裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

木曜日

ルイジアナのむじな

やって来たのはニューオリンズ。朝5時起床、日記などつける。

また寝て、8時起床。この間に見た夢。ある組織の女性から情報を聞き出すために密会するが、その女性が私と会っているということを携帯で組織に報告するといけないので、彼女がトイレなどに行くたび
「場所を変えよう」
と言って次々いろんなところを渡り歩き、へとへとに気疲れする、というもの。

入浴、9時朝食。半熟卵とリンゴ。昨日の焼酎がまだ少し残っていて食欲なし。外はどんよりとした曇り空。もう5日である。

今年は正月という気分のことを何もしなかった。マイミク日記でうらやましいのはやはり帰省した人の日記である。すでに帰る家も故郷にはない身だが、元旦はやはり雪ふりしきる札幌で迎えたい。

来年はホテルでもとって泊まるか。それともいっそハワイにでも行くか。昔は芸能人が正月にわれもわれもとハワイに行くのが理解できなかったが、あれは要するに正月というハレの日を、普段と同じように迎えたくないという意識がモトで、それが常習化して意味もなくとにかく日本を脱出するのだな。

原稿、調べもの。調べていくうちに最初想を練っていたものよりディープなものになることがわかってきて、予定していた発表場所より別のところに出した方がふさわしく思えてきたので、そっちに回すことにする。珍しいケースである。

12時、地下鉄で新宿へ。むやみやたらにケンタッキーフライドチキンが食べたくなり、南口のケンタでワンピースのみ買ってかぶりつく。カウンターで待っているあいだに
「カラサワ先生!」
と声をかけられる。以前雑誌の仕事をした編プロの女性編集者。いま、また別の編プロにいるそうだ。名刺交換。仕事場行き、年賀状チェック。

タントン行こうと思って電話するがずーっと話し中。31日もそうだった。じかに行ったら今日は空いていてベッドとれる。
「電話通じなかったですよ」
と言ったら、受話器をとって
「普通ですけど」
と言う。しかし、すぐ予約の電話かかってきて、その電話の相手も“ずっとかからなかった”と言う。そろそろ替え時なのでは。

マッサージ1時間。揉んだから凝りがとれるというものではないが揉まれている最中は気持いい。仕事場に戻り、さて仕事、楽工舎原稿、某誌連載原稿のリライト。

仕事場のパソコンの使い勝手がいまいち悪くて往生。なんとか二本。もう少しハカを行かせんと。

9日まではまだ正月気分か。スケジュールをいろいろと埋めていく。資料のために古いビデオを整理。

80年代初期のAVにちょっと見入ってしまう。彼女たち、いま何やっているのか。したたかに生きていて欲しいとは思うのだが。

帰宅、家でメール整理しながらメシ。昨日の残りの豆腐で、タラとはまぐりの小鍋だて。昼食べなかった弁当。

日本酒飲みつつ、ビデオでスターウォーズ『ジェダイの復讐』。もちろん、CGなぞを付け加えていない、ちゃんとラストのイウォーク盆踊りもあるオリジナルバージョン。1986年公開、今からちょうど20年前。合成のあとやミニチュアのチャチさがさすがに目立つが、しかししみじみと手作りの感があっていい。ヨーダもジャバも、実際の俳優と同じ空間にいるということが、やはり演技に自然さを与えているのである。

ソロを助けに来たレイアがジャバにつかまるところ、本当にジャバは
「……ミッカッチャター(見っかっちゃった)!」
と言っている。とにかく寒い。見終わって早々とベッドに潜り込み、『蝋人形館の殺人』読んでいると、とても2006年を過ごしているという感じはなし。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa