裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

1日

水曜日

マリー・インターネット

女王さま、革命板で祭が!

※原稿書き(未完成) 打ち合せ二件

朝、6時に目が覚めたが、昨日の酒が残って
かなりの二日酔い。そのままウツラウツラで
9時まで再度寝てしまった。
咳がなおりかけで、ゼゴーッ、という変な音で
強烈な粘稠度の痰とともに出る。
風待将監なみである。

9時半、シャワーして朝食。プルーン、キウイ。
量を少なくしたので昼までに腹が減るが、
ダイエットのために我慢。
しら〜から来た、昨日の議事確認メールに、
いろいろとアイデアを添えて返信。

阿久悠氏死去の報。
何か続く。
私が生きた、どの時のどの局面でも、
そこに阿久氏の歌詞があった。
慎重に言葉を選び、そしてそれを乱暴に用いる、という
感じの言葉使いだった。
谷沢永一だったか、日本語の真髄を知りたいなら、
どんな現代詩人よりも阿久悠の詞を分析・研究すべきだ、と
言っていて、眼からウロコが落ちたことがある。
あれだけの数(5000曲とか言われている)の歌詞を
作ったのだ、全てが心から生み出された言葉ばかりでは
ないだろう。しかし、そのフレーズは必ずどこかの、誰かの
心にフックするものを持っていた。それは、“言葉そのもの”
のパワーを阿久氏が知り尽くしていたからだろう。
それまでの作詞家にとり、言葉はツールだった。
阿久氏は言葉のために歌を作った。

「青春時代の真ん中は道に迷っているばかり」(青春時代)
「愛と言うのじゃないけれど 私は抱かれてみたかった」(ざんげの値打ちもない)
「上から読んでも下から読んでもヨノナカバカナノヨ」(世迷い言)
「ミルクでも飲んだらすぐにお帰りよ」(カメレオン・アーミー)
「友だちならそこのところうまく伝えて」(ジョニーへの伝言)
「流行りの歌などなくていい」(舟歌)
「うまく行く恋なんて恋じゃない」(気絶するほど悩ましい)
「旅立つ男の胸には ロマンのかけらが欲しいのさ」(真っ赤なスカーフ)
「不思議の謎をとかねばならぬ」(ファイヤーマン)

……こういう歌で、わたしはできているのである。
一番ショッキングだった歌詞は『マッハバロン』だろうか。
「悪の天才が時に野心を抱き……」
の“時に”という言葉の使い方、それから
「君はどうする、君はどうするか君は」
というつっかかったような言い募り。
「頼む、頼む、頼む、頼む、マッハバロン」
という投げやりにすぎるような終り方。
特撮番組の主題歌などというのはインパクト重視だが、
ここまでインパクトだけで突っ切った歌というのを私は他に知らない。

http://www.youtube.com/watch?v=Gk1aklTR920
↑『スペース・リザード3001/宇宙の極道蜥蜴』
日本語版タイトルだけでアマゾンで衝動買いしたビデオ
(もっともユーズドで250円だった)。
どんなものかと見てみたが、買って正解だった模様。
『エロ猿の惑星』というDVDもあって、そっちも衝動買い
したんだが昨日届いたのを見て、“ちょっと”後悔。

原稿書き、それから買い物して、また昼飯を食い損ね、
コンビニでメンチカツパンとカフェラテを買い、噛って。
最近少し夏バテ(湿気バテ)で食欲がない。
電話、何度もかけたりかけられたり。

3時、東武ホテルで打ち合せ。
ラジオゲスト出演の内容について。
昭和レトロから、“あっち”の方へ話を
持っていこうということになる。

事務所に帰り、原稿。
なかなか進まず、出る時間までには完成させられなかった。
残念。いい資料があって楽しく書けていたのだが。
タクシーで築地まで。
書評委員打ち合せ。
宮川のうなぎが出て、しかもおみやげに持っていって
ください、と二人前渡される。
タウナギの話がウナギつながりで出て、
ちょうど台湾で買った台南小吃の本にタウナギの写真が
出ていたので見せたら、
「いつもこういう本を持って歩いているんですか」
と言われた。

8時半、開放さる。
ひとまず渋谷仕事場に帰り、ゲラチェックと短いコメントを
編集部宛に送る。
それから幡ヶ谷へ。植木不等式氏とチャイナハウスで
会食。こちらの目的としては、昨日の企画の協力をお願い
するため。
「このようなネタで何か……」
と依頼したら、たちどころに最新の情報を元に、しかも人名など
細かいところまですらすらと述べ立て、
「こういうのはどうでしょう」
と例を示され、改めてこの人の頭脳に感服。

植木氏がらみの仕事のことも。
ほう、というような情報もあり。
あいさんにご挨拶、なんでも今度NHKに出演するとのこと。
夏バテでほとんど食欲ないが、酒だけは入る。
熊の胆を漬け込んだ酒というのがちょうどあったので、
二杯ほどいただく。
これで少し胃が元気になったか、メダイの揚物のソースに
入っていた、ネギとニンニクと香菜のみじん切りが大変に
気に入って、さらって食べる。
紹興酒がなくなり、瓶を割って、その割りばなをいただいた。
やはり香りと口触りが違う。

マスターに台南小吃の本をプレゼントしたら、
代金をタダにしてくれた。
感謝。植木氏とタクシー乗り合わせて帰る。
メールチェックのみして1時半、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa