裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

日曜日

オー、イェー騒動

ベイビー、レッツトゥゲザー、家をのっとろうぜ。

※原稿不捗 稽古

朝、5時ころ、両腕と親指が痒くて目が覚める。
ふと見ると、両腕のひじの内側と、左の親指の関節
のところが蚊に刺されて腫れている。
ゆうべ、八幡神社のところで蚊に刺されはしたが、
あそこの蚊に刺されたより痒みが強い。
腫れも親指を内側に曲げられないほど。
布団の中でぼりぼり掻いていたら、耳元でプウンという
大きな音。うわっ、と声を出して飛び起きる。
このままだと朝まで刺されぱなし。

服を羽織って、蚊取り線香でもないかな、と近くの
コンビニに走るが、薬品類は栄養剤、胃薬のみで
殺虫剤のたぐいは無し。当たり前か。
虚しく部屋に帰ると、寝室の天井に大きなゴマ粒のように
黒い蚊が止まっていた。
掃除機を持ちだして、吸い込む戦法に出る。
奇襲は失敗して飛び立たせてしまったが、追いかけて
吸い込ませ、何とか退治ることに成功。
寝直す。

二度寝で夢。
落語会の楽屋にいる。
それが、いつも会っている談笑やブラックではなく、
(談之助はいたが)喬太郎やたい平のいる楽屋。
私もどうもそういう“普通の”ところは居心地が悪いなあ、と
思っていた。

8時半起床、9時朝食。
母の室で朝食、バナナとブドー。
これから公演で、飲みで午前様などという日も多くなると
思われ、明日から朝食でなく昼飯をここでとることにする。

K子経由で奇妙なメールが来た。6年前、取手駅で
唐沢俊一と名乗る男から著書を受け取ったが、あれは
本当に唐沢俊一なのでしょうか、というもの。
自分のニセモノが出たのはこれが初めてではないが、
出した人の真意も判然としないので返事の出しようもなし。

楽工社原稿、なにしろ取り上げる本が分厚くて、付箋貼った
ところを探しだすだけで容易なことでない。
時間だけが過ぎていく。
昼はコンビニで買ったハンバーグ弁当。

原稿完成できず、5時半、家を出て天沼。
青梅街道が騒がしいのは高円寺の阿波踊りのせいだろう。
天沼もお祭りが騒がしい。
神輿の行列の最後に、こないだわれわれの芝居を
お祓いしてくうれた鶴岡神官もいた。

稽古場、もうほとんど本番前夜の緊張感。
ハッシーも本番に備え髪を染めて、なかなか異様。
稽古、衣装合わせ。今回もほぼ、自前で。
私の出のうち、前半はいいが後半がちょっと失速。
つくづく、舞台役者じゃないんだなあと思う。
とはいえ、芝居そのものはまことにスピード感あふれ
にぎやか。

9時半、稽古終わり、まっすぐに中野へ。
原稿書き続きちょこっとやって、
メモ書きとメール連絡もちょこちょこ。
芝居のセリフを口の中でぶつぶつやりながら。

11時ころ、鶏肉をすきやき風にして、ビール。
最初は味が薄かったので、もう一度煮直す。
今日の日記メモつけ、コロンボ『もうひとつの鍵』見ながら。
犯人のスーザン・クラークは地味ながら実力派の女優だが、
今回はゲストが凄く、『裸の銃を持つ男』のレスリー・ニールセン
が犯人の恋人役、殺される兄に『バイオニック・ジェミー』の
ゴールドマン局長ことリチャード・アンダーソン、
そして犯人の母親役にヒッチコックの『泥棒成金』で、
グレース・ケリーの母親役をやって、目玉焼きでタバコを消す
という印象的なシーンを演じたジェシー・ロイス・ランディス。
やはり貫録だったが、ガンのため1972年死去。
71年製作のこのコロンボが遺作になっている。
コロンボシリーズの魅力は、古い映画ファンであればあるほど
こういうキャスティングが楽しめること、かもしれない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa