裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

4日

火曜日

ギギギの鬼太郎

原爆は妖怪より憎いんじゃ〜ギギギ。(中沢啓治)

※『ピンポン』出演 睦月さん対談 井上くんお見舞 

朝8時に奮闘努力して起床、入浴して全身からお好み焼きの
ニオイを流し落とす。
飲みすぎというよりしゃべりすぎだろう、ノドがガラガラ。
浴槽の湯気をうんと吸い込んで吸入がわり。
これが案外、効果あるのである。
9時、朝食。新聞とりに玄関の方に出たら、もうハイヤーが
待っている。30分前に着いている規則ってのは
オチツカナイ。

イチゴ、伊予柑、スープの朝食急いでとって、
身支度。ファンにもらったバーバリーのネクタイを締める。
9時半、迎えのオノと一緒にハイヤーでTBS。
金曜日のせいか、道がかなり混んでいた。
ついてすぐメイク。
メイク室で帽子を脱いで気がついた。
しまった、帽子を変えてこなかった。
お好み焼きの匂いがプンプン。

今日は(オノに指摘されて初めて気がついたが)いつもの
水曜日ではなく、火曜日。お相手が女優の麻木久仁子さん。
失礼ながら、私とそんなに年齢は違わない筈なのだが、
いやお若いこと。で、毒舌なこと。
「唐沢さんの本はほとんど持ってます」
と言われて恐縮する。
プロデューサーも新しい人になり、そのノリのよさに
オノが喜んでいた。

久しぶりだったがスタジオのみんなあたたかく、
楽しくテンション高くしゃべれたと思う。
音響がなんとあぁルナでいつも合うH崎くんだった。
今日、ハッシーの芝居行くつもりだったが満席だったとやら。
収録終わり、またハイヤーで渋谷へ。
腹が減ったんで神山町の聞弦房(手打ち蕎麦)に二人で入って
蕎麦ランチ。

仕事場に戻って、ミクシィをのぞいたら、マイミクさんたち
大激怒の最中。ミクシィの4月からの新規約中に
「第18条 日記等の情報の使用許諾等
1  本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する場合には、
ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を日本の国内外において
無償かつ非独占的に使用する権利(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、
翻訳、改変等を行うこと)を許諾するものとします。
2 ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものとします」
とあり、ご丁寧に附則で
「本利用規約の施行前にユーザーによって行われた行為についても
本利用規約が適用されます」
とある。これにみんな一斉に反発したらしい。
要するにミクシィ、俺等の日記を勝手に本にして出版するけど
金は払わないぞと言うておるんか、というわけである。

しかしながら、常識で考えてこんな無茶なことが通るわけもない。
著作物における財産権は憲法で定められている権利であって、
規約がどうあれ、上位にある法律や憲法を無視できるものではない。
そんなことをしたら、というよりそんな規約を作った段階でアウトだ。
よくよく条文の他の部分を読んでみれば、要するにミクシィが
RSSなどのサービスを行う際の、著作者人格権における改変の
拒否権を放棄すること、という程度のことなのである。
それをこんな書き方にしてしまったために、もの凄い誤解を
されてしまった。実際、悪文にしてもわかりにくすぎ、悪くとれすぎ
である。どこのバカが書いた文章かと思うが、しかし、フツーに
考えてミクシィ運営者(一応ここまでミクシィを成功させたのである。
ビジネスセンスは十二分に持っている人物だろう)がそんなバカな
考えを抱くとはとても思えない。
本気でこんなことを考えるのはヤクザしかあるまい。
この文章をアップした奴の文章表現力のなさ、及び法務部などに
ノーチェックで(チェックして上げたとしたら法務部、顧問弁護士
などが無能すぎ)アップしたことが問題なだけである。
それを、悪の陰謀を向うがたくらんでいる、みたいにとらえて、
ミクシィを退会する、とか最初に騒いで火をつけた奴が誰かと
思ってサーチしてみたら……。やれやれ。

事務所でちょっと仕事。
ペンディング状態になっている企画についてやりとり。
何とか再開して年内にはまとめたいと思っていたのだが、
向うとしては年内どころか6月末か7月には形にしたい、と。
何にしても打ち合せを必要とするな。

4時、バーバラと睦月さん来社。
バーバラが軍事専門の同人誌フェアで売る本のために
軍歌について対談。以前買った軍歌全集のCDを聞きながら。
対談そのものは30分で終わり。
軍歌やアニソンというのは、非日常の歌、である。
歌詞に日常では普通使わない、正義だとか命をかけてだとか、
そういう文句がやたらに出てくるわけで、歌うのにテレがどうしても
でてしまうのである。しかし、だからこそ、そのハードルを
越えて歌うことで快感が一般の歌謡曲にない高揚感を抱かせる
のだと思う。

睦月さんに例のこと伝える。
ちょっと驚いていた。
うーん、睦月さんにこういうこと伝えるのはHさんのときに
次いで2度目だな。
そういう役回りか。

5時半、事務所を出て、初台まで。本当は久しぶりだし、
睦月さんにはちょっと相談ごともあったのだが
すでにスケジュール組んだ後だったので残念。
京王線で千歳烏山。オノに買ってもらったいちご大福(一個
399円という、あまおう一粒が豪快に乗っかっているやつ)
を持って、某クリニックに、井上デザインの井上くんの
お見舞い。緊急入院ということで心配していたが、
病室で仕事していた。雑談最中にも出版社から電話あり、
事務所にいるのと変わらない。
引っ越しばなしなど。井上くんも年内に引っ越し。
ただし彼の場合は数百メートル先への移転。
「それは引っ越しとは言わず“ずれる”と言うのでは」
などと。

終わって、千歳烏山から笹塚まで。
今日は麻衣夢ちゃん乾ちゃんなどが『ホワイトソング』
観に行くというので、じゃあその後一緒に食事しよう、
ということになったのである。
まだ終演にはちょっと時間があったので、
近くの喫茶店で文庫本読んでいたら、わっ、と驚いたような声。
見ると、梅田かずおさん(佳声先生の息子さん)だった。
会社帰りに何の気なしに立ち寄ったとのこと。
私が笹塚の喫茶店に入るなど、これが初めてで
たぶん今後も生きている間にもう一回あるかないかだと思う。
そんな、人生に二回くらいの機会で知りあいに遭う。
西手新九郎ですなあ。

時間見つくろって笹塚ファクトリーの前でみんなに合流。
ハッシーにも挨拶。
かずえちゃんは主役の山本匠馬のイケメンぶりに、
もう大満足の様子。もやしくんに
「ホストクラブに来てんじゃないんだから」
とツッコまれていた。

麻衣夢、乾、もやし、渡辺、岡っち、八木橋というメンツで
新宿上海小吃へ。
一応電話しといたのだがママさん、
「カラサワさんの声はすぐワカルね」
と。お互いさまです。
犬鍋と思ったのだが女の子たちがビビるので、火鍋で。
鹹家鴨がサービスでついたがこれが大変にうまかった。
青島ビール、それから紹興酒。
ハッシーと行き違いで連絡つかず、来られなかったのが残念。
話はいろいろと多岐に渡り、12時近くまで。
ナベさんと私で支払い。
地下鉄最終で帰宅。
楽しかったが途中から喉のガラガライガイガがかなりひどくなった。

携帯が電池切れたので充電。
終わったところで、ロフトのさいとうさんから電話。
その後、光文社Kくんとも。
Kくん恐縮していたが、いろいろめんどくさいことも
業界に入ればまま、あり。
一本、原稿仕事すまして、蕎麦湯氷割焼酎一杯、
F社Yくんから貰ったメールを何度もしみじみ読み返す。
この2年間は長かったなあ。
開放してくれた人に感謝、である。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa