裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

木曜日

三年ピグミー金八先生

 小さいあなたに送る言葉。朝方の夢、桂文珍が、テレビで寄生虫駆除薬の過剰摂取で死んだ人のことを言っていたので、その本人のサイトをネットで探して行ってみると、BBSに桂三枝が“あんなに人の体のことをよく知っていた人が自分の体のことを知らないなんて”と悔やみの言葉を書き込んでいる。どういう意味か、さらにサイトのコンテンツを探してみると、その人物がいわゆるセクシャルマッサージの大家であり、“ツボひとつ押せば女性は二時間くらい感じっぱなしになります”などと自慢しているので、ああ、こりゃトンデモ系の人か、と思うというもの。ネット検索の夢というのも珍しい。関西系お笑い芸人が夢に出てくるのも。朝食は明太子のサラダスパゲッティ、ブラッドオレンジ一ヶ。

 株式会社東京文化研究所、本日設立。K子は昼に司法書士さんに書類をチェックしてもらい、これから銀行に行く、と11時ころ出ていく。こちらは今日、こないださくらやで買ったテレビ等が届くので家で仕事しながら待つ。設置用に古いテレビ回りをちょっと片付けたら、見違えるほどキレイになった。いつもこれくらいにしとかなくては家といえないんだろうが。12時ころ、届く。配線、ビデオやDVD等との接続しばし。

 2時、家を出て参宮橋でノリラーメン。参宮橋まで出たついでにぶらぶらと散歩して、初台の方まで行く。そこから思い立って、代々木上原の方まで。上原の水道通り沿いに、以前何回か車中から見かけた、おもしろげな古道具屋があったので、そこを訪ねてみよう、と足をのばす気になったのだが、車窓から判断した距離感と実際に歩いてみる距離にはギャップがあり、途中何回かリタイアしようと思った。それでも上原のあたりの建物群は、ちょっと都心ぽくない独特の感じがあり、歩きながら目は大いに楽しんだ。

 アキラメかけたころ、やっとたどりつく。お兄ちゃんがひとりカウンターの奥で居眠りをしており、1、2と店鋪があるうち、2の方にはものが置かれたまま開け放しになって、“欲しいものがあったら1に声をかけてください”とある。のんきというか何というか。店内を見回るが、予想にたがわず、私好みのケッタイな道具類が揃っている店で、はるばる歩いてきたかいがあった、とウレシクなる。昭和天皇の御真影と、馬の人口受精に用いる精液保存器(魔法瓶みたいなもので、ちゃんと精液保存器と大書してある)を買い、領収書に“東京文化研究所”と書いてもらう。初めての東文研名義領収書がこの2点というのは、何か大いに私の会社にフサワシイ気がする。

 で、出ようとしたら表の方に、これまたケッタイなマネキンの首がおいてある。マネキン独特の無表情かつ西洋っぽい顔に、時代劇の浪人のような蓬髪と不精ヒゲ。芝居用のかつら・つけひげ屋用のマネキンらしい。3500円だったので、これもつけ足して買い込み、ついでにと、パチモンすごろくのいいのがあったのでなをきに買っていってやろう、と一点、買う。前は無言だった兄ちゃんがさすがに、“こういうモノを集めていらっしゃるんですか”と声をかけてきた。“やっぱり古道具屋さんですか”“いえ、個人の趣味です”などと会話。荷物が両手に抱えるほどになったので、タクシーで帰宅。自宅から歩いた方が近かった。

 しばらく休んで、マネキンを棚に飾ったりする。原稿書きにかかるが、疲れていて進まず。最近胃潰瘍っぽい。軽いものではあるが。6時ころ起き出してまた原稿をちまちまと書く。45分、K子が帰ってきたので、タクシー相乗りで神宮前。以前行った『蟹漁師の店』で談之助、志加吾、ブラック一家と立川流本家同人誌打ち上げ。同人誌はコミケよりもやはり、それぞれの落語会で売った方がハケがいいらしい。目的客ばかりということか。増刷を談之助さんは300といい、私は500でも大丈夫と踏む。余ればまた夏コミでも売れるし。

 次回のトンデモ落語会、場所がまだ決まっていない。東洋館とちょっと面白くないことになってしまい、中野芸能小劇場は競合者が多くなかなか取れない。上野広小路やお江戸日本橋亭はキャパにやや不足である。どこか交通の便がよくて場内設備が整い150〜200くらいのキャパがあって借り賃格安、腹にたまらず衛生にいい、てなところ、心当たりありませんかねえ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa