裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

2日

日曜日

シューベルトころ住むところ

 未完成寿限無。朝8時半起き。なんなんだろう、七曜に関係ない職業しているにも関わらず、日曜は寝過ごしてしまう率が高いな。朝食、スープの残り。読売新聞の書評欄『戦闘少女の精神分析』における東浩紀氏の文章に曰く“本書の分析はおたくたちの閉鎖的集団を前提にしているが、書評者の実感では、むしろここ数年おたくの集団は解体し、“おたく”と“非おたく”の境界にある作品や商品が普通に蔓延している。(中略)おたく的感性を“病理”として捉えるのはすでに無理ではないか”。どうも精神分析と現代思想とでメシのタネのオタクの取合いをしているようである。オタク諸君、今なら自分を高く売れるぞ。

 東浩紀氏の悪口はあまり言いたくない。“またか”と思われるからだが、それにしても東氏ファンに聞きたい。今日の書評もそうだったが、彼、文章があまりに下手すぎないか? 彼の著作におけるデリダ論などは内容が内容だけに、わかりにくいこともあたりまえ、と思ってその難解さを不思議に思ってもいないだろうが、多くの雑誌に掲載されている彼の文章を読むと、その著作の難解さの大部分は彼の文章の下手くそさに起因しているのではないか、と思わざるを得ないのである。今日の書評欄の文章(内容のことは措く)などは最たるものだ。悪文ならまだよろしい。単なる幼稚な文章なのである。ウソだと思うなら、同じ書評欄の他の評者の文章と比較してみるといい。読売の書評欄は評者に多く大学関係者を起用するという悪癖を有しており、大学関係者の文章の読みづらいことは(まあ、読みやすい面白い文章を、という要求を大学というところはそもそもされないところなので致し方ないが)夙に大方より指摘されている通りなのだが、その中でも東氏の文章は群を抜いて下手である。中学生以 下である。若くして名をなした故に、誰も直截にそれを指摘してくれないのは、東氏 の不幸だろう。東氏よ、師匠の浅田氏の文章は、そこはやはり学者文であったが、それでも若い読者に向けての工夫と、1パーセントの“売文の徒”としての媚びがあった。この媚びを卑下と思ってはいけない。自分の文章を金を払って読んでくれる者への礼儀としての愛想である。人脈を見るに回りにあまりいい文章書きがいないようだが、誰でもいい、今のうちに上手な文章を書ける人を選んで、半年くらいその人について作文のお勉強をすることだ。さもないと、後で苦労するよ。

 日記をK子がUPするが、新しい月なのでゴタゴタして数回失敗。昼近くにやっとUP。週刊アスキー書き出すが、なんか時間があっという間に過ぎてしまう。やはり朝の一時間は午後の三時間くらいに匹敵する。

 3時近くに週アス書き上げ、それからと学会同人誌原稿、引用部分も完成させて、編集のYくんにメール。頭が熱をもってきたようだし、原稿書きで昼飯を食い損ねていたので、ちょっと買い物に出る。雨、ポツリポツリ。タワレコ冷やかし、そのあと渋谷SHIPSでシャツを買い(サイズの合うのがなくて注文になる)、青山のサンドイッチショップに入ってアボカドサンドで遅い昼飯。

 青山通りの方へブラブラ。青山病院の脇の方を通る道を上がっていくと、子供の城の横のところに出るが、ここに、現代彫刻がいくつか並べられている。その中に、黒い鋳鉄製の、少女の像があった。裸の少女が横たわっている姿の、二メートルほどの像で、胸はふくらみ、性器もはっきりとではないが見えていた。そして、その腹のあたりが大きく叩き切ったように割れていて、丁度上下に切断されたような感じに見えないこともなかった。いずれ製作者にはこういうフォルムにした、何らかの意味があるのだろうが、まず、大方の現代美術同様、見る方には意味不明である。散歩のたびに横目でこれを見て、“なんだかアブない像だなあ”と笑っていた。それが今日通 ったら、なんと!その像が撤去されていた。土が掘り返され、重い鉄製の像を支えていた土台が剥き出しになっている。損傷を受けるようなヤワな像ではないし、他の像にはなんの手も加えられていない。ひょっとして、“あんな裸像の、しかも殺人を連想させるようなものを子供の城に飾っておくとは”という抗議が来て・・・・・・というようなことなのだろうか?それとも、単なる場所の移動か? 次に行ったとき、確かめね ばなるまい。

 帰って幻冬舎のゲラチェックをやる。あまり進まず。雷あり、ワザッと驟雨。この気圧のせいか。早めに放擲して、若松若太夫(初代)の説教節『石童丸』などCDで聞きながら、メシの支度をする。ジャコご飯、カニとキクラゲの中華風炒めもの、カモの鉄板焼き風。ジャコ飯はわれながら上手く炊けた。知ってるつもりを見て、それからビデオでウルトラQ。『1/8計画』で、ユリちゃんを留置場から脱出させてやる坊主頭の大男役者、私が子供の自分には大活躍の怪人であった。NHKの子供番組で怪物とか、アラジンのランプの精、などという役どころのある作品には必ず出ていたし、怪しげな中国人とか、用心棒とかいう役で大人向けのドラマにもしょっちゅうその異相を見せ、しまいにはカロヤンだったかのフケとりのCMで、そのツルツル頭で“私だって知ってます”とやり、流行語にまでなった。巨体とヌメヌメした口もとと、なにかたどたどしい口調のセリフ回しは、一度見たら忘れられない印象を残す俳優である・・・・・・と書いて、あれ、そう言えば名前を知らなかった、と気がついた。ウルトラQ関係の資料を掘り出せば書いてあるんだろうが、今忙しくて調べる時間がない。誰か知っている人がいたら教えてくださーい。

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