裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

日曜日

男は道鏡

 やはり大きくないとね。朝4時起き。ネットやりながらテレビつけて、『鈴木タイムラー』見る。次回からは録画にするが、第一回はとにかく生で見ようと。コミビアのコーナー、いい具合に本編から独立。でも浮いていない。私は思ったよりずっとアヤシゲなキャラであった。おぐりは第一回なのでまだ、おとなしい。これから徐々にわけわからんキャラになっていくので、お楽しみに。メガネは賛否両論あるが、毎回変えてかけさせて、ときどきかけない回も作って、というのがいいかも。芝居はやはり私がよく彼女のツッコミを受けられていない。もう少し回を重ねて慣れていかない といかんな。

 見終わったあと、少しネットでその旨書き込み。開田さんからミクシィに“予想以上に面白かった”という書き込みが即、あってホッとする。あやさんからは昨日、お ぐりの衣装について、
「白衣の下の衣装、もうちょっと柔らかい生地で、鎖骨が見えるくらいに胸元が開いている方がいい。潔癖でお堅い白衣の下が柔らかそうな女体のラインというのがソソる」
 という書き込み。新東宝映画『淫ら女医・白衣の下の肉情』とかじゃねえんだからと笑う。友人・知人には官能小説家が多いが、そういうヒトの意見ばかり聞いてると エロ番組になっちゃいそうだ。

 6時に再度ベッドへ。何とか寝付いたと思った7時半、朝食のベル。ああ、今日から母がまた帰ってきているんだった。寝ぼけ眼をこすりつつ、食堂へ。リンゴとバナナ、コーヒー、それから半熟卵ひとつ。札幌の孫はやはり可愛かったとのこと。食べ てから入浴。8時半にタクシーで仕事場入り。

 入浴の最中に気がついたが、妙に全身の肌がツルツルしている。ほっぺたなどは、さわると気持ちがよくって、何度も自分で触って陶然と(まあ、それはオーバーだけど)する。はて、別にお肌にいいことは何もしていないが、何故だろう。昨日のもん じゃがよかったか、それともつけ麺の脂か。

 日曜で静かな環境、と思ったが、マンションの真ん前で道路工事をやっているは、NHKの前で右翼が街宣車でやたら怒鳴りまくっているは、子供たちが大声で歌を歌いながら通るはでなかなかやかましい。本日午前中までに出せ、と言われた『コミビア』コーナーの台本をせっせと書く。今日はおぐりデーであるな。三本まではなんとかうまい具合に彼女のはじけっぷりを出せたが、四本目が普通の雑学モノになってしまったので、まず三本をワークスに送り、昼食とってから四本目を書き直し。

 昼食は高菜と昆布のおにぎり一個。それと長ネギのインスタント味噌汁(76キロカロリー)。食べながら圓生の『三年目』を聞く。食べ終わってすぐ四本目に入るがこれがなかなか難物だった。おぐりをハジケさせると雑学が入らない。なんとかうまく双方をまとめて完成したのが3時10分。満足感はあったがちょっとバテた。出てタントンマッサージ。川井豪山(『不思議の国のゲイたち』のゲンドウ役)似の先生にキツく揉んでもらう。いい感じの痛さ。痛いいたいと悲鳴をあげながら、眠ってし まったようだ。鈴木タイムラーのせいの寝不足もある。

 揉まれ興奮でいいテンションで帰宅。この調子で、と一気に『FRIDAY』のコラム原稿書き上げて7時に編集部Tくんにメール。破裂の人形さんから『鈴木タイムラー』感想メールが来ていたので、その件とその他モロモロのことをメール。家を出て、バスで帰宅。バス停に、小柄な爺さんがいて、浮浪者というほどの身なりではなかったが、最初来たバスに乗って、運賃を支払わなかったことをとがめられ、降りてしまった。次に来たバスに私と一緒に乗り込んだが、やはり運賃を支払わない。ただ無視するのでなく、運賃箱に、ポンポンと、硬貨を入れる真似だけする。注意されると、またそれをやって、無表情のまま席に座ってしまう。こっちの運転手は、ここで注意したりして運航が遅れる方が支障になる、と判断したのか、そのまま発車してし まった。

 帰宅して、母の部屋で『新選組!』を少し見る。この番組、やたら言われるほど悪いとは思わないが、しかし、やはりどうにも芝居が軽い。武田観柳斎をトリビアの泉の八嶋智人が演じていて(メガネのまま!)、面白いキャラなのだが、どう見ても八嶋智人以外の人物でなく、いつ“さて次のトリビアは……”と言い出すかと思えてしまって仕方ない。三谷幸喜が演出家として役者に大変な信頼を得ている理由は、役者のキャラを見抜く目が図抜けていて、その役者の最高の持ち味を抽出する作品を描く才能を持っているためだろう。だから、彼の作品の中ではどの役者も、実に生き生きと動ける。しかし、時代劇、ことに誰もが知っている歴史上の人物を演じるときに、まったくその役者そのままでは、すでにその歴史上の人物のイメージを頭の中で作りあげている視聴者は違和感を感じざるを得ない。学芸会に見えるという批判をこの番組が受けるのは、単に演技の巧拙の問題ばかりでなく、そういう部分(どの役も、普段の何年何組の何ちゃんが演じている)が、大きく関わっている気がする。大河ドラマというのは歴史を真っ正面から描くという枠付けのシリーズなのだから、こういう演出意図はやはり浮く。せめて時間帯が夕方あたりのドラマだったらまだみんな素直に見られたろう。このドラマが大好きという人は、あまり歴史ドラマというものに思い入れのない人が多いように思う。そう言えば、ある人のサイトで、山南敬助が切腹させられる回を絶賛していて、“どうしたらこういうドラマが描けるのだろう”とか書いてあった。あのー、史実なんですけど、とつい口をついて出たものである。

 今日はニューヨークで母を世話してくれた生田倫哉氏が帰国しているので、招いて夕食会。彼があちらでバイトしたオカルト系ヒステリックおばちゃん(有名映像作家の親戚だとか。その映像作家もエコロジックなニューエイジかぶれのものを撮って名高い)の話などを聞いて笑う。パイデザ夫妻も招いて、恒例のウナギパン巻きから、ソーセージ、マグロのターターなど。ビール、ホッピーと飲み続けていたら、途中で 急激に眠気を感じてしまい、デザートまでには行き着けず退散して寝る。

(あまりに日記が遅れてしまったので、間の日は適宜書いて埋めていく)

Copyright 2006 Shunichi Karasawa