナ、“最後は凄まじいことになるのではないか”と。

で、番組開始。“五ヱ門様の童貞を守る会”のことを
NHKではまずいかと思い“五ヱ門を守る会”にしたが、
あとで台本を読んでみたらちゃんと童貞を守る会って
書いてあった。

放映した作品は
『死の翼アルバトロス』
『五右衛門危機一髪』
『殺し屋ガーブと呼ばれた男』
『荒野に散ったコンバット・マグナム』
『とっつぁんの惚れた女』
『華麗なるチームプレイ作戦』
『さらば愛しきルパンよ』
の7本。最初、このチョイスを見て、なるほど、まあ
順当というか、誰が選んでもこうなるかな、という感じを
受けた。岡田さんが
「こういう出来のいい作品ばかり選んで放映すると、
セカンド・シーズン(ガーブのみサード・シーズン)
というのが出来のいいシーズンだったと誤解する視聴者が出てくる」
といみじくも言ったくらい。

スタジオの壁に、みんなが送ってきたルパンの似顔絵のFAXが
貼り付けられる。冒頭で加藤夏希ちゃんが持っていたFAXは
何とYくんの奥さんの筆、だとか。

松村さんと、『ガーブ』を見ながら雑談。
「サード・シーズンってアニメの出来としてはどうなんですかね」
と、松村さん。
「鈴木清順が脚本書いてたり、実はマニア人気は高いんだよね。
徹底したファミリー向けだったセカンドよりもファーストのムードに
近づけているし」
「でも、セカンドが155話続いたのに、サードはたった50話で
終ってしまうんですよね」
「ファーストに至っては打ち切りで半年、23話ですよ。マニア人気とか
評論家人気の作品ってのは実は広範な評価というのはつかめない。
通俗だとか低レベルだと識者たちに言われる作品が、
実は日本の娯楽を底で支えている」
「ボク、お笑いも実はそうだと思うんですけど、違いますか?」
「全く同感です。ノイジー・マイノリティの言うことを聞いた
とたん、芸人は大衆から乖離する。大衆の笑いを大事にするべきだと
思うんですよ」
……ルパン番組の裏でこんな話が出るとは。

最後、〆は(最終回だから当然とはいえ)宮崎駿の『さらば』。
私曰く、
「作画といい動きといい、構成といい、見るともう、何か圧倒的な
巨大さの前にひれ伏したくなるような気分になる。完璧と言っていい。
……“これ、ルパンなのか?”という疑問を除いては」
で、終った後の雑談で
「実は私は『アルバトロス』の方が好きですね」
と言ったら横山さんも“大同感!”と。

モンキー・パンチ先生からのFAXがあったり、井上真樹夫
さんの生電話があったり、ずいぶん豪華で。FAXが650通、
携帯メッセージは5000件を超えたという。後で控室でYくんが
「こんなに盛り上がるとはちょっと思いませんでしたよ!」
と、興奮気味で言っていた。
彼とはちょっと、今後の野望(笑)についても。

出演者同士も和気藹藹でメール交換しあったり。
私も長丁場の番組でもっとぐったりなるかと思ったがそんなことも
なく。これは、いつもこの手の番組には、番組のことをほとんど
知らないお笑いタレントやアイドルがいて、彼女らのことを
フォローしつつしゃべっているのだが(私の出演者としての価値は
そこにある、と以前某ディレクターに言われた)、今回は全員が
ルパンに詳しい出演者ばかりで、自分の言いたい事だけを
言っていればよかったため、であろう(そうすると出演意義が
なくなってしまうということにもなるが……)。
とはいえ、やはり反省点はあって、テーマとして考えていた
時代状況の中でのセカンド・シーズンということに関しては
舌足らずだった。

タクシー出してもらい、帰宅。クールダウンさせるために
蕎麦湯氷割で黄金波を三杯。また古いビデオなど見散らかしつつ、
同人誌作業のどたばたの報告受けつつ。
気がついたら3時半。

※写真は横山智佐さんと、全員写真、横山さん差し入れのパン。
「ルパンだからロー“ルパン”」の由。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa