裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

19日

金曜日

赤福の科学

「われは今日作った製品にして今日つくった製品にあらず」

※大和書房原稿 ネイキッドロフト『開田家のお蔵だし』ゲスト

朝9時、母からの電話で目が覚めるが、
当然まだ寝不足。
「10時半まで寝かせてくれ」
と言って、また寝る。結局10時に起きて風呂を使ったが
何かぐっすり寝たような気分。

朝食、遅かったので“昼食兼用”と、ご飯。
油揚の味噌汁、沢庵の刻んだの、焼きタラコ、それに
生卵に海苔とカツブシとネギを加えたもの。
小茶碗一杯、おいしくいただく。

マイミクさんの日記のコメントで、“RTFM”という
言い方を知る。自分で調べようとせずすぐ人にものを訊く
連中に対するコンピュータ業界用語で
「Read The Fuckin’ Manual」
(紹介してくれた方は上品な人だったので三語目は伏せ字だった)
の略。“まず自分でマニュアルくらい読め!”の意味だ
そうである。

それにしてもこの三語目の単語、米俗語では強調表現として
ほぼ全ての単語にくっつくが、日本語には相当する訳語がなく
昔から翻訳者泣かせであった。ほとんどの訳者は
「くそいまいましい」
などというこなれの悪い単語を当てていた。
てっきりこれは近年になって翻訳者がファッキンの訳のために
作り出した日本語に違いない、と長いこと思い込んでいたのだが、
後年、林芙美子の小説の中に発見したときにはびっくりした
ものである。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000291/files/24366_18506.html

午前中、仕事。
そろそろ今年も火がついてきたかな。
大和の原作もやりたくて自宅で出来ず、3時半ころ
事務所に出て、そこでの作業になる。

モンティパイソン日本語版がDVDで、ってニュース。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000X431A4/karasawashyun-22
マニアが録音していた音声素材を元に編集したものらしい。
懐かしいことは懐かしいが、しかしすでにモンティパイソン
については、字幕版に親しんだ時間の方が長くなってしまって
いる。ジョン・クリーズやテリー・ジョーンズのナマの声に
おなじみになっているのだ。吹き替え版の方が記憶の中で美化
されすぎていて、実際に聞いてみたら……ということにならないか、
それが心配。

事務所で原稿。
資料揃えて、調べて書いているのに、書いているうちに
「あれ、そうだったんだ!」
というような発見がある。自分にとっては全く盲点だった
部分が、“文字”にしているうちに見えてきて、予定していた
文の落ち着き先とはまったく別な地点に着地する、
自分の視野がぐん、と広がった感じになる。
そして、それを読者に伝え得たという喜びがじん、と
体の芯から湧き上がってくる。
これは物書きのみが味わえる特権みたいなものだろう。
僅々400w程度の原稿なのだが。

4時45分、家を出てタクシー使い百人町ネイキッド・ロフト。
さいとうさん、オノと、阿佐谷ロフトこけら落としの
オタクアミーゴス打ち合せ。
来年のロフトプラスワンイベント(私主催の)の課題として、
・これまでより入場料を上げる。ギャランティもきちんととる。
・そのかわり、今までのようにお気楽なトークでなく、準備した
きちんとした内容のものを主とする。
ということを発案。一応の了承を得る。
ただしさいとうさんは、気楽なダベりもやってほしい、と、
ネイキッドでのダラダラトークを提案してくる。それも併設する
べきか?

一旦出て、オノとちょっと何か腹に入れようと。
しかし、なにしろ場所が場所だ。
歩けども歩けども韓国料理の店ばかり。
意地で違う店に入ろうと、区役所通りまで行って
餃子専科に入る。餃子はともかく、ラーメンとチャーハンは
味に比して値段高すぎ。

店に帰る。雨、次第にしげし。
すでに開田さん夫妻はスタンバイ。
アスペクトK田くん、マド、IPPANさん、ナンビョーSくん、
O内夫妻、ぴろりさん、はれつさん、しら〜、クララ・キインさん
など、知り合いも多いが、知らない顔も多々。
SF大会での開田さんの発表を見て来た人も多いようだ。

第一部のトークは客席で聞く。
第二部から壇上に。
同人誌を事務所から持っていくときにバーバラから
「あそこの店は同人誌、売れません。三部くらい持っていけば
いいですよ」
と言われたので3部だけ持っていったら、あっという間に
売り切れた。売れるじゃないのよ。

お客が次々に入って、立ち見の出る盛況となる。
第二部が京都の撮影所ばなし、第三部が長野の花火。
もう最初に下清内路に行ったのは七年も前になるんだなあ。
と、いうことはそのビデオを開田さんに編集してもらって
帰京のその日に(つまり翌日に)後楽園のトラッシュポップ
フェスティバルで上映したのも七年も前か。
打ち上げたあとの大三国の大筒や、石井輝男の『地獄』で使われた
馬頭のぬいぐるみの頭(原口智生制作)にみんなが群がっていた。

終って、ホッピー飲みながら残り組と雑談。
さすがにお客が入ったのでギャランティも思ったより倍も
いただけた。さいとうさん誘い、開田夫妻、K田くん、
オノマド、しら〜と焼肉。幸永の支店。
やたら奇麗な店だった。
もっとも、さっき餃子食ったばかりなので、
あまり食べず。いや、桜ロースや極ホルモンはかなり
いったか。飲んでいたのでよくわからず。
ギャラ、想定外だったので全額支払いに寄付。
帰宅2時過ぎ、午前様ってなぁ続くもんだね。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa