裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

24日

日曜日

iTunesは太郎の嫁になる

俺らのこころを知りながら
でしゃばりアップルに手を引かれ
アイチューンは太郎の嫁になる〜

※青山ブックセンタートーク 月蝕歌劇団『津山三十人殺し〜幻視行き〜』観劇

朝10時に目が覚め(まあ、よく覚めたと思う)、
ストレッチしたら心臓がバクバク言いはじめたのであわてて
また休む。結局起床は10時45分。

朝食はバナナジュースとパンプキンスープ。
それからパソコンにほぼ二日ぶりに向い、
メールなどの整理。
行き違いになってしまっているものあり。
送り先が必ずメールを読める環境にあるとは限らない。
児童文学館のEさんから丁重なお礼メールいただき、恐縮。
「次回はぜひ館で同様のイベントを行いたく思います。
ご多忙とは思いますが、その節にはどうぞよろしくお願いいたします」
との依頼があったので、ぜひともと返事をしておく。
今回の強行軍での大阪行き、正直大変だったがやってよかったと思う。

ぼやーっとした頭で12時までいて、急いで家を出て
渋谷の事務所へ。今日のトークで使う資料を紙袋につめ、
青山まで。『トンデモ漫画の世界』発売(重版)記念トーク。

ABCに行く道すがら、今日のトークに来てくれるという
人に会って話す。昔編集をやっていて、竹書房で私の原稿を
一回担当したことがあるとか。

ABCの控室で、新田五郎さん、楽工社Kさん、Sくんと
話す。今日は私はほとんど司会進行に徹していればいいので楽
である。

2時、トーク開始。
と学会のK川さんの私物の書画カメラを使い、
マージャン漫画、ファミコン漫画などのすさまじい作品群を
紹介。適宜のツッコミも、新田さんのウケが上手いので
会場(メモ取りながら聞いている人もいた)爆笑。
私はチック・トラクトを紹介、かなりこれもクイツキがよかった。

質疑応答終えて、サイン会。
光デパートさん、IPPANさん、リタ・ジェイさんら
マイミクも来てくださっていた。
店長さん来ていただいて挨拶。ABCについてはいろいろ
噂あるが、何とか頑張ってもらえるよう、ここでの
カルチャー教室等における協力を約す。

その後、青山オーバル・ビルの『福来』で打ち上げ。
店員さんだのシェフさんだのが私の顔を見てちょっと
驚くような表情をする(二度見していた店員もいた)。
最初は何だ? と思っていたが、そうか、先日『世界一受けたい
授業』が放送されたからか、と思い当たった。
ああいう時間帯の番組で顔出しをすると、数日間は
こういう現象が起る。

新田さん、KさんSさん、私、それにしら〜さん、植松さんも
加わって漫画ばなし、ビール飲んで、ちょっと酔った。
4時過ぎ、外へ出ると雨蕭々たり。
新中野に一旦戻り、ちょっと(15分)横になって、
酔いを醒す。ビールの酔いだからすぐに醒めるのだが、
しかしたったグラス二杯のビールで酔うとは、

篠つく雨の中、阿佐谷へ行く。
ザムザ阿佐谷で月蝕歌劇団公演『津山三十人殺し〜幻視行』。
渡辺シヴヲさんと待ち合わせ。
雨の中並んで入る。
ここの劇場、建物はしゃれているし設備もいいのだが
なぜ、周辺の地面を整備しないのかといつも思う。
雨が降るともう、そこらが水たまりだらけ。

知りあいがやたら来ている芝居で、加藤礼次朗、出淵裕、
さっき会ったしら〜さんに、マイミクさん数名、古舘の
藤田由美子ちゃんも来ていた。
席を半ば強制的に決められ、かつ満席御礼の筈なのに、
われわれの座った後ろの席はそこだけ全部空いている。
おかしいな、と思ったら、そこまで使った演出で、
都井睦雄はじめ登場人物たちが舞台から駆け降りてそこまで
走り回る。シヴヲさん、睦雄の持っている銃が頭にぶつかったそうで
「都井睦雄に殴られるなんて経験は滅多にできない」
とうれしがっていた。

三十人殺しの都井睦雄と、彼が影響を受け、あこがれていたという
阿部定の人生を交互に描き、そこに軍と謎の男たちがからむ。
月蝕の芝居で寺山修司作でないものはこれで二回目(最初のは
川上史津子ちゃんが出ていた)だが、最初はその独特の
演出、セリフ廻しと、ある意味アイドル芝居的な演技に、
中になかなか入り込めないのだが、半ばまで話が進み、
睦雄の運命を変えようと画策する三人の男(演じるのは女性)
たちの正体が明らかになってきたあたりで、完全に芝居の中に
取り込まれる。月蝕初体験のシヴさんも
「不思議に面白い」
と表現していた。

結核治療のための抗生物質をカエルから作り出そうとする
マッド・サイエンティスト役に、唯一の男性キャストの
阿部能丸。これがハマり役で、ここ数年の阿部くんの演技の
中ではまず、ベストであろう。カエルを愛でてくちづけする
シーンがあったが、カエルは本物を使っていた。

終って、ハッシーと合流するというシブさん、
由美子ちゃん、それにしら〜さんを加え『じげもん』へ。
すでにして阿佐谷の根拠地みたいになっている。
ハッシーも来て、チケットの話、ゲストの話などいろいろ。
なんだかんだで結局、1時まで飲んでしまった。
嗚呼。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa