裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

火曜日

ポ、ポ、ポータル来い

あっちの検索はあーまいぞ。

※『EX大衆』インタビュー 『プロント・プロント』差し替え原稿
『佳声自伝』冒頭まとめ 『鬼畜大変態』

毎日YouTubeを検索しているので
夢にまで出てきた。
「YouTubeを作った男たち」
みたいなドキュメンタリーなんだが、内容はモンティパイソン調
で、ナチの残党が世界一のアイスクリームチェーンを
作ろうとして間違えてYouTubeを作ってしまうというもの。

8時50分起床、急いで起きてシャワー浴びて、
9時15分朝食。スイカ、ブドー、バナナいずれも少量づつ。
母と、昨日の談笑との食事のこと。
「働いたら負けと思ってる」
ってニートたちにとっての大名言は談笑さんのインタビューで
出てきた言葉なのですねえ。
http://www.youtube.com/watch?v=iRZfRDABf9E

佳声自伝原稿、冒頭のところまとめてバーバラと佳江さんに。
2時半、渋谷に出る。
空は青く日光であふれ、地上は人があきらかに少ない。
盆なのだな、と感じる。

はなまるうどんで肉うどん啜って、
それから東武ホテル。
『EX大衆』インタビュー。
“アニメのライバルキャラについて”。
ベルク・カッツェは悪役、デスラーは悪役からライバルへ
“昇進”した、市川治がアテた美形キャラは悪役かライバルか、
ルパン三世における最大のライバルはパイカルであること、
あと、花形、力石といった原作由来のライバルたちの
歴史から、なぜライバルキャラに人気が出るか、
しかしながら人気の秘密も限界も、やはりライバルというのは
主人公がいてのライバルだからである、というポイントなどを話す。
若い女性編集者二人は聴いてかなり面白がってくれたが、
脇で聞いていた年配のカメラマンさんが
「小沢さんて人もあれだけ選挙で勝ちながら人気がないのは
ライバルキャラのニンだからですかねえ」
と話しかけてきて、少しそっちの話題も。
写真撮影のときもこのカメラマンさん、かなり凝って
いろいろ撮影してくれた。

事務所に戻り、『プロント・プロント』原稿、
一部差し替え原稿を書いて送る。
あと暑中見舞と公演案内状の送付リストを作ってオノに預ける。

5時半、オノと事務所を出てタクシーで赤坂見附、そこから
地下鉄銀座線で三越前。三越前駅、改装進んでいて
いつもの出口がどこだったかちょっととまどい、
オノに心配されるが、無事正しい出口から出られた。
お江戸日本橋亭にて快楽亭ブラック主催『鬼畜大変態』。

ぎじんさん、しら〜さん、rikiさんなどいつものメンバー
十人ほど、あと安達瑶さんコンビもひさしぶり。
元・『創』のKさんも、川柳師匠のファンだということで
顔を出す。キウイからやっと手ぬぐいが出来ました、と
渡された。あと、快楽亭がいきなり楽屋から来て、オノに
「この寄席では美人にアイスクリームを差し上げることに
なってまして」
と菓子を一個、くれて、オノがきょとんとしていた。

「気に入られたんじゃないの」
と言うと、
「でも、アイスクリームじゃなくてこれ、マコロンですが」
「うーむ、美人にはアイス、そうでない女性にはマコロン
という遠回しの皮肉か?」
と思ったがそこまで行くと遠回しすぎて何だかわからん。
楽屋で川柳師匠、佳声先生に挨拶。
川柳師匠、『元祖立川流』同人誌を楽屋で読んでいて、
「この“学会”てえのはなんだい」
とキウイに聞いていた。
「あ、それはカラサワ先生とかがいらっしゃる“と学会”という
団体で」
「へえ、学会員なのかいあの人」
……きちんと説明が理解されたか、不安。

開口一番がキウイ、このあいだは初めて彼の袴姿の高座を
見たが、今回は初めて紋付姿の高座を見る。二つ目らしいのが
この格好だけというのも困ったものだが。

それから談之助が出てきて、席がギッシリなので
「お膝送りをお願いします」
と言い、
「まったく、真打ちになってお膝送りをするとは思わなかった」
とボヤく。快楽亭の出る寄席は諸般の事情で前座が使えない
のである。

客はギッシリ、ネタはひさびさにリミッターを外した
鬼畜大変態、なのだが、正直なところ、暑さでみんなバテて
いるのか、ネタ自体はどれもトンがっているが、
いまいち客とのカミ合いが悪かった気が。
やはりトンデモ落語会のオタク客とはちょっと客層が違う。
川柳さんも『歌は世に連れ』、客が懐メロをよく知らないので
途中で投げてしまったようだったし。
元気いいぞうのみはどこでもマイペース。
考えてみれば、もう元気いいぞうに出会ってから(当時はまだ
田村真一郎)二十年近く経っているのだなあ。

佳声先生のは『悪魔の笑い』。
パソコンを使っての画面操作にちょっとまだ
とまどっていたが、絵のインパクトでやはり
印象には一番残る。
正蔵(もちろん先代の)の芝居噺の趣もあって、
怪談噺の会などには絶対に入れるべきものだろう。

続いて
「演芸半ばでございますが」
と、談之助の司会でキウイの二つ目昇進披露目。
ブラックが
「人倫の道というものがございまして、このキウイは
ご贔屓にしてくれている××××さんの奥さんに手をつけたという」
「ブラック師匠! それは××です」
「馬鹿野郎、××が手をつけたのは×××の彼女だ」
と、もうムッチャクチャ。さすがの川柳もあきれ顔で笑っていた。

快楽亭は『開田乳房榎』、終って打上げ。
オノは冷房で冷えすぎて体調崩したといって帰る。
神田まで歩いて、いつもの焼肉。
安達さんや梅田かずおさんといろいろ話しながら。
かずおさん、今日は佳声先生の手伝いで会社を早退するとき
“どういうイベントか説明するのに困りました”とか。
あと、アルゴの細谷さんからは、例の件、ユーロスペース
の人がもうベタ褒めで騒ぎまくっているので、早くやり
ましょうとのこと。

隣席になった広告関係の人に、お仕事の依頼を受ける。
いろんなつながりが出来るもの。
jyamaさんは子供連れで海水浴に行ったらしく、
鼻の頭が赤いよ、と言ったらrikiさんにからかわれていた。
佳声先生に『悪魔の笑い』のその後のストーリィを聞いたり
(タコ男が出てくるなど、無茶苦茶になるらしい)
安達さんたちと新聞連載の話、旅行の話、ネット騒動の話、
肉を食う話などいろいろとワイワイ楽しく。夏バテなのに
焼肉のみはスルスルと胃に入ってしまう。
ここはモンゴル塩というのがあり、
岩塩を挽いてこれで焼肉を食わせる。なかなか結構。

帰り道、川柳師匠と落語談義(!)。
「『酢豆腐』って完成されてしかも笑いもとれる噺があるのに
いまだに『ちりとてちん』なんて、同工異曲とはいえ内容がなくて
展開にも無理のある噺が残っているんでしょう」
「小さんさんが演っていたからだろうなあ」
「それだけの理由ですか」
「『酢豆腐』は演じると志ん朝さんと比べられちゃうからなあ」
「あ、それはありますねえ」
などと。この落語論、伝染してそこから先は談之助さんと。

新宿駅でみんなと別れ、丸ノ内線で新中野。
ポケットに手を入れてみたら鍵がない。
どうも、出るとき事務所に忘れたようである。
あちゃあ、と思い、電話したら幸い母が起きていたので
スペアをもらい、部屋に入れた。
12時半、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa