裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

15日

火曜日

摩訶般若パラメータ心経

色=空とした場合、悟りの係数は……。

※仕事不捗

せつない夢。
私と父・母が薬局の店頭で商売している。
一日が終わり、その日の日当をそれぞれ受け取る。
日当はかなりいい額だったが、しかし、この店はわれわれ
の店ではない。生活に困り、大手チェーン店に親子で
働いているのである。
生活費に充てねばいけないその日当で父は高い薬品を買い込む。
私と母はそれに苦情を言うが、父はきかない。
実は父は自分の体の衰えを感じ、薬品に頼って命を保とうと
しているのだ。私も母も、父の死期の近いのを知っているので
何とも言えない気分になる。

朝8時45分起床。
入浴、剃髭、歯磨その他如例。
9時15分朝食、ラフランス(半軟半硬)、オレンジ。
グリンピースのスープ。コショウが利いていて美味。

日記つけ。
二日分になると、ほとんど一日を日記つけだけで消費する
ことになる。本末転倒。
しかし、タイトルのダジャレはすぐ浮かんだのでだいぶ時間が
節約できる。あれが浮かばないときは本当、七転八倒の苦しみなのだ。
バカらしい苦しみだけに、なお苦しい。

思い切って、LDプレーヤーとベータマックスのデッキを
買うことにする。家にある未見LDの数がまだかなりあることと、
当分DVDにはオチないだろうというソフトがかなりあること、
ベータのテープはHDにオトすにしても、今のベータデッキでは
全部オトすまでもたないだろうという判断で。
通販の店を探すと、“注文は電話で”という、注文法までレトロな
店があったので、気に入ってそこで買うことにした。
思ったより安く手に入った。

昼は母の室で牡蛎茶漬け。
ワサビ、三つ葉添えて。海苔も欲しいところだったが、
あまりにパーフェクトに全部揃えてもらうのもナンなので
言い出さず。

八戸殺人、今度は母親の腹部を切り裂いて人形置いてあったとか。
いろんなネット日記群を見て回ると、さすがに諦めたごとく
「あー、こりゃ『スクイズ(スクールデイズ)』だわ」
と書いてあるところが多かったが、
「いや、これは『躍る捜査線』だ、あれの影響に違いない、
『ひぐらし』じゃなかっただろう、そらみろ」
と断固主張しているブログも多々あって、おい、オタク作品でないなら
影響があると言い切るのか? とツッコみたくなった。
自分の首を絞めるようなことを書いてどうする。

『ひぐらし』も『スクイズ』も、年始のロフトの『面白映像探索隊』
で見て、帰ってから再確認してみて、最近のアニメ世界の描写の凄さに
愕然としたものだったが、困ったことにそれらの作品は、脚本も
映像も質がムチャクチャ高いのである。
クリエイターというのは昔から残虐行為を描きたがるものなのである。
しかも力を入れて。
だから、聖書やギリシア神話などにある残虐シーンは古来、
数々の芸術家たちの人気題材になった。サロメもメディアも
ユーディットも、数え切れないほどの画家や音楽家たちによって
作品化されている。あの伊福部昭だってサロメをバレエ音楽にして
いるんである。

だから、こういう作品をアニメ作家やゲーム作家たちが作りたがる
ことを止められはしない、と思う。それは創作の欲求の中に、
人間の本質を描きたいという欲求が確実にあり、残虐性は
愛情と並ぶ、人間の本質のひとつだからである。
しかし、だからと言って、それを未成年を含む一般大衆に見せて
いいか、というとそれは別問題である。モローのサロメやクリムトの
ユーディットは傑作であるが、それを子供部屋に飾ろうという
親はいないのである。

ロリコンも残虐も作品として当然存在しなくてはいけないが、
問題はそのゾーニングだろう。人間は理性でなく感情で動く。
一般人の目に出来るだけそのような(一般人の感情を刺激するような)
作品を触れさせない、ということをオタクたち自身が心がけることが、
結局、オタクが最終的に自分たちの好む作品を享受できる環境を作るのだ、
ということをそろそろ考えた方がいい。

6時、家を出て、新宿でベータデッキの代金振り込み。
西口の三菱ATMで振り込もうと思ったらここは現金の扱いは
していないので、エルタワーの方に回れと言われる。
エルタワーまで歩道橋をてくてく歩き、歩道橋からビル内に
つながる口に段差がやたらあるのに、“こりゃ足をとられて転び
そうだなあ”と思ったとたんに足をとられて大きく転倒。
幸いどこにも怪我はなかったが。

振り込み終わって、京王に行き、また駅弁大会に行く。
ここでの販売量1位は北海道函館の森駅のいかめしだそうで、
いつも長蛇の列なのがちょうど列が空いていたタイミングだった
ので、一ヶ買い求める。それから、こないだ美味かった長崎の
鯨カツ弁当をもう一ヶ。こっちはこないだと同じく、まるで
並んでない。

地下の食料品売り場もちょっと冷やかし、地下鉄で帰宅。
雑用多々。結局今日は原稿書けず。
9時ころ夕飯。買った弁当二つと、惣菜売り場で買った
チキンレバーのワイン煮、たらこなどで。
いかめしというのは北海道生まれのこととて子供のころからいろんな
店のものを食べているが、ついぞ美味いものに当たったことがない。
この森駅のも、まあ、こんなもんか、というような味。
ビデオでこないだ冒頭のみ見た『史上最大の作戦』の残り。
ショーン・コネリーは案外後半になってからの登場なのだな。

英軍上陸指揮官が“ダンケルクの仇をとるんだ!”と叫ぶのを
聞いて、コネリーのフラナガン一等兵が
「あんなこと言ってるぜ。ダンケルクの頃はまだ子供だったくせに」
と、同僚のコロー一等兵に囁くシーンがある。
ショーン・コネリーはこの作品の公開と同年に『ドクター・ノオ』
が公開されて一気に国際的大スターになるが、この時点では
まだ無名俳優で、32歳。いい歳だったのである。

このフラナガンとコローのコンビは上陸してからもギャグ担当
という感じで、映画全体の息抜き要員。全体的にイギリスや
フランスのパートはそういうシーンが多かったように思う。
コネリーの相棒を演じていたのはノーマン・ロシントンという
俳優で、舞台でのミュージカル俳優としてその後名をなすが、映画でも
出っ歯と大きなアゴが特長で、コメディアンとして晩年
(1999年死去)までいろいろ活躍していた。
『ビートルズがやって来る ヤア! ヤア! ヤア!』(64)で
ビートルズと、『ダブル・トラブル』(67)でエルビス・プレスリー
と共演している。ノンクレジットだが『アラビアのロレンス』にも
出ているとか。

ところで、この作品、ノルマンディシーンの撮影に6ヶ月、
エキストラ5万人、上陸用船艇3万、設営用ヘリコプター20機
を使ったというが、今ならどうか。知人に教えてもらったが、
なんと3人でノルマンディ上陸シーンを作った連中がいるという。
http://jp.youtube.com/watch?v=WRS9cpOMYv0
……うーむ、ザナック如何と為す?

今夜は自分で料理を作らなかったので早く酒が進み、
11時半、眠くなったのでベッドへ。
怠惰な一日であったが、まあそれもよきかな。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa