裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

28日

日曜日

日清リァ王

娘たちよ、お前らがそれぞれ好きなラーメンの名を言うがよい。

※金沢講演

朝7時起き。部屋はツインで大変に優雅。半に一階の大浴場で入浴。
昨日、送ってくれたタクシーの老運転手さんが
「白鳥路の湯は加賀屋(和倉温泉の有名な温泉宿)よりもいい!」
と力説していたが、透明な黄金色の湯で、微量の炭酸が含まれているのだろう、嫌味のないまろやかさのある入り心地でまさに“温泉の水なめらかにして凝脂洗う”(@長恨歌)である。部屋着のまま温泉に直行できる専用エレベーターがあるのもよし。

一旦部屋にもどり着替えて、2階食堂で朝食。納豆二パックとるが、残念ながら納豆は水戸のものにも関わらず味、いまいち。金沢では以前、どこやらのスパに宿泊したときの朝食の納豆が最低だったが、納豆文化は発達していない土地柄なのかもしれない。部屋に戻りネットつなぐ。有線LANつきなので快適。中島かずきさんから突然のマイミク申請あって驚いた。ネット徘徊していたら、存じよりの他人の不運な情報。それで少し“いい気味”な感情を持ってしまう自分にちょっと自己嫌悪。五〇を目の前にして人間の練れていないことよ。

部屋に戻るともう、すぐ講演準備。会場に行き、デッキの確認をする。あやさんから携帯に電話、下の喫茶店にいるとのこと(eat金沢からの帰り)。現代美術家のヤノベケンジさんに紹介される。いろいろ万博の話などを聞く。石井輝男監督の話などをする。

ふと見ると、和服の上品そうな奥様が会場に入っていく。不安そうに係の人に
「今回のお客さんはSさんが集めたんですよね?」
と訊ねたら、なんと第一回目だからSさんの申し出断って業者などに招待回したそうな。ギャッとなる。それなら早くそう教えてくれればそういうもの準備したのに(と、いうか『トンデモ映像大集合』などというネタにしなかったのに)。

もう仕方なし。年配の方々も多い会場で、あきらめてオタクばなし。笑い声が半数の若い世代から起こっていたから、まあいいか。後半の懇親会では“罪滅ぼし”にトリビアの話などする。案の定こっちの方が受けていた……と思ったら、小柄な奥様が
「今日は楽しかったです! 息子がああいうB級映画大好きで……こういう話だとわかっていたら、絶対連れてきたのに」
と。お世辞ではないらしく、
「『尻怪獣アスラ』って映画、ご存知ですか。DVDを息子が欲しがっているんですが、なかなか売ってなくて」
とか言っていた。上品な奥様の口から“尻怪獣”て。

北國新聞の取材が入ったので答える。開田さんたちとの談笑風景を写真に。あやさんには物販をお願いしたが、用意したもの、よく売れていた。

懇親会終って、そこではほとんど食べられなかったので支配人さん、今回の係のHさんと2階の食堂“ポルソ”で昼食。金沢牛のサイコロステーキ。全国各地の料理の話。Hさんは福岡出身なので、九州の食べ物の話をいろいろ聞き出す。

そこで出た話。札幌の焼肉屋の殺人事件だが、http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/35271/
↑この焼き肉屋はHさんの以前の勤め先のすぐ近所で、うまくて有名だったそうだ。何度も食べに行ったそうである。ついでに、日記には書きわすれたが、この被害者の老婆、どうも私の母の知り合いらしい(親しかったわけではないが)。まあ、一言で言えば“守銭奴”の婆アさんだったらしい。周囲の聞き込みでも、焼き肉屋の若い経営者の方にばかり同情が集まっているという。

部屋に帰り、ベッドで夜の部まで一眠り。東京だと雑用に追われ昼寝などまず出来ないが、ぜいたくな午睡を楽しむ。

4時、起床。午後はややフツーにと、『世界のCM傑作選』のDVDから、“価値観の多様性”というテーマに則ったいくつかの作品をチョイスして。最初、DVDの操作でちょっとゴタついたが今度はまあ、普通にウケもとれ、まとまりのあるトークに。何より、用意した映像でピッタリ1時間だったのに満足。

で、懇親会。話は午前中と同じ。物販、今回も調子よし。もっともってくればよかった、と思う高額商品もあり、完売。サイン、写真撮影責めで7時15分過ぎまで。金沢の大手酒屋さんの主人であるOさんに紹介さる。何か、私を気に入ってくれた模様。

それからしまあにさんの車に乗って、『じねん』でSさんたちと食事。某企画につき、某所の協力が得られないかな? とSさんに打診してみる。難しいけど燃えますね、とSさん前向き。よしよし、いいぞ。

それからSさんの家の5階で、みんなオタ仲間が集まってビデオ上映会。『猫三味線』の中のライオンマン見せて、それから『仮面ライダー電王』『ライオン丸G』を見せてもらう。どちらも、絶対大勢で笑いながら見る番組であるな。Sさんのお父さんが“先生がいらっしゃっているんだから……”とビール差し入れてくださる。

11時、温泉に入りたいので辞去。ホテルまで送ってもらう。大浴場にゆったりとつかり、11時までの筈がまだやっていたサウナにも入って、疲れをほぐす。部屋でまたネット、例の不運な子の件。かわいそうに、とか自分がついていれば、とか思わずに出来るだけ“いい気味”の方に気持ちを持って行くよう努力する。二律背反な感情であるが、ダメなところにいるのも自分の人生の選択。私が同情してもしょうがない。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa