裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

8日

土曜日

跡見山脇御茶の水、富士に桜陰学習院

 ヘドラのうたで。♪白百合実践京華女子、潤徳玉川聖学園、か〜え〜せ、か〜え〜せ、清純な女子高生をか〜え〜せ。朝7時半起き。題名の替え歌は夢の中で歌っていたもの。朝食、ピタパンと水蜜桃。日課の服薬、小青龍湯(水代謝のため)、百草胃腸薬、それとバテ防止用プラセンタ。午前中に週アス一本。書きながらネタについて調べて、自分でも意外な知識を得られるのがこういう雑学ネタエッセイの嬉しさ。それを十年も前から知ってるてな顔をして書く。読者は私のことを何でもよく知っている男だと感心してるだろうが、実はほとんどは書く段階で得た知識なのである。

 昨日の台風、昼まで居残ると昨日の天気予報にあったので心配だったが、朝方にはカラリと晴れ、台風一過。湿気はたっぷりで気温は三○度を超すとかで、けしからん暑気となりそう。それはそれで憂鬱。12時、家を出て浜松町、モノレールに乗り換えて天王洲アイル。居酒屋“藩”で昼飯(つけ麺とイクラご飯の定食。イクラご飯に乗っているイクラの数、勘定したら11粒)食ってから、BOOKTV収録スタジオ入り。モニターに映るわが顔の、青ンぶくれていることに愕然とする。金沢でさんざ飲んだ跡が明白。画像はウソをつきませんな。

 そもそも私の顔は立てにも長いが、横にも長い(奥行きがある、ともいう)。要するに犬顔なのである。陰影の強調される場だとノーブルに見えなくもない(自分の日記なのだから少しはウヌボレさせていただく)が、テレビ等でライトがバシバシ当てられると、それが平面的になり、やたら顔の面積が広く見える。白い上着に帽子、というスタイルだったので、何やら映画『名探偵登場』のトルーマン・カポーティみたいな顔になる。いささか落胆する。

 今回からこの番組、本についてコメントする時間が長くなった(以前は一冊につき一分程度だったのが三分に)とのこと。アアソウデスカ、と、コメントを三分に延ばして話すと、スタッフ一同に“よくそう調節できますね”と大感心される。他のコメンテーターだと、話すことがなくなって立往生したり、あるいは長くなったと思ってダラダラしゃべり、結局オーバーしちゃって撮り直しになるそうな。これは場馴れというより、運動神経のようなカンの問題だろう。私がコメンテーターの日は、普通 三時間かかる収録が二時間で終わる。半ドンだ、とスタッフたちが喜ぶという。とはいえラストで少し舌を噛んでオロついた。出来は68点。ギャラはトッパライ。

 渋谷に戻り、こないだシャツを注文しておいたのが届く日なのでSHIPSに寄って受け取ろうとするが、さんざ待たされる。手違いでまだ届いていないとのこと。お詫びに店の方から配達してくれるというので出て、青山の方まで散歩がてら歩き、買い物。暑さはそれほどでもないが、湿気がやはりひどく、体調が変てこになる。さっき自分の顔が水を含んだスポンジみたいだったことを思い出し、新宿まで出てサウナに飛び込む。汗をこの数日、あまりかいてないせいか、能登と加賀で飲んだ酒が体内に蓄留していたらしく、入ったとたんにジャブジャブという感じで流れる。体重1キロ分、絞る。マッサージ受けている最中に、どこやらの大学のスポーツ部の学生たちがサウナに入ってきて、いやはしゃぐのなんの。小学生と大して精神年齢が変わらんのではないかと思った。

 9時、夕食。鮎飯と牛のタタキ、ナス煮びたし。ビデオでサウスパーク。ハニベ岩窟院の絵はがきなど見る。そうそう、小松駅に小人が演じているような奇形的な弁慶と富樫の像があったとこないだの日記に書いたが、この像、やはりハニベの二代目当主の作であった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa