裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

金曜日

加虐特捜隊

「怪獣をもっと痛めつけるんだ!」

※テレ東『給与明細』収録(一日中)

朝8時起床。
日記つけなどして、9時朝食。
母の室で、マンゴーとバナナ。
コーンスープ。

もう七月になると、みんな休み取って旅行とか行く
人多し。マイミクのみんなも旅行日記になっている
人が多い。読むとくやしいので一切無視。
仕事だ仕事だ仕事だ仕事だと自分に言い聞かせる。

ライアル・ワトソン死去の報。
69歳、早いなあ。
思い起こせば今から20年前、『生命潮流』を読んだ第一印象は
「カッコいい〜!」
であった。いや、トンデモであることは折紙に太鼓判押して
村長さんのお墨付があるくらいトンデモであったが、それでも何故か、
カッコよかったのである。
K子のアシスタントに来ていた若い子(『ペリカンロード』の
五十嵐浩一の義理の弟)に、ちょっと『生命潮流』の中の理論の
いくつかを話して聞かせたら、
「へえ〜! そうなんですかあ! 凄いなあ!」
と、完全にハマり、あまりに感動していたんで
「いや、これはヨタだと思う」
ととうとう言えなくて、そのままになってしまったことがあった。
あの時はすまなかった(笑)。

彼をトンデモ、と切って捨てるのは簡単であるが、
しかし、百匹目のサルにしろゆで卵の気絶(元ネタはクリーヴ・
バクスターだったっけ。初めて読んだときはしばらく床を転げ回って
爆笑した)にしろ、彼のホラ話には、何となく現在の科学が専門的知識を
有している人間だけの閉塞的業界になっている、という陥穽を
うまくついていた、という感じはした。
「知識は万人に解放されたものでなくてはいけない」
というのがワトソンの理念で、それは科学の立場ばかりでなく
オカルト(本来の語源は“隠されたもの”であり、やはり秘儀を
知っているものだけの選民的思想)にも向けられた。
“幸福の科学”にハマった景山民夫との対談の折、オカルト擁護の
人だからてっきり自分の信仰に理解を示してくれる筈、と思って対談を
セッティングしたであろう景山に、ワトソンが“幸福の科学の選民思想は
私の敵だ”とまで言いきって景山の説を論難したのに、それは
よく現れている。
“百匹目のサル”はウソばなしだからそれでおしまい、では
科学もオカルトも進歩しない。
なんでこんなアヤシゲな話があそこまで人口に膾炙したか、
そのエピソードの持つアヤシゲさの魅力を解明しないと、
本当に世の中の知識は解放されない、とは思う。
冥福をお祈りする。

12時には家を出ないといけない。
用事あたふたと片づけ、入浴したら、ちょっと苦しくなって、
ベッドで30分ほど寝る。大汗をかいていた。
疲れが蓄積されている感じ。

元気回復、30分遅れで家を出る。
渋谷仕事場、1時ちょっとすぎにテレ東『給与明細』スタッフ、
事務所に来る。今日はオノも体調悪くて休みで、ほとんど
整理整頓も出来なかったが、まあいいか。
尾崎ナナ、中村豪の二人も来て、事務所のビデオや本の量に驚いていた。
尾崎ナナのマネージャー、ちょっと斎藤工似の美形。

そこで2時から4時半くらいまでぶっ通しでしゃべり、
そこから移動して、今度は歌舞伎町のキャバクラ『LAPUTA』
で、キャバ嬢に囲まれながらエロ雑学を披露するという
いかにも深夜番組ぽい内容。
ま、『ラピュタ』の語源が実は……というようなところから
入っていって、次第に深くなる。
あまり危ない内容になると
「私、これ以上しゃべるとゴールデンからお誘いかからなく
なるから」
とやる。イヤ全くマジで危ない。
とはいえ、やはり私は深夜ワクの人間だな、とつくづく思う
くらいリラックスして次から次へとネタが出てくる。
虎の縞、虎の縞。
ここでも一時間以上、しゃべり倒す。
中村豪はさすがにいじりが上手い。

キャバクラ内部でこういう番組をやるというのは普通は店側が
許可を出さないそうだが、そこは『給与明細』がキャバクラ取材
をずっと前からやっていて顔が利くのと、そこの店長(かつては
カリスマスカウトマンだったそうな)が私の大ファンだという
ことで、特に許可が出たとのこと。
ここでの撮影が終って8時過ぎ、最後に歌舞伎町コマ劇場前で
ワンカット撮影だが、中村さんが
「ヤバいよ、ここでの撮影は……」
と、とにかく急いで済まそうとしていた。
組の縄張同士が複雑にからんでいるため、歩きながらなどの
撮影では必ずトラブルが起るという。
しかし外は暑い。まったく夏のようである。

終って、ロケバスで新中野まで送ってもらう。
結局、帰宅は8時半。拘束時間6時間半であった。
気圧低下で雨がぽつぽつ、眠くなってきてアクビ連発。
オノからメール、祥伝社『Zipper』の中の『ozipper(オジッパー)』
という連載に出演願えないかという依頼が来たとかで、
オノはマドに大丈夫かと心配されるほど身をよじって笑ったそうである。

サントクで鴨肉を買って、湯豆腐作り、金沢から送られた
氷酒『白山氷室』で。
ゲラ原稿いろいろひねくるが進まず。
困ったもの。
1時、就寝。

※写真は中村、尾崎、そして『LAPUTA』のキレイドコロと。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa