裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

水曜日

あの人はヒマ

 ヒマをもてあましている人のもとを訪ねてヒマな話を聞くインタビュー企画。朝7時半起床。雨の日だから眠たいのか、疲れているから眠たいのか。朝食8時、リンゴと目玉焼き。ブロッコリスープ。

 9時入浴。午前中いっぱいかかって『社会派くんがゆく!』号外原稿400字詰めにすると15枚くらいか。書き上げてさて、今日はあとは打ち合わせのみ、とノンキに思っていたらフィギュア王Sくんから電話。なんとこっちのミスで、前連載とそっくり同じネタを使った原稿を書いてしまった。ネタ帳から使用済みのものをカットするのを忘れていたせいだが、こっちもスケジュール狂いの大慌てのさなかでなければすぐ気がついたはずなのだ。しかもイラストはもう描きあがってしまっているので内容を差し替えるのでなく、このイラストを活かす形で書き換えなければならない。

 あわてて仕事場へタクシー飛ばし、そのイラストに準拠した形で焦点(テーマ)を変える。案外変更した故の、それまでこっちも思いつかなかった視点などが出てきて書いていて膝を打った。ケガの功名? などと喜んでいてはいかんが。これをメール、用心のためファックス。プリンターとファクシミリがどちらも紙詰まりを起こしイラだつこと。とはいえ、このアドレナリン放出のため、雨の日のダルさだの仕事したくなさだのは吹っ飛んだ。

 時間ぎりぎりでタクシーまた乗り込んで曙橋。駅の改札でロフトプラスワンの斉藤さんとカメラマンさんと落ち合う。15分遅れ。雨の中近くの喫茶店でインタビュー受ける。ロフトプラスワン10周年にあたって。まだ10年か、という気持ちもあるのだが、思えばイーターの地引さんが私をロフトに紹介したのだった。今思うと音楽業界が地盤の地引さんと私との接点は今も当時もそんなになかったはずで、それがいつの間にか唐沢と言えばロフト、みたいな抜き差しならぬ関係になってしまったのは不思議である。あれはなんだ、佐川一政さんつながりだったわけか。と、するとやはりあの人の存在は私には大きいな。そんなことを思うと、往事茫々として全て夢の如し、という感じ。

 40分ほどエラそうにしゃべる。質問の中にはなかったが、10年間の私のロフトの企画でのベスト3をあげるとすると、オタクアミーゴスは別格として
「平山亨『正義の味方』」
「湯浅憲明監督を偲ぶ会」
「異端立川流が語る・落語界に明日はあるか? 1&2」
 になるか。番外でベギラマ・まろん・声ちゃん揃えた『レトロエロ朗読会』。

 終わって写真撮影、もう一編曙橋駅に戻り、関口誠人さん待ち合わせに。改札出口で写真。それから斉藤さんとちょっと非合法な(いやいや)話などして別れ、関口さん伴って井上デザインへ。入ってタバコくわえた井上くん見た途端に関口さんが
「ア、うれしいなあ、ここタバコOKですか」
 と言った。少し送れてきた幻冬舎Yさん(とても可愛い)と井上くんと関口さんにどうイラストを描いてもらうかを打ち合わせ。見本で関口さんが描いてきた数点はそのまま採用となる。井上くんは他の関口さん描クのイラストもコピー取るような気に入り様。仕事回してもらえるよう頼んでおく。

 イラストも装丁も原稿ゲラアップも明木先生のあとがきもやたらタイトな〆切なのだが、Yさん(とても可愛い)に頼まれるとオトコどもはイヤと言えない。それから関口さん、Yさん(とても可愛い)と地下鉄で新宿まで。仕事場に戻る途中、やっていた西口広場古書市をちょっと覗いて数千円買い物。領収書を東文研でと頼んで、渡されたのを見たら、東文研の東の字の左側に縦線が入りかけて、“广”みたいになっていた。私の顔を見て“唐沢”と書きかけたのだろう。

 仕事場でゲラチェック。週刊プレイボーイとアサヒ芸能。アサ芸は出したあと電話が担当Kさんからあり、
「“村八分”という言葉が規定で使えないんですがどうしましょう」
 と。なら“仲間はずれ”に、と思ったが文字数キツキツで、きっちり三文字で置き換えないといけない。頭ひねった末に
「“シカト”にしましょう」
 と伝える。なんかあるものだな。

 さっきあってきたばかりの幻冬舎Yさん(とても可愛い)の方のゲラもチェックする。いろいろ手を加え書き換えてと思ったが、今夜渡し、というタイトさなのでひと項目削除しただけでほとんどあとは字句の修正にとどめる。不満ではあるが、Yさん(とても以下略)に
「すいません〜」
 と頼まれるとハイハイと答えてしまう。

 代理店からまた講演仕事。10月だが秋田・大曲での。7時15分、仕事場を出て九州居酒屋『九州』へ。TBS『奇跡特番(確率10000000分の1!? 世にも不思議な超偶然事件簿!! アレは奇跡? 奇跡じゃないってば!!)』打ち上げ。店長に挨拶される。体壊したか見違えるほど痩せた。

 皆神さん、六花マネ、Kプロの三人。Kプロデューサーによればこの特番、ほうこん(放送批評懇談会)主催の月刊ギャラクシー賞に選ばれたとか。企画立てる段階から協力した番組が受賞したのだから私としても嬉しい。もっとも皆神さんによると、以前某所でそのトンデモなさにツッコミを入れた『超時空ミステリー! 世紀の天才ダ・ヴィンチ 最大の謎と秘密の暗号』も受賞しているとか。

 次の特番は11月くらいになるそうだが、それと並んでアレもやりましょうコレもやりましょうと盛り上がる。途中で幻冬舎Yさん(とてもとてもとても)がゲラ受け取りにやってくる。手渡して、一緒にどうですかと言ったが、これから社に帰り、このチェック指定をチェックしますとのこと。仕事するねえ。

 焼酎二瓶、四人でほとんど空けたがかなり私だけ酔っぱらう。体がバテている証拠だろう。今日はちょっといろいろありすぎ。Kプロが心配して、タクシー乗るまで見送ってくれた。帰宅、11時半ころ。メール見て寝る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa