裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

水曜日

大岡フェチ前

 この証拠の下着は奉行が預かる。朝6時半起き。やった。とはいえ、体調必ずしも万全とは言えず。7時半までフトンの中でゴロゴロし、それからもぞもぞ起き出して朝食。キノコスープとチキン。つまり昨日と同じ。ゆうべの快楽亭のネタ、やっと思い出した。ケンペー居酒屋というやつ。ただし、まだオチが思い出せない。植木不等式氏よりメール。昨日もう一個披露したダジャレも是非、日記で紹介してくれとのこと。“ビーチクバレー”という奴。自身作らしい。なぜ俺の友達というのはこう変なのばかりなのか。

 早めに風呂とか入り、11時、歯医者。歯科技工師というのは、よくワイドショーでネタになる女性の過去の職業として聞くが、女性のつく職業としてのポピュラー度はどれくらいのものなのか。ここ(「神南デンタルオフィス」)の技工師の子は二十二、三の可愛い子だが、考えてみればうら若い女性に指を口の中に突っ込まれていろいろいじくられる、というのは、誰もが経験する異様な状況だよな。それから銀行に行って金を下ろし、パルコブックセンターで書評用の本を買って帰る。昼はアナゴ茶漬け。体調不十分だと、メシ食うのもなげやりになる。

 鶴岡から電話。芸人の○○が今年いっぱいで廃業する、という情報。もっとも、こいつの言うことだから信用できない。著作に関しての説教しばし。彼もそうだし、最近の若いライターの多くがそうだが、著者自身が読者と向き合いたがりすぎる傾向があるのではないか。パフォーマーならそれでいいが、モノカキというのは、やはり、あくまで“自分の書いたもの(著作)”を読者に向い合わせる職業なのだ。あまりに著書の中にダイレクトに自分を出しすぎる。それではタレント本と変わらない。しかもタレントとしては売れないタレントである。本が売れるわけもない。

 こないだからポチポチ読んでいる笹間良彦『好色艶語辞典』、ほぼ読み終る。著者は甲冑・武具の専門家で、この本は、そういう専門領域の研究のため、さまざまな資料を読み漁った中で、集まるともなく集まった、言わば余祿の産物らしい。巻末に、現代語編も収められているが、やはり大正生まれの人に現代語辞典を編ませてはいけません。正編の学識横溢ぶりとは比べ物にならない粗雑さ。ビニ本の説明など、あきらかにカン違いしている。パンパンの語源が中国語の「抱々」から、という説にはほう、という感じ。これまでは、昔、戦中派の某俳優さんから聞いた、進駐軍に遊廓の女性たちが、言葉がわからないので手を叩いてモーションをかけたことから、“パン パン・ガールズ”と呼ばれるようになった、という説を信じていたが、さて。

 4時、時間割にてナンプレ編集部K氏。別に用事もなく編集者に“会いたい”と言われるのは、たいてい連載打ち切りか、さもなければ雑誌消滅である。今回もそういうことか、と半ば覚悟して望んだが、確かにパズル雑誌がこのところのきなみ低迷でナンプレ誌もリニューアルすることになったが、カラサワさんの連載はなんとかウチで単行本化したいので、もう半年、続けてくださいと言われる。その単行本の刊行スケジュールの打ち合わせだった。世界文化社というところはクイズ・パズル本の老舗なので、ちょっとクイズ本のアイデアも出し、企画を売り込んでおく。

 時差ボケはかなり解消された。と、いうより、今回の睡眠不調は時差ボケなのではなく、単なる夏バテからくる神経症なのではないか、と思えてきた。マッサージに行き、揉んでもらう。うつぶせになると、何か息苦しい感じがして、何度も顔をあげて深呼吸する。首すじ、背中がかなり凝っているのはやはり神経の疲れだろう。いやに早く終わった気がしたが、気がつかないうちに眠ってしまったらしい。整体師のにィちゃんに、バテには夜たっぷり食べて、朝昼は軽くするのがいい、と教わる。

 家に帰り、夕食の支度。バテ回復に効果が抜群という古代ネギなるものを、湯豆腐に入れて食べる。あと、生麸のチンジャオロースー、秋鮭の塩焼。ビデオで第二次世界大戦時のアメリカの戦意昂揚アニメを見る。有名な『トーキョー・ジョーキョー』も入っている。スーパーマンの排日ものをまとめて見られたのはよかった。どれもこれも、日本人の描き方が笑える笑える。だいぶネタが拾えた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa