裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

木曜日

アッコは亮子を駆逐する

 和田アキ子、柔ちゃんを大批判!(女性自身風) 朝、6時に眼が覚め、7時まで本読んだり、日記つけたり。それから朝食。豆スープ、スイカ。スイカは昨日明治屋で買ったもの、やはりそこらのスーパーで買ったものとは雲泥の差。口のぜいたくはあまり自慢できることではないが、それでも甘味といいシャキシャキの歯触りといいこうハッキリ違うとな。

 午前中、一日遅れになった週刊読書人マンガ評原稿。取り上げるのはMEIMUの『キカイダー02』。2巻同時発売だが、1巻の巻末に作者と、角川書店(発行元)のアニメ・コミック事業部長井上伸一郎氏との対談インタビューが掲載されている。キカイダーのマンガ版リメイクは彼の企画らしいが、コミックにおいて、こういう風にプロデューサーが顔写真入りで前面に出てくるというのは珍しい。企画意図を明確にするため望ましいこととも思えるし、裏方がこういう感じでリアルタイムで登場して語るのはマズいんじゃないか、とも思える。作者が無意識に、読者の方でなく、プロデューサーの方を向いて描きはじめてしまうからである。裏方というのは機能に徹してこそプロ、というのは芸能プロダクション時代にさんざ先輩から教わったのであるが(で、私は芸能のプロには結局なれなかった)。

 今日はひさしぶりに涼しい一日。涼しいといったって29度もあるのだが、なにしろ今までが35度だの8度だのといった騒ぎである。29度ていどではサワヤカに感じられる。昼はイナリ寿司。自家製の即席牛ツクダニを添えて。それから、買い物に出かけ、今日のトッパンの講演で使うビデオの編集用生テープなどを買う。井上デザイン平塚くんから電話。一行知識掲示板の過去ログ整理の新システムについて。

 金沢のメトロン星人こと桜井さんからメール、SF大会『怪獣酒場』でのトーク司会の依頼。いろいろお世話になりっぱなしであり、二つ返事で引き受ける。実行委員会からは『トゥーン大好き!』を深夜にしてくれという依頼があったが(眠田さんのところにはなかったらしい。この『トゥーン〜』を他の企画と合同にしてくれ、という話は眠田さんの方にあって私の方にはなし。どうなっているのか?)、怪獣酒場と連チャンでは少々キツい。その旨を実行委員会にメール。

 3時15分、家を出て飯田橋まで。トッパンのプラザ21。応接室へ通されて、スタッフのみなさんと少し雑談。いろいろネタの本やビデオなどは持ってきているが、さて何を話すかまったくまとまっていない。ギャラもいいお仕事で、こういういいかげんさは恥ずべきことだと思うが、しかし、言いたいことがしっかりある以上、後はアドリブで当るのが、最も話のテンションを上げるスタイルだと思いもする。それにロフトプラスワンで3時間半とか4時間とかのトークに慣れていると、小1時間程度のしゃべりは雑談という感じなのである。

 展示場の真ん中にある小空間で、予約申込みしてくれた20人ほどの人たちを相手にトーク。テーマは『ポップのエネルギー、キッチュのパワー』。雑談的にいこう、と最初は思っていたのだが、しゃべり出したらなにやら固いキッチュ文化論になってしまった。まあ、随所にざっくばらん調はまぜたつもりであるが。浜松の自衛隊勤務(こないだの日記に駐屯と書いたが勤務、だそうである)のY田さんや、NHKのYさん、後楽園ジオポリスのN見さん、Nさんなども聞いてくれている。韓国のエロアニメなど流して、こういうエロ文化がその国の文化水準を計るバロメーターになる、という話などをする(エロという最強の共通認識はその表現にあまり技術を必要としないものであり、それを描く技術が高いということは、その国の表現文化全体の基準がかなりのところをいっているという証拠なのである)。そういう話の中でさりげなく(でも、ないか)夏目房之介氏や東浩紀氏への批判もまぜ込む。

 一時間半(質議応答も入れると二時間)、あっという間。終了後、会場にいたぬいぐるみアーティストのパニャグルミンさん、ドラッグ・クイーンのヴィヴィアンさんなどと名刺交換。Yくん誘って、小打ち上げ。リラックスしていろんな話が出る。とにかく“よくしゃべりますね”と呆れられる。8時、辞して渋谷へYくんと戻る。さすが大手で、トッパンさんがタクシー券だしてくれたが、運転手さんが凄まじいワキガで、やや辟易した。花菜でK子加えて三人で飲み直し。11時過ぎ、急に激しい睡魔に襲われる。やはり朝6時起きだったのが祟ったか。とにかく2001年イベント夏の陣、このポップカルチャー展から開幕である。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa