裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

7日

木曜日

内裏出産

「みかどの和子がお生まれになられた」
「して、母君は?」
「借り腹、借り腹」

※ミリオン原作 同人誌校了慰労カニの会

朝、物置代わりにしているK子の衣装部屋に置いた
仮ベッドで目を覚ます。
担架の上で寝ているような気分である。
ゆうべの酒まだ残って、二日酔いではないが全身ダルな気分。
電話あり、今日、リフォーム業者が来るとのこと。
それを待っていなくてはならないので、宝仙寺の赤塚不二夫葬儀
に行く計画が立たなくなってしまった。

9時に朝食の電話あるも起きられず、9時半に延ばしてもらうが、
結局母の室に行けたのが10時過ぎ。
スイカその他。
朝日から最終小ゲラあり。
あと、メディアファクトリーから『血で描く』関係連絡。
そろそろ表紙を挙げておく。

自室でリフォーム業者さん待ちながら、日記つけその他。
やがてやってきた業者さん、初老の、町内の文房具屋でそろばんでも
売っていそうなおじさんだったが、名刺を見ると一級建築士。
おみそれをいたしました。
でも、やはり文房具屋さんみたいな感じで現場を見、説明してくれる。
「ここ(寝室)を今日もお使いですか」
と聞くので、いや、隣室に簡易ベッドを置いて寝ていると言うと
「そうしておいてください。屋根板が水を吸って重くなっているので
落下する危険性がある」
とコワいことを。修理費は全て保険でまかなえるらしい。

帰ったあと、昼食は軽くたまごかけご飯で済ます。
ミリオン原作にかかる。
テレビで、赤塚不二夫葬儀の際のタモリの弔辞の様子を。
最近のタモリを私は評価していなかったのだが、
いや、これは凄い。
あとでネットに流れた全文を読んだが(しかも弔文は白紙で、空で
しゃべったという)、感情でなく理性で赤塚不二夫を語っていながら、
その理性による分析で感動し、涙が出る。
これは書けと言われてもちょっと書けない文章だ。
長く、深い、徹底したつきあいがあったタモリだからこそ
できた分析である。
そこにひとつまみの気取りをきかせてはいるが。

彼らのつきあいのバカぶりのエピソードはわれわれのような
タモリ直撃世代なら山のように聞いて、読んで知っている。
「お笑いの人間なら弔辞でもバカをやれ」
という意見もあるようだが、きっと、二人はもう、30年の
付き合いで一生分のバカをやり尽くしてしまったのだろう。
その末の、赤塚のようには人生を結局投げられない
常識人・森田一義の、最後の感謝の気持があの文章。
ここは素直に感動して受け取りたい。

ミリオンの原作、2時間で何とか完成。
編集部にメールしたのが4時。
それから、『ホラリオン』ゲストの木原浩勝さんのマネージャー
さんとの連絡、同じくホラリオン開演祭でお祓いをやってもらう
ひえださんとの連絡、オタクアミーゴスの取材依頼のネットテレビとの連絡、
『トンデモ音楽祭』のゲストの件の連絡などやっていて、
気がついたら7時。え、もう7時? と、ちょっと驚愕、

あわてて買い物に出て用事をすませ、
帰宅して着替え。8時から、オノ&マドの、同人誌原稿校了慰労会
である。母に材料費を渡し、カニ料理で、と頼んであるのである。

8時ちょい過ぎ、二人やってくる。
氷結酒、ビール、九州のファンから恒例で送られてくる焼酎
(今回はサツマイモ焼酎『金兵衛』)などでカンパイ。
鶏レバの煮付け、北京ダックもどきの“ペテンダック(@平野レミ)”、
豚ばら肉の酢豚などあって、いいいよメインは毛ガニとタラバの
紹興酒蒸し。それまで人物月旦などさわがしかった三人、
急に無言になってカニをほじくる。毛ガニもうまいが、
タラバの足が紹興酒のうまみを吸って最高。

あと、鶏そばとデザートの北海メロン。
9月のテレビの連絡などいろいろオノから聞く。
この件はどうも気が重くなることいろいろあり。
母はBSが映らない原因をマドに解明してもらって大喜び。
何のことはない、BSのコードが外れていたのであった。

マドからは『山本ひろし物語』の完成品と、『少年マガジン』
同人誌の注釈紙見本をもらう。
こっちが調べようと思ったことをちゃんと調べて書いてくれて
いる。母ばかりでなくこっちも感謝。
オノに明日のバス(飯田行き)の予定を聞く。
正午のバスというのを聞いて、そんなに早くないのに安心。
と、いうか、自分が何時のバスに乗らねばいけないかも
把握していない。

11時半、二人帰り、こっちは自室で『山本ひろし物語』を
チェック。これにも内輪うけギャグなどの解説文が必要。
酒はそれ以上飲まず、1時、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa