裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

金曜日

スカパーの鬼太郎

アニメ第一シリーズから一挙上映!

※M社プロット 『御利益』稽古

朝8時半、クリーニングに起こされて起床。
寝床でジョン・ブラックバーン『闇に葬れ』(論創社)読了。
いやあ、面白い。面白い。面白い。そう来ますか、マジに、という展開。
帯に“クーンツと並び称される異色作家”と謳ってあるが、
英国人らしい抑制された文体はクーンツよりよほど文学的である。
それなのに、ああそれなのに扱う題材が・・・・・・。
クーンツのホラーが乗ったら止まらないジェットコースターだとすると、
ブラックバーンはびっくりハウスだ。扉をあけるごとに、
まったく違う様相を呈していて読んでいるものはエッと驚く。
スパイ小説風にはじまり、18世紀の化学者詩人をめぐる伝奇ミステリ
になり、聖杯伝説と墓に仕掛けられた罠、なんて要素までが入ってきて、
インディ・ジョーンズかよオイ、と思いながら読んでいくと、
それまで読者を引きずってきたネタが拍子抜けのトリック
だったとあかされ、なぁんだ、と油断した次の瞬間、
驚愕の展開にいきなり持っていかれる。
怪作というか、たぶん読んだ人間の三分の一は呆れるか怒り出すか
するのではないかと思われるが、そういう着地点不明なスリルを
愛する者にはたまらない味わいの大奇想小説である。
値段がいかにマニアックな作品とはいえ2100円、
というのが難点だが、読む価値は十二分にある作品だ。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4846007391/karasawashyun-22

それで忘れてしまわないうちに夢メモ。
母が中華料理店を開店する(昨日チャイナ行ったからか)。
ガラス張りの店で、その日は元旦だったが、文壇関係者などが
新年宴会で集っていて、評論家のO氏などが上機嫌で
母にお世辞を遣って帰っていく。
私がそこにやってくるのを見てO氏は
「ああ、急に濃い雰囲気になった!」
などと酔って言う。
その日の営業終了後、まかない飯を食いながら
母に、レシピを自分にも教えておいてくれと頼む。
母はそこの壁にかかっている調味料を使うのよ、と指さす。
そこにビニール袋に入って、メリケン粉みたいな白い粉がある。
“滋養救病 金蜂創(きんぽうそう)”という、ハスの実から作った薬で、
昔、用明天皇が頭痛に悩んだとき、これを使って治したという
記録があるという。

9時朝食、イチゴ(甘王なのだが小さめ)とオレンジ、
スープ、青汁。漢方薬数種。
自室に戻って、日記つけや入浴に先駆けて、昨日中途半端に
終えてしまったM社プロット作り、まとめまでダダッと。
別段新しいアイデアが浮かんだわけではないが、ちょっと頭を
休めただけで、かなり不自然なところが解消されて、
いい具合にラストまでもっていけた。
もちろん、これをそのまま小説の文章にすれば完成、という
わけではない。
書き上げて入浴していいるうちにもう、
「あそこはああ変えよう」
というアイデアが浮かんで、あがってすぐメモ。

これと日記で一日の大半が費やされてしまった。
ちょっと反省。
連絡しなければいけない事項も多々、あれど、テンションが
そっちへ行ってない。
昼はシャケ弁。漬物がはいってなかったので、加賀屋の赤カブ漬け。
もう一本の小説の方もプロット作りのメモを見直したり。
もっともこっちは、某社の担当が変わってしまって、
現在のところ宙ぶらりん。持っていきどころはいろいろあるんだが。

週刊現代から電話、幻冬舎、アスペクト等からメール、
いずれも仕事関係。大和書房から打ち合せ催促、放ったらかしに
してしまった(いろいろドタバタで忙しく)。申し訳なし。
K子から、風呂場のシャワーヘッド交換依頼を早く出すように
言われていたが、これも放ったらかしだった。

5時、家を出て、バスで清沓会議室。『御利益』稽古。
荻窪まで地下鉄、それからバス。
車中オノから携帯に電話、月曜にTBSラジオ『こちら山中
デスクです』から出演依頼とのこと。8時ってえから
また朝か、と思って調べたら夜の8時だった。

清沓会議室久しぶり。
やはり鈴木希依子ちゃんは迷ったそうである。
ここまでくると売りになりそうだ。
稽古、まだヌキヌキでやっている。
一本通った形になるのは来週からか。
きちんと出なければと思うが、まだいろいろ入りそうで不安。
稽古中、かなり大きな地震あり。
一瞬、騒然とする。

珍しく飲まずに9時半、帰宅。
某人とメール・電話でやりとり、こっちの誤解も多々、あった。
ドタバタのせいとはいえ。一時やりとりが険悪になってこれで最後かと
思ったところで急転直下。ドラマみたいなすごい展開。
例のドタバタの方もこういう急転直下になればいいのに。

気分落ち着けるために蕎麦湯割の焼酎。
DVDでアウター・リミッツ『ゆがめられた世界統一』。
科学者という存在が、愚劣な政治思想を超越した宇宙的規模で
思考して世界平和を願う人々で、その目的のために非現実的な手段も
実行に移すのをためらわない、という60年代的設定は
今見るとイヤハヤだが、しかし、科学万歳にせず、そんな博愛主義も
突っ走りすぎると人間性を無視した愚行になる、というところにまで
持っていくあたり、やはりこの当時のアメリカの制作者たちは
凄いや、と思う。
かなり無理のあるストーリィを現実につなぎとめる細かい演出と
ロバート・カルプの演技が見事。

で、カルプをもっと見たくなり、『刑事コロンボ/指輪の爪あと』。
監督はお気に入りの『恐怖! 蛇人間スネーク』や『吸血怪獣ヒルゴン
の猛襲』を撮ったバーナード・コワルスキー。この二作を並べると
徹底したB級監督に思えてしまう(他にも『X星から来た吸血獣』
などを撮ってる)が、実はこんな作品を撮れる実力派なのですね。
本業はプロデューサーの方らしいが。

これ、中学生のとき見て、『二枚のドガの絵』と共に最も興奮した作品。
悪役がとにかく傲慢で尊大で、最後にコロンボにしてやられた
ときの爽快感がイイのである。『アウター〜』とまったく方向性の違う
役柄を演じられるカルプの実力。続いてカルプ特集で
『女ガンマン・皆殺しのメロディ』も見ようとしたらもう
1時半を回っていたので、諦めて就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa