裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

20日

月曜日

地震カミナリ火事voyage

 旅は怖いよ。朝7時50分起き。朝食、ホットケーキとカフェオレ、それに梨。市販のホットケーキミックスは甘いので、ソバ粉をまぜる。昨日の日記を書くが、これも時間がかかるかかる。書き上げて風呂入り、雑用を片付けてふうと息をついたら、もう12時になってしまっている。

 昼はひさしぶりにチャーリーハウスの肉うまにかけ定食。台風の影響かひさびさにカッとした暑さになり、汗が吹き出る。こないだの調べものの続きを、と思って国会図書館までタクシーを飛ばしたが、カン違いしていて、今日は休館日。仕方なく、地下鉄で青山まで行き、買い物して帰る。

 行きのタクシーの運転手が、走っている途中でいきなり方向感覚失調となり、“あれ、この通り、さっきも通りませんでしたか?”とか、原宿の方から来たのに、“この道をこのまま行くと、また原宿に出ちゃいませんか?”などと言い出すので面喰らう。現在位置と、この先の道順を噛んで含めるように教えて、なんとかコトナキを得た。この後、大丈夫かと思う。聞くと、お盆に奥さんが田舎(九州)に帰りたいと言い、彼はあまり帰りたくなかったので、“帰りたければ離婚証明書持ってこい、ハンコ捺してやるからそれから帰れ”と言ったら、本当に持ってきてしまい、ハンコ捺さざるを得なくなった。奥さんはそのままずっと九州に帰ったままで、それでも毎日、携帯に“愛しのパパ”などとメールが来るというから、わけがわからない。そういう状況下で少々、精神が不安定状態なのかもしれない。

 海拓舎、二見書房、世界文化社と、原稿滞らせているところからのきなみ催促電話かかる。打ち合わせ続き。仕事の催促がくるだけ有り難いと思わないといかん、と自らを励ます。川上史津子さんから電話、短歌の本、出版が決まったそうである。いろいろ厳しい条件がついているらしいが、この不況下、短歌の本を出版できるだけでも凄いことかもしれない。そのまま夜に突入、気圧乱れて仕事にならず。ぐだぐだしていたら、ネットニュースでいしだ壱成、大麻所持で逮捕の報。キャラ的にはまったく意外でもなんでもないのが情けない。確か今、この男新感線の舞台に出ていたんではないか? 詳細は明日以降だろうが、東京公演はどうなるんだろう。新感線の舞台というとまたヤタケタに金がかかっているのだろうが、所属プロダクションは賠償金をいくら支払うことになるんだろう。そっちの方が気になる。

 大麻やっていた知人に聞いたことがあるが、ハッパとかドラッグというのはストレス解消にはならんそうである。あれはよけいストレスがたまる。“ハッパなんてのはね、退屈で退屈で、ってときにやって、初めてヨサがわかるもんだよ。退屈が素晴らしく思えてくる。だからありゃ生活に心配なく退屈できる階級がやるもので、ストレスがたまるほど忙しくしてなきゃ食っていけない連中がやるもンじゃないんだよ”。なるほど、彼は親の遺産で一生食っていけて、“何がやりたいとか、何になりたいなンて野暮なことは生まれてから一度も考えたことがない”と称していた人物だった。

 8時、ブックファーストでK子と待ち合わせ。道玄坂小路にある博多ホルモンの店『天神』に行く。さすが渋谷で、同じホルモンでも幸永の十倍オシャレだ。席につくやいなや、“酢もつ、酢もつ”と注文したが、何と品切れ。このまま帰ろうかと思ったがそうもいかず、腸の脂肪をソーセージのように皮で包んだ“まるちょう”をはじめ、テール薄切りなど、いくつかとって食べる。うまいが、幸永では感じたことのない、あぶら焼けで、ちょっと最後にはヘキエキした。飲み物などのせいかもしれないけれど。サラリーマン客相手らしく、ネクタイ族が席につくと“一日お疲れさまでしたあ!”と大声で店員が挨拶。一人で来ている人もいたが、あれは博多から東京への単身赴任族か。時間早かったので、K子と一時間ほどカラオケ歌って帰る。

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