裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

金曜日

栄子は誰のために

そりゃ坂田亘のために。

※『社会派くんがゆく!』対談 ミリオン原作一本

今朝も5時半頃目が覚め、寝床読書。
筑波昭『津山三十人殺し』読了。二度目。
先日見た月蝕歌劇団の幻視行はこの本がベース(都井睦雄と
阿部定の関係を中心に持ってきているところなど)になっている
ので、もう一度目を通そうと思って読んだもの。
睦雄がどういうことをこれからしでかすか、ということが百パーセント
わかっていながら、いや、いるが故に周囲の反応などに
「あっ、そこでそういうことを言ってはいけない」
などとハラハラするのはルース・レンデルの『ロウフィールド館の惨劇』
と同じ効果である。
6時40分ころ読了。また寝る。

で、二度寝で半覚醒のまま、夢の登場人物を操縦するという
やつ、面白いのでまたやってみたいな、と思ってウトウト
したら、ちゃんと出来た。
ところが今回は夢に反撃されたというか、女の子に声を
かけたらその子が歯を見せてニコッと笑うので、
こっちに来るように、と思ったら実際にやってきて、
顔を近づけたとたん、その剥き出した歯が四つに開き
(口の中に特殊な蝶番があり、上の歯と下顎が真ん中で左右に分かれ
開く)こっちに噛みつこうとしてきて、うわっと驚く。
無意識が、意識の操縦に反抗したのだろうか。

9時、母から電話で、30分遅れでというので、また寝る。
よく寝ることである。結局朝食、9時45分。
変わらずバナナヨーグルトジュース、コーンスープ(冷製)少量、
バナナ一本。

メールチェック、番組打ち上げ、本の打ち上げ、何にしても
飲むなあ。ブラックから電話、10月11日の落語界と、
それから秀次郎との旅行のお誘い。これはスケジュール次第だね。

昼はカツ弁。ソースを、昔よく行った『さぼてん』風にしてみる。
つまり、小型の擂鉢にゴマを入れ、これをペースト状になるまで
よく擂る。そこに辛子とソースを入れてよく混ぜ、ゴマソースに
して、そこにカツとキャベツをつけて食べる。
ゴマの香りが懐かしい。
しかし、思えば昼に外食しなくなったなあ。

3時、新宿『らんぶる』で『社会派くん』対談。
オリンピックが主な話題になる、はずだったが赤塚不二夫の
ことが一番盛り上がる。タモリなんかと毎晩飲み歩いていた
ときのキチガイぶりのエピソード。
話がはずんで、1時間半が普段要する対談時間だが、
二時間以上話していた。

終って村崎さん、K田くんと別れ、新中野に帰って仕事、
ミリオン原作。この本(『猟奇の神様(仮題)』の原作には
ドラマ仕立てとエッセイ仕立てのものの二種類あるが、
今回はドラマ仕立て。
切り口よりも事件の複雑性を見せるやり方。

書いているうちに、外が豪雨となり、やがて雷雨となる。
雷が間断なくピカッと光り、ドシャーンと落ちる。
本来ならパソコンは電源落としコンセントも抜いておくべき
なのだろうが、〆切には逆らえず。
10時、やっと原稿書き上げてK子とミリオンYくんにメール。
あと3本でラストである。

赤塚不二夫のことを話したときに、彼の十八番の料理である
水ギョウザのことを思い出した。赤塚不二夫と言えば水ギョウザ
パーティ。満州生まれなので、彼にとって思い出の味だったのだろう。
そこで、急遽今夜は水ギョウザにしようと、昨日買って食べなかった
ラム肉を手回しフードプロセッサーでミンチにし、そこに
ショウガ、ニンニク、茹で白菜(レンジでチンして水気を絞る)、
タマネギ、香菜を全部微塵切りにして加え、塩、胡椒、唐辛子粉
で味をつけ(本当は腐乳を加えたかったがK子が捨ててしまった)、
凝固用に生卵とメリケン粉少し入れ、ギョウザの皮で包んで茹でて、
ポン酢に辣油をたらしたタレで食う。
ラム肉で作ってあるので独特の風味あり、ビール、赤ワインで
ペロペロ食べて、気がついたら二十個全部腹に収めてしまった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa