裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

土曜日

右近の力

橘右近師匠の寄席文字の力強さは……。

※ビデオ台本書き 古屋兎丸さん打ち合わせ。

朝8時半起床。
喉がまだ痛み、タンがひっきりなしに出る。
なかなか虎もしつこい。

9時朝食。
やはりいつもの果物中心の方がよさそう。
デコタンゴール、イチゴ5〜6粒。
青汁、ホワイトアスパラガスのコールドスープ。
シャンパングラスで出る。

日記つけ、メールいくつか。
夜までに台本を、ビデオのとマンガのと二つ書き上げてしまう、
つもりだったのだが、結局どっちも出来ず。
何か疲れがまだ体内に残っている感じ。

昼は掻き揚げ弁当。
長野のリレー中継のニュースなど見ながら。
萩本欽一がいつからこんなキャラになってしまったかを想う。
コント55号がデビューしたときの鮮烈さ、
サディスティックな狂気で二郎さんをいたぶっていた姿はいまだに
記憶にしっかり残っている。
それまでのお笑いになかった“相方を徹底して窮地に追い込む”
ツッコミという、先鋭ぶりに痺れた私の過去の感動を返せと
言いたくなる老けぶりだ。
ツッコミはボケに比べ、歳をとってからの衰えが目立つ。
欽ちゃんも仕方がないとはいえ、そう思うと
爺いになってなお、あれだけ毒をふりまき続ける談志の怪物ぶりが
よくわかる。

http://sankei.jp.msn.com/economy/it/080426/its0804260042000-n1.htm
↑また、あらたな祭が始まっている。
たしかに、この瀬尾という青学の准教授の意見はカスである。
また、高等教育を受けた人間によくある、
「自分は他の人間とは違う高等教育を受けたのだから何を言っても許される」
「自分は高等な人間なのだから、一般人と同じ平凡な感情を抱けなどと
強要されるのは侮辱だ」
というエリート妄想の典型のように思える。
昔、裏モノ会議室にいた牛さんを思い出した。

だが。
非常識だから、読んで不快な意見だから、と、個人のブログ内にある
個人の意見をたたきつぶすことが、果たして順当な行為なのだろうか。
大学に通報して謝罪させることが“正義の”行為なのだろうか。

児童ポルノ禁止の動きについて、ネットで議論がかまびすしい。
実際の被害者が誰もいない絵画創作物までをも規制しようというその
動きの根本は、その存在そのものを不快に思い、犯罪を誘発する危険が
あると考える人々が存在することによる。
一部の人間の単なる不快、単なる不安だけで、表現の自由、思想信条の
表明の自由を制限しようということがいかに危険であり、反近代的な
行為であるかを、児ポ法廃案を訴えている人々は縷々、述べている。

いま、彼らに訊いてみたい。
あなたは、この准教授の発言の自由を守れますか、と。
この女性の発言には、誰一人被害者はいない。
利益を損ねられたという者がいない(いるとしたら、大学は高額の
授業料とっていながらこんな馬鹿にうちの子供を教えさせているのか、
と怒る青学生の両親くらいか。それだってまあ、言えばの話だ)。

この騒動を扱った『探偵ファイル』の記事の中に
「ネットウォッチャーの間からは、“どうしてこんな大物を
これまでスルーしてきたのだろう”と自らの不明を嘆く人が
続出しているようだ」
とあったのには大笑いしたが、要は目立つブログでもなかった
わけである。

児童ポルノ同人誌の制作・販売が表現の自由なら、この准教授の
ブログだって表現の自由なのである。
「私の自由は死んでも守るが、他人の自由はその限りではない」
というのであれば、その人間の発言の説得力は大きく落ちる。
オタクたちはいま、試されているのかも知れない。

結局得台本完成せず、あ〜あ、で
6時半、電話一本すませて家を出て、参宮橋。
9月のあぁルナ公演のポスター、フライヤー頼んでいる
古屋兎丸さんとの打ち合わせをくりくりで行うため。
くりくり久しぶり。絵里さん、ケンと久闊を辞す。
このところそういうこと頻々のため、店内のどこかに
「○月×日をもって……」
という張紙でもあるのじゃないか、と心配して見回すが、
まだそういう気配なくホッと。

やがて、オノ&マド、兎丸さん、そしてハッシー来て、
ハートランドで乾杯。
9月公演のあれやこれやを打ち合わせ。
兎丸さん、『地獄の楽園』も面白がってくれたようで、
紹介者としてホッとする。
なんだかんだ言って、芝居というのは“性に合う、合わない”
で決まる。ことにギャグはそうである。
相性の悪い芝居は、たとえそれがどんな優れた芝居でも
入り込めない。

まあ、兎丸さんにとり災難なのは、気に入ってくれたばかりに
これからハッシーからどんどんいろんな注文が行くことだろうが。
……料理、相変らず結構。
白身魚のカルパッチョ、野菜のオーヴン焼き、鳥肉のトマト煮。
それにオノのリクエストでルンピア。
鶏の半身をたのもうとしたら品切れ、豚のジンジャー焼きに
する。南国風でうまかった。
あと、〆がクスクス。
兎丸さん、チャイナの蟻酒をもう一度のみたい、と。

勘定すませ、兎丸さんと別れて、当然という感じで
残り組はもう一軒。
無愛想のわきのおでん屋。
マドはゆうべ、記憶を無くすほど飲んで
(朝4時ころやっと電話つながってオノが“いま、どこ?”と
訊いたら“わかんない……”と答えたそうな。結局、
田無だったそうだが)今日は飲まない、と言っていたが
結局、くりくりでワインがぶがぶ、ここで焼酎、
さらにもう一軒行こう! になって、阿佐谷ロフトに行く。

まったくこの飲ん兵衛どもは、と思ったが、これが幸い。
実は台本があがらなかった原因が、中に出てくる、店の
ロケ候補が決まらなかったためで、最初、くりくりを使わせて
もらおうと思っていたのだが、連休中は旅行に行ってしまう
そうなのでNGだった。
これをどうすべえかと思っていたのだが、
店長の玉ちゃんと話すうち、ここを使わせてよ、と思いついて
頼んで即、OKをとった。
いろいろとツイていることであった。

さらに日高屋(だったか、もう記憶もうつろ)でラーメン
食って、帰宅、また3時になる。
このメンツだと絶対午前様になることはわかっているとはいえ、
しかしなあ。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa