裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

土曜日

生めよ、増えよ、さこみちよ

立川ぜん馬これを祝福して言いたまいける。朝8時半起床。

寝坊の原因は雨。夕方のように薄暗い。入浴、メールチェック、9時朝食。豚汁とキウイ、バナナ。豚汁は風邪でふせっているパイデザのめぐみさんに作ってあげたものだとか。

風邪も流行っているようである(ブジオでもADのSさんがかなり重度の風邪を押して仕事してくれていた)。ブジオと言えば昨日の日記に
「春菊が夜が更けるにつれ美女になっていった」
ことを書いたが、スタッフもそう思っていたらしい。あれはどういう理由によるものなのか。さらに思い出したがブジオ、収録だった放送でスペクトルマンのことを話したのだが、それを聞いていた年配の婦人から番組に電話がかかり
「あれの音楽を私の亡夫が担当していた筈だが調べてほしい」
と言ってきたという。スペクトルマンの劇伴は寺島尚彦氏である(主題曲は宮内国郎氏)。昨年亡くなられているが、その未亡人であるらしい。

生前、自分がどんな仕事をしているかほとんど家族に話さないまま亡くなったので困っていたのだが、ラジオでスペクトルマンと聞いて思い出した、とのことだったそうだ。I井Dがググって教えてあげたところ大変喜んでいたという。

寺島尚彦氏と言えば“ざわわ、ざわわ、ざわわ……”というフレーズでおなじみの合唱曲『さとうきび畑』を作詞・作曲した人である。昔、学校で私も合唱した。そんな凄い人が、『スペクトルマン』の劇伴をやっていたとは。確かに家族には言いたくなかったかも知れない。雨、ますます激しくなる。

とはいえこのまま一日ぐったりしているのも嫌なので、1時に出かけ、地下鉄とタクシーで神保町へ。古書会館の東京愛書会。トンデモっぽいものパラパラあり、今後の執筆テーマに関連あるものもあり、2万円ほど買い込む。今年最初の古書市としてはまずまず。それから雨の中、例の『カリ塩懇話会』のあるビルの中の店でしばらく探書。
今日はそれほど買わず、数千円。白山通りに足を伸ばして数件回り、いもやで天丼。ご飯は少なめと頼むが、それにしてもぺろりと平らげる。高校生くらいまでは外食するのに引け目を感じるくらい食の細い子であったのにいつの間にか、どちらかというと(超大食の友人連がいるので目立たないが)大食いの方になってしまった。どういうことか。

やや胸やけするが、こう雨でどよーんとしていると、胸やけも生きているしるしみたいに思える。木枯らし紋次郎か。タクシーで仕事場へ。少し横になったら1時間半寝てしまう。谷沢永一の古書談義など読みつつ。こないだ植木さんに
「唐沢さんの筆致は最近谷沢永一氏を彷彿とさせるようになってきた」
と言われたが、なるほど。雨降りやまず。

7時に渋谷へ出てK子と待ち合わせ。東横線で武蔵小杉『おれんち』。わざわざ行く日に限ってこんな雨だ、と思っていたが、武蔵小杉まで行くと小降りになっていた。
みなみさん、談之助さん、ももちゃん、QPさん、S井さん夫妻というメンバー。話はこのメンバーなのでいつもの如し。談之助は上野世界傑作劇場で快楽亭出演のホモ映画をかみさんと観てきたとか。

かみさんは風邪引きでこのおれんちも欠席だったがホモ映画だけは“なんとしても観る”と言って観に行ったとか。地鶏のロースト、白子南蛮揚げ、刺し盛り、あなごの煮おろし、鯛の塩釜焼き。鯛はまさにホクホクの美味。

それから鰤しゃぶ、もちろん食べたあとは雑炊で。それにさらにチャーハンと蕎麦まで頼んだので腹がパンパンになる。

酒はサミュエルスミスのスタウトに始まって島国スタウト(黒船ポーター、アングリーボーイブラウンエール、帝国IPAなど変な名前のスタウトやエールばかり出している
http://www.bairdbeer.com/j/html/estore.html
ベアードビールのスタウト)、酒は開運の生、それから焼酎は百秀。体調がら、スタウトが極めて美味に感じた。

仙台のあのつくんにももちゃんは料理を片端からメール。しかし仕返しでクジラの写真がくると困るな。

出たときは雨はすっかりやんでいた。

中目黒から談之助さん途中まで送って、それから帰宅。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa