裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

土曜日

アセンション・プリーズ

当機はただいまより次元の上昇に入ります。

※『御利益』三日目

不思議なことに舞台に入るとあまり
夢を見なくなる。
肉体的にくたびれて、脳をあまり使わないまま
寝入るせいだろうか。
仕事をしているときは普段とは違う脳の使い方をしている
ので、寝てもいやに明瞭な夢を見るのである。
で、昨日は久しぶりに仕事を寝る前にちょっとやったので、
やはり夢を見た。

ある人物の仕事を手伝うために一日空けて待っていたら
「その仕事はなくなった」
と言われ、忙しい中オマエのために一日空けていたのに、
と文句を言うと、
「でも、なくなったのは自分のせいじゃないし、オレはあなたに
何にも悪いことしていないからあやまる気は全くない」
と言われ、キレて殺意を抱く夢。
目が覚めてから、もう何年も前に、あることの手伝いで
その人物に同じようなことをしたことを思い出した。
まあ、そのときは平身低頭、あやまったんだが。

そんなことを思いつつ、8時半起床。
足の疲れも(実際はあるのだろうが)それほどでなし。
9時半まで、だらだらと。入浴したり。
朝食(公演中は30分遅らせてもらっている)は
デコタンゴール、アレキサンドリアぽいブドー。
アオマメのスープ。

今日は今回の公演唯一のマチネ。
14時からである。
すぐ家を出て、11時に下北沢。
小屋入り。
今回の芝居は毎回、ラストシーン(麻衣夢の歌)から
舞台挨拶、ダンスまでを通しで行う。
これでかなりの汗をかく。
あと、毎回グズグズっぽい、最初の登場シーンの直し。

なべさんが足をちょっとやっているらしい。
昨日、書類を踏んずけるシーンがうまくいかなかったのは、
しゃがむことすらつらかったからだというから少し心配。
里中くんはアバラを痛めて病院にいったという。
みんな、熱演でどこかここかを痛めている。
私はせいぜい背中がバリバリになっている程度なのが
ありがたい。
なべさん、麻見さんなどと楽屋でいろいろ語る。
なべさんは実の弟さんが亡くなった鬱状態から、ルナティック
に出演することで救われたという。
私も最鬱時にここの稽古に没頭することで、なんとか
立ち直ることが出来た。
演劇による鬱改善メソッドというのもあるかもしれない。

で、開演。
今日はチケット完売、立ち見の状態なので非常に意気あがる。
みんなベストの演技だったのではないか。
初登場シーン爆笑が来て、
次の登場のシーンは余裕もってアドリブをかましさえした。
ラストも、踏んずけギャグ、うまくいった。
万端うまくいけば、芝居ほど楽しいものは他にない。
大いに楽しむ。
最後の挨拶もダンスも気持ちよし。
三日目にしてやっと満足の行く出来になった。
「役者と乞食は三日やったらやめられない」
とは、このことを言うのではあるまいか。

終わって、佳声先生とかずおさん、でんたるさんなどに挨拶。
jyamaさんも来てくれて、楽しんでくれた模様。
テレ朝制作の人たち(こないだのクレしん特番を作ったプロ
ダクション)が来てくれていて、何か大変感謝された。
感謝の気持ちを、公演に来てくれることで表わしてくれるのは
大変に嬉しい。放送は今夜。

虎の子のキミさんも来てくれた。
「ふーん、ちゃんとやってんじゃない。お道楽じゃないんだ」
と言われる。そして、仰天したことにキミさんの連れというのが
ベルさんだった。
何も仰天することはないと思われるかもしれないが、上記の、
かましたアドリブというのがコミケネタだったのである
(演出のハッシーには不評だったようだが)。
そう言えば一人、拍手までした人がいた、ということは
舞台上で記憶しているが、まさか米澤嘉博夫人が来たその日に
口にしたアドリブがコミケネタだったとは、
西手新九郎、やるものである。
今度ベルさんと虎の子で一緒に飲むことを約す。

今日はソワレはカウンタックーズなので、一旦バラけ、
渋谷の事務所に出る。
資料で買ったCDが届いているかと思ったのだがおらず。
マッサージを予約しようとするがこれも満員で時間に間に合わず
NGとなる。仕方ない。
メール連絡いくつかし、トンデモ本大賞の司会交代による
構成練り直し等。
トンデモと言えば、NC赤英の初登場時のセリフが
「2012年にね、マヤ暦が終わるんだって。で、そうすると、
地球の地軸と銀河の中心が一直線に並んで、無限の愛が
ふりそそぐらしいよ・・・・・・楽しみだね・・・・・・やあ、お早う!」
というもので、と学会関係者が観に来てくれているときには
笑いの大きさがあきらかに違う。

再び下北沢。
今回は客なので悠々と。
オノ、マドとちょっと打ち合わせなど。
その後カウン。2年ぶりということで期待度高し。
ハッスルレンジャーから始まって、2時間ぶっ続けに
(休息もなし、コントとコントの合間のトークとかもなし)
でギャグのつるべ打ち。
特撮ネタの『東京タワー』、アブナすぎる『頭の中に兎がいる』、
体酷使ネタ『うどん』、観客を壇上に上げちゃう『かぐや姫』、
『ホモ侍』、『フェロえもん』、2年前に大塚ジェルスホールで
見た『湘南サーファー物語』のロッククライミング版もあった。
オノが笑い過ぎて、何度も眼鏡をとって涙を拭いていたほど。
笑える、ということにかけては多分、現在のお笑い系演劇集団中
最強のユニットだろう。
しかし、2時間ぶっ続けでこの濃さは刺激が強過ぎる。
ラストあたりは胸焼けがしそうで弱った。
面白過ぎて困る、というのもぜいたくだが、彼らがこれだけの
実力を持ちながらマイナーな存在の理由の一端がそこにあるだろう、
と思うとき、複雑な気持ちになる。

ところで、カウンタックーズをウィキで引くと、変なことが
書いてある。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BC%E3%82%BA
吉本所属?
誰がどことカン違いして書き込んだのだろうか。

終わって、ラジオライフのT田くん、オノ&マド、ハッシー、
古舘プロジェクトYさんなどと一緒にホルモン焼きのいくどんに
行こうとしたが満席、仕方なく本多劇場裏の台湾料理店に。
ハッシーは“やり切った”という表情をしていた。

紹興酒飲みながら、いろいろ話す。
疲れがさすがにたまって、やや精神状態不安定。
オトナの裏に隠れた少年の部分がちょっと顔を出したり。
12時、珍しく早くお開き。
店を出たところで、同じ店にいた男性が走り出してきて、
サインを求められた。

下北のホームでハッシーに、今回の公演を観に来てくれた
お客さん(あぁルナは初めてという)のブログ記事を見せる。
ストレートにこちらのやりたいことを理解してくれている文章で、
こういうものにぶつかると本当に嬉しく、また、それだから
緊張も走る。

帰宅して、テレビをつけたら、テレ朝『ドスペ!』、
ちょうど私の出の最後のところ。番組をまとめようとして
かなりやっきになっている様子が見えるのが笑える。
オノに明日の件メールして就寝。

※写真はカウン稽古時のハッシー。汚いものを見せやがって、
とお怒りの方に、あぁルナの看板受付嬢、マイちゃん。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa