裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

火曜日

フォントにフォントにご苦労さん

 手間のかかる字体ですねえ。朝5時に目が覚める。少し旧に復した。イタリア日記つける。7時、朝食の準備。シーフードをトーストにサンドして食べる。ブドウ。小柳ルミ子の新愛人とウワサされるダンサー、実はその前にピーターと同棲していて、しかもその中を取り持ったのが大隅賢也。まことにもって傑作な関係。

 フロ入って、銀座まで。開田夫妻と安達Bさんを『ギャラクシー・クエスト』試写に招待。12時ちょっと過ぎ、早めについたので歌舞伎座脇の『王味』で角煮ラーメンを食べる。東銀座に事務所があった頃にはしょっちゅうここで豚足煮込みなどを食べていた。あのころは、店に入るとムッとするゼラチンと脂の匂い(例えて言うとワキガのような)がして逃げ出したくなるが、それに慣れると、煮込みと老酒が抜群にうまく感じるようになったものだ。それを期待していったのだが、だいぶ店内も清潔になって、ほとんど匂いも薄れていた。ちょっと残念。

 早めについた開田さん、Bさんと、あやさんを待ちながら歌舞伎座のポスターながめ、歌舞伎役者の顔写真の月旦。どうして羽左衛門も我當も、眼鏡などをかけた写 真 をポスターに載せているのか。役者ならも少し、キリリと作ったいい顔を写真に撮っ たらどうだろう。いずれも、免許証の三分写真のような、メリハリのない、ボケーッとした顔の写真ばかりが並んでいる。まだ、寄席の出演者看板の写真の方がマシなよ うな気がする。

 クイントビル7Fの試写会場。今日はこないだよりは人が入っている。繰り返し見ても感心してしまう伏線の見事さ。ラストのご都合主義の心地よさ。娯楽作品の基本はご都合主義であることを、馬鹿な評論家のせいで日本のエンタテインメントは忘れてしまっている。それにしても、こんなきちんと伏線を張り巡らせ、それを全て生かした脚本は『バック・トゥー・ザ・フューチャー』以来かも。観終わって、銀座風月堂でお茶。お勧めのケーキをBさんが頼んだら、女の子が眉をキュッと寄せて、困った、という表情をし、“申し訳ありません、切れてしまったんですよォ!”と言う。その顔がいかにも申し訳なさそうで、何かこっちが無理難題を言って彼女を困らせているような気にさえなる。デパガ経験のあるあやさんが、“ひさしぶりにプロの仕事を見た”と言った。

 2時間ほど話して、Bさんと別れ、開田夫妻と四谷三丁目のまさ吉。K子、井上くんの事務所一党と。今日もイワシしそ揚げは品切れで、K子不満げ。ニンニク揚げ、牛すじ、卵焼き、いんげん天など、それからもつ鍋にチャンポン。井上くんと、なみきたかしの写真集が売れてないという話など。ビールに焼酎、冷酒とかなり飲んで、12時まで。帰宅してパソのぞいたら、最近めずらしいハズした批判がBWにUPされていた。こういう真面目をよそおった批判が一番裏モノに似合わない、ということも見えてない。そして、その批判自体、すさまじいカン違いをもとにして成されているのである。見えてない奴はどこまでも見えない。おかげでせっかく盛り上りかけた“れれれのおじさん”出現に水を差された感じ。説教を書き込む。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa