裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

水曜日

ハタ坊という名の電車

 テネシー・ウィリアムズだじょー。朝8時起き。朝食、ハモン・セラノを食パンにはさんでサンドイッチ。新聞のテレビ欄みたら、ルーマニアのナマズ漁りの番組がある。昨日食べたばかり、というのに驚く。西手新九郎、餞別のつもりか? 本日一日でやらねばならんことの多さにウンザリする。しかも、今日は朝から晴れているとはいえ、気圧いまだ不安定、午前中はほとんど仕事が手につかず、ネットで資料など探索するのに費やす。

 昼すぎあたりからようやく馬力かかりだす。まず光文社文庫解説をだだだとやって、原稿チェックと一緒にFAX。昼飯は乾燥ワカメをもどしてミソ汁だけ作り、塩ウニと岩ノリですます。また原稿にもどって4時まで。4時、一旦外出、時間割に行くがまだ編集来てないので、先に神南デンタルクリニックで、旅行中歯が痛んだときのためのトンプクを貰い、また戻る。エンターブレインNくん。対談集の打ち合わせ。その他、今後の出版予定などについても話す。以前某社で宙ぶらりんになった企画、こっちでひろってもらえないか、とスケベ根性を出して売り込む。そんなに仕事ふやしてどーするオッサン、と自分で思わないでもないが、どうも貧乏 症で仕方がない。

 なんだかんだで、もう来年の出版予定もかなり埋まってきた。年内に、朝日新聞社の手塚治虫評論本と、海拓舎の都市論本、それに二見の純文学(笑)書き下ろしの三冊はさんざ待たせた編集さんたちへの義理で死んでも出さねばならぬ。今年後半はこれらで忙殺の予定だが、しかしこのヨオロツパ旅行の後にも、長野だの京都だの神戸だの金沢だのへのツアー予定をどんどん入れている。私という男は仕事がつまった合間を縫ってのレジャーに燃える(と、書くと編集者各位が読んで怒るかもしれないから、レジャーの合間の仕事に燃える、と訂正する。あ、もっといけねえか)性格らしい。

 そう言えば、以前カクテルに凝った時期があったが、これも、寝たきりの祖母の看病にくたびれはてて、その合間にそっと抜け出してススキノのカクテルバーに飛び込むという、時間盗みの悦楽だった。時計を横目で眺めながらすするジンは無茶苦茶にうまかった。そのうち祖母が亡くなり、いつでもいける身分になった途端、とんと行く気がしなくなり、カクテルなどほとんど飲まなくなってしまった。どこかに罪悪感や逃避がないと、酒や旅行などというのは楽しくないのかも知れない。

 打ち合わせ中にひと雨あったようだが、うまい具合に濡れずにすむ。パルコブックセンターに図版資料探しに行くが、見つからず。私の本、『古本マニア雑学ノート』は文庫の棚にまだ平積みだが、『トンデモ一行知識の逆襲』はサブカルエッセイの棚に一冊あるだけで、平積みにもされておらず。ここは最近、私の本を粗略に扱うようである。営業さん、そこのところひとつなにとぞ。

 帰って、以前から送らなくてはと思いつつ、メンドくさくて放ったらかしになっていた、某出版社のブックフェア用のサイン本、文庫六○冊ほどにサインしてバイク便で出す。ギリギリにならないと動かないのは悪いクセである。また原稿、だだだ。5時ころ、ようやくメンズプライス十一枚アゲ、メールする。それからモノマガジンにかかる。メンプラ、内容がちょっとヘビーなものだったが、モノマガは逆に肩の力を極端に抜いたものにする。原稿って、書き出して調子がのってきたときには自分で興奮して、キキキキなどと言いながらやっている。ハタで見るとキチガ イにしか見えねえな。

 7時半、八割五分完成したモノマガ原稿残して新宿へ。K子と待ち合わせて鳥源で食事。なんでわざわざ新宿でかというと、今日は原稿サッサとアゲて、旅行用の買い物をして食事、の予定だったから。予定は未定にして決定にあらず。メシのみとなる。空揚げ、鳥わさ、スープ煮など。酒は控えようと思っていたのだが、やはり仕事の合間に抜けだして飲む酒はうまく、ビール、冷酒、ワインと連続して飲んでベロとなる。アホか。途中で芝崎くんから電話。全部帰国後のことにする。10時、帰宅して一旦就寝、2時に起き出して原稿続き。モノマガメールし、図版キャプション書き上げて週刊アスキー二本、メール。週アスのEくんから、速攻で受領 の返信が来たのに驚いた。夜中まで仕事しているんだねえ。

 K子が仕入れてきたイタリア旅行注意。イタリアで電車やバスに乗ると、ハンサムな兄ちゃんが堂々とオナニーしていたりするそうだが、実はオトリで、それに見とれている女性旅行者のバッグがねらわれるのだそうだ。聞いて大笑い。さて、私ら夫婦は美青年のオナニーに目をくらませられることもなく、無事帰国の途につけるでありましょうか。・・・・・・そんなわけで十日間ほど、日記UPはお休み。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa