裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

土曜日

それは清水清水清水

 清水の次郎ちゃん。朝5時に変な夢を見て目が覚める。木場で川に浮かせている材木に乗ってボートのように漕ぐ技をラジオで永六輔が“江戸っ子なら出来ないと恥ずかしい”と言っていたので、江戸っ子ではないがやってみようと乗って、鳶口を櫓の替わりにして流れにのせてみると案外うまくスイスイいける。気をよくして、今度は丸太を二本ほどくくっただけの細いイカダに立ち乗りして海に漕ぎ出し、漁をする漁師たちに混じってそれもやってみると、これが自分でも驚くほど早く漕げて、他の漁師たちを置いてきぼりにするほど。ただ、その漁のエサとして生きた大きなガマガエルやカメを鉄串に刺して使うので、可哀想だからもうやめよう、と決心する……。見たからには一応書き留めておくが、書きとめておいたからといって、何かに役立つとか、後から読んで面白いと思う、とかいうことは一切ないだろう。何の意味がある記述なのか、これは?

 エアコンを止めると暑い、つけると寒いで苦労する。K子も目を覚ましたらしく、ゴホゴホと咳をしている。苦しそうで気になるが、眠ってしまうと出ない。7時半、起床。朝食、イチジクとヨーグルト、二十世紀梨。外は晴れて暑くなりそうな天気であるが、予報では雨とかや。確かに湿気は大したもの。

 サンマーク用の資料K子に渡し、10時半、家を出て神保町古書会館がらくた市。ビニールで完全パッケージしている本がかなりあった。こういうところで手にとれないような包装しているものにはあまり買う気が起きない。なんだかんだと一万五千円ほど買う。それから、通りの本屋をぶらぶらと冷やかしながら。こないだまた、増刷通知があって懐は少し豊かなのだが、イヤ、こういうときにシメないと金がだだらに出て行ってしまう、と、古エロ本系も買うのを控える。伊勢丹古書市にも行くのを躊躇している。昨日、藤倉さんとその話をした。彼も行かないでいるんだそうだ。『いもや』で天丼食べ、新世界レコード社でレコードを買い、アベノスタンプで昔のブロマイドのいいのを買い(結局買うんじゃないか)、帰宅。

 車中で『噂の真相』をパラパラ読む。ここも最近、誤爆専門誌の感。泉ゆき雄先生のことがらみで、“唐沢俊一の『へんなまんが』回収の噂”などとあるが、回収などしてはいないし、泉先生との一件はこの日記にも、元連載をしていたSFマガジン誌上にもちゃんと訂正とお詫びを明記して掲載している。ちょっとしらべれば、噂でなくきちんとした情報を簡単に手に入れられるはずなのに。第一、『へんなまんが』ではなく『とても変なまんが』である。……ところで、その掲載元のSFマガジンから夕方電話。新連載の話をちょっとばかり、する。

 4時あたりから急に気圧が激変し、雨がザーッと降り出す。体が動かなくなり、ともかく休もうと横になる。今夜の金成さんのオフに行く前に東急ハンズなどに寄り、買い物しようと思っていたのだが出来ず。札幌の実家(薬局)に電話。毎日曜日に母が電話をよこすのだが、先週、今週(来週も)と、イベント続きでいないので。

 5時半、雨も小やみになったので、トラフェスのチラシを持って出る。30分しかないし、と思っていたが、明日朝のサンドイッチをパン屋で買い、東急ハンズでコミケ用雑貨を買い、朝、切れてしまったカセットテープをつなぐスプライシングセットを買い、と、用事が全部済ませられてしまった。便利なところに住んでいるものだ、と改めて思う。時間キッカリにオフ会場『華暦』へ。コミケで上京した金成さんを囲み、裏モノ常連さんの小オフ。いろんな連中の話題、いろんな事件の話題、いろんな特撮・アニメの話題。何度も天井をあおいで爆笑。このメンツだと、いかに人間性の悪いことを言ってもまったく大丈夫というのが心地良い。それにしても、暑さのせいか、ネット関係の有名鳥さんたち、このところ活動が活発化しているようだ。

 明日は早いから、というので9時半ころ、解散。東武ホテルまで金成さんを送っていく。彼女とK子は、昼間、いろんな生地屋とか回っていたそうだ。かなり酒も入っていたのでそのまま寝るが、12時過ぎ、電話に起こされる。永瀬氏からで、来週のSF大会のために、いま、コスプレの練習中とか。髪を金髪に染め、女装をするのだという。想像がちと困難である。かなりハマっているらしい。まあ、年をとってからかかったハシカは重いからな。こちらの応対があまりに眠そうだったためか、20分ほどで切ってくれた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa