裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

11日

月曜日

♪公明人間あらわるあらわる〜

「実は実はわたくし、公明人間なのです」
「ショック〜学会員?」

※『プロント・プロント』原稿 カスミ書房さん挨拶 ミリオン原作一本

朝8時50分起床。
「ダダッ、ダダッ、ダダッ」
という音がするので何かと思ったら、また寝室が雨漏りして
マットレスを除けたベッドの根太板に当たっているのだった。
あわててバケツを持ってきてそこに置く。

朝食、果物数種。
母は高校野球をかけっぱなし。
ホントウに高校生が好きだな。

自室に戻り、〆切二日遅らせている『プロント・プロント』の
コラム原稿。書いている最中に快楽亭から電話。
名古屋での南湖さん入れての三人会が評判よかったので、
東京と大阪でもやりたい、とのこと。
大阪は来年になってしまうそうだが、10月に八起でやらないか、
と。こっちはかまいませんよ、と答えたら、
「アッ、いま思いついちゃった。センセイにアタシ、命を助けられて
からこの10月で3年目ですよ」
と言われてああ、と思い出す。
http://www.tobunken.com/diary/diary20051021000000.html
往時茫々というが、三年前のことなのにはるか昔のことのよう。
八起に言って、『生きててよかった! ブラック生還3周年記念
落語会』にしよう、と話す。

原稿書き上げてメール。
太田農相の“国民がやかましいから”発言問題、いろいろ
言われているようだが、発言の是非はさておいて、
「日本人が食料に関してはモンスター・クレーマーである」
ということは事実として世界の常識になっているようだ。
こういうとき、日本のマスコミは
「食べるものの安全を望むのは消費者の権利」
という書き方一辺倒だが、しかし、そのように安全確認に対し
100%の精度を求めるくせに、一円でも安く買いたたく、
という態度もとる、その矛盾が、実は日本を食料戦争で
不利な立場に追い込んでいるという現状もある。

青沼陽一郎『食料植民地ニッポン』(小学館)に書かれているが
タイなどの工場で作られているエビのてんぷら、お好み焼きなど
の冷凍食品は当然、最初は日本向けの輸出品だったが、次第に
アメリカなど他の国への輸出に振り替えられているという。
日本食はいまや世界でブームなのだ。
喜んでいてはいけない。要するにライバルが増えたのである。
「(日本は)いろいろと細かい指示の多い割には買いたたく。
そうしないと、国内でも売れないのでしょうが、それに比べると、
てんぷらでも米国の方が高い値段で買っていく」
日本人消費者のクレームの多さは常識を逸脱しているほどで、
フリッターにまぶす白ゴマの中にひと粒だけ黒ゴマが混じっていても
苦情を訴えてくるので、中国の工場では材料のゴマの
ひと粒ひと粒をピンセットで選別しているという。

欧米では消費者が、購入した食品の中でも、これは食える、
これはダメと、個人の責任で判別する。ところが日本人は全て
生産者に責任を押し付けようとする。
食料自給率が4割を切っているくせに、細かいことで文句をつけすぎる。

だからと言って何もメタミドホスを許容しろというのではない
(この本でも添加物等の恐ろしさはたっぷり語られている)。
しかし、中国産ギョウザをそれまで“安いから”という理由で
好んで食っていたのは日本人である。“安物買いの銭失い”という
言葉が日本にはあった筈なのに。

著者の青沼氏にタイのたこ焼き工場の係員が言う。
「いまや魚が完全に欧米に買い負けしているように、何年か後には
冷凍食品でも日本の買い負けにつながるでしょうね」
消費者のクレームの多さを“安全意識の高さ”などと思って
いると、近い将来エライことになりそうだ。

昼はヤキソバ弁当。
ポン酢をかけて食べる。
少しバテて簡易ベッドに横になり、30分ほど失神状態。
4時半に家を出て、地下鉄乗り継ぎで神保町。
カスミ書房さんにコミケの挨拶。
『ホラリオン』チラシも渡すが、“こういうお芝居っての、
時間とられるでしょうねえ”と言うので、
「ええ、時間もとられるし、収入も大幅減になります」
と答えると、
「そうでしょうねえ。私たちだってコミケがなけりゃ……って
思うこともありますもん」
「あ、スタッフの方々もやっぱりそうですか」
「そりゃそうです。夏冬の数ヶ月、仕事にならないわけですから」
「でも、イベントってやってしまうんですよねえ」
「あれは何なんですかねえ」
と。目的意識というものを比較的近距離におけることで
人生の充実感を味わえるということか。

あと、入場時のチェック問題についても聞く。
われわれサークル参加者は“コンサートで言えば出演ミュージシャン”
なので、荷物検査は行わないという。
まあ、簡単な見回りはあるだろうが。
それと『給与明細』に出演して(この店で撮影をさせて)いただいた
件に関して。
以前も実は『世界一受けたい授業』で同じようなシーンを撮影させて
もらったのだが、それが映ったときは、田舎のお母様とか、親戚とか
から電話がじゃんじゃんかかってきて、同業者とかコミケスタッフからは
何の反応もなかった。ところが今回はスタッフ打ち合わせのたびに
「見ましたよ! 出てましたね!」
と言われたそうで、こうまで視聴者層がハッキリ別れるとは
思わなかった、と。いや、何か笑える。

地下鉄で帰宅、“金正日はすでに死んでいて、小泉首相が握手した
のは影武者”という週刊現代の記事を車内で読んでいて、
一駅乗り過ごす。

帰宅、サントクで買い物し、自室で原稿残り。
母と夕食もとりたいのだが、こういう風に最近、時間が読めない
ので悪くて頼めない。母は母で、父がそうだったので夕食時間は
決まった時間にとる、という習慣をつけているし。
やはり店商売とわれわれフリーの居職とは会いませんな。

9時20分、書き上げてK子とYくんにメール。
それから夜食作り。
まず、やなぎ蛸のいいのがあったので軽く茹でてブツ切りにし
わさび醤油で食う。それから茄子を薄切りにしてカンヅメのシャケと
煮て、茄子かやき。
福岡のファンからお中元の焼酎『金兵衛』、風味絶佳。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa