裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

16日

月曜日

私、もうDoCoMoじゃないわ

今日はAuにするから帰らないってママには言ってあるの。

朝7時15分起床。
目はもっと早く覚めていたが、どうも起きる気にならず展転反側していた。入浴、洗顔。

K子は今日から大阪。パソコンの勉強に行くので9時には大荷物持って家を出ていく。向こうで会う人へのおみやげ用に、と同人誌数冊にサインを求められた。
9時、朝食。クラムチャウダー(美味)、キウイ。

新聞にシェリー・ウィンターズ死去の報あり。チャールズ・ロートン監督『狩人の夜』で“世界一美しい死体”と言われた死に顔を見せた若い頃(デビッド・リンチの『ツイン・ピークス』でローラ・パーマーの死体が“世界一美しい死体”と宣伝されたのはこれへのオマージュ)から、『血まみれギャングママ』『クレオパトラ危機突破』の、ふてぶてしい(態度も、体格も)悪役まで、凄まじい幅を持った女優さんだった。

われわれの世代が初めてスクリーンで彼女を観たのは『ポセイドン・アドベンチャー』の、必死で水中を泳いでみんなの救助に手助けし、心臓麻痺で命を落とすおばあさんの役だろう。日本のパニック映画の、ただスペクタクル場面をつなげばいいと思っている演出と違い、観客が感情移入して“死なないで欲しい”と願ったとたんにそれらのキャラクターを次々に殺していく脚本の上手さにはほとほと感心しながらテレビの洋画劇場で放映されるたびにつらい思いになり、まさかとは思いつつも
「今度は助かってほしい」
と心の底で願いながら見てしまったものだ(思うのだが、パニック映画の裏バージョンで、“誰も死なない版”を作ったら案外、客が入るんじゃないだろうか。『タワーリング・インフェルノ』でフレッド・アステアとジェニファー・ジョーンズが最後に助かるバージョン、とか)。

で、それよりはるか前に私は彼女の顔を知っていた。テレビ映画『バットマン』に、悪党母さんママ・パーカー(原版ではマ・パーカー)である。このママ(ケイト)・パーカーが1930年代に実在した伝説の女ギャングをモデルにした悪党で、『血まみれギャングママ』でウィンターズが演じたそれのパロディであったと言うことを私が知るのは当然のことながらだいぶ後、である。とはいえ、肝っ玉母さん風の女ギャングで、監獄に立てこもってそこを乗っ取り、囚人たちを強盗団の手先にするという奇想天外な作戦を立てる。キャット・ウーマン(ミス・キャット)までをも軽く手なづけてしまう貫録が実にカッコよかったものである。

こういう体形の女優さん自体、いま、あまり見なくなってしまった。こういう人がいて初めて映画は面白くなるのである。御冥福を祈る。

弁当家で使い、1時半、仕事場へ。2時着。六花マネとちょっと打ち合せ。猫三味線資料、エースデュースから送られてきたものをチェック。

3時、光文社『FLASH!』編集部Kさん。“中川翔子のブログ”をネタに、ブログ時代のコミュニケーション、みたいなことを偉そうに述べる。4時半まで。

5時、時間割。週プレ『名もニュー』対談。おぐり、S石さん、ねがっち。やはり中国の“写真に写らない男ネタ”が強烈。対談は1時間程度で終わり。ねがっち、S石両君帰ったあと、おぐりに猫三味線DVDの基本プロジェクト資料渡し、その先の企画のことを話す。

それにからめて、ちょっと別件の話も。今後の仕事に関しての要望というか事情というか。案外、すんなりと理解を示してくれて、今後に関しても良好な関係は保てそうである。プロとして今後はきちんとお互いに仕事をやっていくつもり。

前々から言おうとしていたことがやっと話せて肩の荷を降ろしたが、むこうもちょっとホッとしたようだった。こちらが何を言い出すのか、気を回していたのかもしれない。

そこを出て、9時半に『コアラ課長』舞台挨拶を見に行くというので、それまでの時間を借りて、打ち合せ延長で『更科』でちょっとビール飲みながら、雑談。

フードハンター本の話などをする。それにしてもこの店、渋谷とは思えない客層。ある意味数少ない親父のオアシスかも。

9時過ぎ、別れて一旦事務所に戻り、いくつか残り仕事片づけて帰宅。ホリエモン関係のニュース追いながらホッピー。ホリエモンの歌手デビューというのはどうなるのか。あと、つくづく思ったが滝川クリステルの顔と声はすけべである。あれはニュースを報道する声ではない。女諜報員が主人公とベッドを共にしたあと、秘密を打ち明けるしゃべり方と声である。
「……ヒューザーの小嶋社長が明日、証人喚問を受けます……」
「やはりか。そうだと思っていた」

Copyright 2006 Shunichi Karasawa