裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

水曜日

Oh,yeh健三郎

集団自決強制はあったんだぜ、イェイ!

※テレビ朝日『ドスペ!』収録 『EX大衆』インタビュー 朝日新聞出版打ち合せ 書評委員会

昭和ゴジラのDVDボックスを買う夢。
で、第一作の『ゴジラ』から見てみるが、これが私の知っている
ゴジラとは全然話が違う(でも、見ていて不思議には思わない)。
キャスティングとかは元のゴジラに準拠しているのだが。
ちゃんと白黒映画で、あの頃の都会風景が楽しい。
海底に眠るゴジラ探索に、若き科学者・宝田明が任命されるが
彼の若さと、横紙破りの学者であるという評判に学会が反対する。
警察に、宝田の弟の少年がやってきて、警部の平田昭彦に
「ゴジラをやっつけられるのはお兄ちゃんしかいないんだ、
お兄ちゃんが任命されるようにお願いします」
と頼む。警部はうなづき、いい手がある、と言う。
その晩、宝田の研究が収められたテープ(録音テープみたいな
もの)を研究所に盗みに入ったものがいるが、捕らえられて
連行される。その連行の模様を新聞各紙やテレビが報道。
国民は、こんな風にねらわれるほどの研究をするくらいなら
宝田はよほどの科学者なのだろう、と思い、ゴジラ退治が出来るのは
彼しかいない、という世論がわきたち、学会も認めざるを得なくなる。
そのテープ盗難事件は平田警部が仕組んだ狂言であり、
泥棒役の男(山本廉)は、手錠をかけられてパトカーに
乗り込んだところで、
「ああ、大変な役だった。腹が減りましたよ」
と笑う。連行役の老刑事(志村喬)も笑って、山本が盗んだテープの
入ったケースを開けると、中に入っているのはバウムクーヘン。
それをまだ手錠をかけられたままの山本の口に押し込んでやる。

朝7時起床。
最初の内は窓外、どんよりだったが、やがてまぶしいほどの陽の
光が差し込む。まったく、昨日が今日でなくてホントによかった。
日記つけ、今日の収録とインタビューの下調べなど。
大阪のくいだおれが無くなると思ったら、日航の鶴丸マークも
無くなる。あと数年で昭和の名残は完全に一掃されることで
あろう。早くイエスタディ・ワンスモアを組織せねばいかん。

テレ朝『クレヨンしんちゃん』特番、番組収録は11時からだが、
私は後半の出演なので12時に入ればいいということ、ありがたし。
いろいろメールして、11時10分に家を出て、丸ノ内線で
四ツ谷。駅前のタクシー乗り場でオノと待ち合わせ。
新学期らしく、小学生とそれに付き添う母親の姿が目につく。
学習院や慶応などのいいとこの坊っちゃん多し。

オノとタクシーで西麻布。
いろいろ道を分け入ったところの、住宅街の中にあるオサレ系
バーで収録。狭い敷地に収録用車両がでんとおかれ、
外も中も人がスシヅメ状態。すでにしてオシで、
予定では前半は収録が終わっているはずなのに、どうも
“これから”収録が始まるらしい。

椅子に座っている出演者たち、神無月、セイン・カミュ、
ダンディ坂野、土田晃之、どーよの二人、髭男爵の二人など。
下平さやか、前田有紀の二人の女子アナの言を漏れ聞くに、
アニメおたくの土田以外は急遽集められた、というメンバーらしく、
土田さんとどーよのテルさん以外、ほとんどがクレヨンしんちゃん
の映画を観たことがない、という感じ。
特番でコレで大丈夫か? と心配になる。

半田健人くんにも久しぶりに。バーテンダー役で話に
からむ、という台本だったが、すぐに中に混じる。
楽屋でちょっとしんちゃんばなしをするが、
さすがに、クレしんはそう詳しくなくても、
昭和とか、動物がらみで知識もあるしいろいろ語れる。
まったく、どういう頭のつくりをしているイケメンなのか
(バーテンダーの衣装が実に合う)。

控室代わりのVIPルームで待っていたら、
同室の人が立ち上がって、
「今日はお世話になります、DJ OZMAです」
と言われてびっくり。みんなイレコミか。

テレ朝のプロデューサー氏、今回の製作のプロダクションの人などが
いずれも恐縮したように挨拶に来て、突然の出演依頼でご迷惑を、
と言ってくる。実際、よくまあ今日のしかも空いている時間に
ピッタリとハマリこんだもの、と感心する。
私ばかりでなく、他のキャストもギリギリの進行だったようだ。
道すがら、“番組の質は不思議なことに用意されている弁当の
質とパラレルなことが多い”という話をしていたが、
この時間の収録にもかかわらず、お菓子類以外何も用意されて
おらず。DJ OZMAさんは途中で何か食べに出たくらい。
私はオノの用意してくれたサンドイッチ二切れ、水で(!)流し込む。

控室のモニターで前半の収録を見るが、
クレしんをよくしらない人たちにクイズとかやってもなあ、
という感じ。それはそれで、群盲が象を撫でているのを見ている
ようなものでオモシロイが、グダグダで笑いをとっても、であろう。
DJ OZMAは新作の主題歌を作ったことで特別ゲストだが、
何かトークは苦手なのか、いきなりの質問にしばし絶句することも。
ただし、“最近のアニメソングはタイアップばかりなので、
しっかり主題歌を作りました”という一言はよし。
結局、前半一の盛り上がりは前田アナに『ちょー嵐を呼ぶ金鉾の勇者』
というタイトルを繰り返し言わせる、というあたりだったような。
ところが前田アナ、そっちは平気で連呼したのに
『嵐を呼ぶ夕陽のカスカベボーイズ』は何度もつっかえてどうしても
言えず、下平アナが変わっていた。
下平アナは後輩を気遣いながら、番組収録を出来るだけサクサク
進めるべくスタッフを動かしていて、さすがと感心。

前田有紀は本当のしんちゃんマニアらしいが、なら
変にコメディアンとか集めたりせず、ビデオを流して彼女と
半田健人で番組作った方が早くないか?
“コメディアンを揃えないと番組が出来ない”という思い込みから、
そろそろ脱さないといけない時期じゃないか?

座りの関係で絵がつながらなくなって、急遽冒頭を撮り直す
ことになったり、オセオセになってきて、さすがにオノがソワソワ
しはじめた。結局12時入りで私の出番は1時半。
たまっていた、という感じでしゃべる。
土田晃之が“このセンセイ最初から出しとけばよかったんじゃないか”
と呆れていったほど。

私の出演コーナーは旧来のクレしんからの感動シーンを
解説する、というものだったが、『歌うケツだけ爆弾』の、
しんのすけがシロを連れて逃げるシーンをビデオで流していた
とき、横でクシュン、クシュンという声が聞こえるので、
見たら驚いたことに前田アナ、ホントに私の横で泣いていた。
土田も
「悪いけど途中からビデオの方でなく前田の方ばかり見ていた」
と言っていたが、まあギャラのモトはとったか、という気に。

で、最後になんと、バーのカウンターにいた臼井儀人さんが
“オラのこと好きになってくれた〜?”とスケッチブックを
残し、挨拶もせずに退場、というサプライズ演出があった。
これだけはシャレたことやるな、と感心したが、前田アナいけません、
臼井を白井と読み間違えていた。

結局15分オシで2時15分アガリ。
スタッフさんたちに挨拶して、両アナと写真撮って辞去。
タクシーで渋谷まで。腹が減ったのでマンション下の更級でモリ。
この時点でメイクを落としていない。

3時、双葉者EX大衆インタビュー。
『墓場鬼太郎』について1時間ほどしゃべる。
女性の若いカメラマンさん、バックのビデオ棚が絵になる、
と喜んでいた。内容は昨日の日記に書いたようなこと。
クレしんと鬼太郎を一日のうちに語るというのはなかなかない
経験ではないか。

アンドナウの会のチラシ文を書き、メールでいくつか連絡。
いろんな部分で火のついている事項あり。
催促されるのは催促もされないより100倍いいことではあるけどね。
タクシーで京王プラザまで。
そこから地下鉄で朝日新聞社。

いつもより一時間前に社に入って、アラスカで
朝日新聞出版社のトテカワ(幻冬舎から移った)Yさんを
待つ。アラスカのマネージャーに
「夜もお待ちしてます」
と言われた。
ちょっと日時向うがカン違いしていたようで遅れたが、
無事会えた。
新企画の話、私のものとプロデュースのもの、合わせて三点、
まず提出。その先のことまで含めてちょっと打ち合せ。
幻冬舎でいま進んでいる企画との差別化をちょっと考えねば
なるまい。

アラスカのコーヒー代支払いのとき、部署名と名前のサインだけで
OKと言われてトテカワ、
「へえ、そういうことが出来るんだ!」
と驚いて、
「会社の規模がなにしろ違い過ぎるんで」
ととまどいつつも面白がっている模様。

書評委員会に、その後すぐつなげて出席。
新担当のNさんに名刺いただく。
思っていたよりマトモじゃないか、とちょっと拍子抜け。
弁当つかいながらの雑談、大学関係者とフリーの人の、
デスクへのからみかたが対照的で面白い。基本的に阿刀田先生や
私は場に空白が生じるのを恐れる感じで“何か”しゃべる。
大学関係者の方々はそういう強迫観念はないらしい。
立場上中間の瀬名秀明さんがまさにその中間なのも面白い。

今回はかなり的中率がよく、欲しい本勝負のところで冊数を
稼ぐ。その分、すべり止めの候補は他の方にゆずる。
Nさん、新任の挨拶、お、やはり変な人か? とちょっと期待。

終わって、例によりアラスカで懇親会。
苅部直先生とちょっといしかわじゅん論、というより
マンガ学について思うところ述べる。
あと、Nさんと今後の執筆について。
いろいろホメられてくすぐったい。
で、酒が回るうち、変の本領を発揮してくれて、
ビンゴ! と膝を打ち、すぐ写メをオノにバースデープレゼントに
と送る。

10時、ハイヤーで帰宅。
さすがにくたびれた。
家で黒ホッピー飲んで、ふうと息をついて、ぞれぞれの関係者に
本日の仕事について報告。
快楽亭から電話、またまた落語の依頼。
私を完全に所属芸人にしているな。
メディアファクトリーから、打ち合せ日程を決めてくださいとの催促。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa