裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

26日

月曜日

俗悪と老嬢

 おいバアさん、本当に俗悪だなオマエ(毒蝮三太夫)。朝、7時起床。入浴すませてしばらくベッドで『守貞謾稿』など読んでいると、昨日11時過ぎくらいに帰京した母が鳴らす食事のベル。疲れたから寝坊とか、ゆうべ遅かったから今日の朝はゆっくり目に、とかいうことを絶対しないウチであった。朝食、クルミサラダ、黒豆。

 三塚博元蔵相、死去。地味な政治家であったが、この人は前世がお釈迦様の父親であり、さらには加藤清正であったという。いや、私でない、『幸福の科学』の人たち がソウ言っていたのである。
http://www.melma.com/mag/30/m00019630/a00000057.html
 ↑ここの2003年10/30の項目参照。そう言えば96年当時“三塚博を総理大臣にしよう!”というチラシ、メール類がやたらに送られてきた。すぐに幸福の科学が後押しをしているということがわかり、“あ、政治センスないな”と思ったものである。カリスマがないから自分たちが自由に操れる、という目算だったのかも知れないが、総裁選というのは普通選挙と違い、いかに周囲で持ち上げても、議院内でパワーがなければ勝てるものではない。宮沢喜一、渡辺美智雄といったライバルに比べれば二段、三段の格落ちで、とても最初から目はなかった。だいぶ金を使ったのだろうが、ドブに落とした形になったわけだ。しかも、その後に橋本内閣で蔵相となったが、当時勃発した証券不祥事の責を負って辞任。まあ、ここらは加藤清正が前世らしく、毒まんじゅうでも食わされたのかも知れない。上記メルマガでは、最後の方で、英雄を待望しなくちゃいけないから、次の選挙では田中真紀子さんに……などと言っ ている。つくづく、政治家を見る目だけはない宗教団体だと思う。

 通勤、ウィークデイダイヤに戻って8時25分。仕事場到着後すぐに『実話ナックルズ』ゲラチェック、FAXする。それから日記つけ、チャキチャキと原稿書き。1時までにモノマガジン原稿5枚半、書き上げてメールする。さて、図版ブツはどうするか、急ぐならバイク便、連休明けでいいなら宅配便、と思い、編集部に電話。担当 のS谷くんを呼び出すと、
「あの、今号は特集号で全部の連載が一回休みなんですが……」
 と言う。あれ、それ、今月のことだったか、と驚く。確かに連絡はもらっていたのだが、もうかなり前のことで、すでにその号の発売は過ぎて、次の号の準備に入っているとばかり思いこんでいた。粗忽を謝って、では連休明けにでもゆっくり送りますと言って切る。歳を取ると月日の流れが速くなるとか言うが、最近、あまりにドタバ タしすぎていて、月日の流れをうっかり追い越してしまった感じ。

 弁当、1時。北海道みやげの手鞠筋子がおかず。イクラが流行って筋子はあまり今食べる人がいないようだが、私が子供のころはなんと言っても筋子が本流であった。とはいえ、この手鞠筋子みたいな高級品はなかなか食べられなかったけれど。食べ終えた後、猛然と『Memo男の部屋』の連載コラム『裏亭先生雑々録』の原稿にかかり、3時までに完成させて編集部とイラストのK子にメール。本当は締切については『男の部屋』よりも同じワールドフォトプレスの『フィギュア王』の方が早いのだが『フィギュア王』でネタに使う予定の書籍が手元に見つからず、仕方なく書店に注文 して、まだ届いていないのである。

 半に東武ホテルロビー、ロフトの斎藤さんと待ち合わせ、時間割で打ち合わせ。トンデモ本大賞のチラシを手渡し、その後、いろいろ打ち合わせ。ダジャレイベントなど、いろいろと企画を立てる。もう来年でロフトも10周年。もうそんなになるか、という思いと、あれ、まだ9年しかたってないのか、という思いと。ベギちゃんこと牧沙織の結婚と妊娠についても。亭主のN氏(漫画家)を斎藤さん、絶賛。

 4時、そのまま引き続き残って、アスペクトK田くん、村崎百郎さんと『社会派くんがゆく!』対談。なにか、先日の緊急発言がやたら評判になった由、結構なこと。ほぼ一時間半、また例によってイラクから鷺沢萠、三谷幸喜までを語り倒す。われわれ二人、声がかなり大きい方だから、他の客たちはどう聞いているのだか。

 対談終えて仕事場に帰る。幻冬舎Nさんから電話。急遽の企画で、大至急打ち合わせしたいとの件。それから太田出版より、著者略歴のチェックをしてくれという依頼も来ていた。この前のと学会本の略歴原稿が送られてきていたが、このときには、まだ私は『トリビアの泉』のスーパーバイザーなどやってなかったのだな、と驚く。考えてみれば身辺、あれでだいぶ変わった。あと、アスペクトK田くんから、今日の対談録音、MDが壊れていて全然録れていなかったとの報せ。苦笑。まあ、前もって村崎さんが作ったメモと、K田さんのメモがあるから再現はなんとか可能なのだが。

 バスで帰宅、8時50分。自宅玄関のところの照明は、人影を感知して自動的に点灯する仕組なのだが、これが消えたままになっている。故障したかと思ったら、K子が“あら帰ったの”と出てくる。勿体ないので、自分一人だけのときは感知装置のスイッチを切っているそうだ。赤螺屋K子である。夕食、昨日『○寅』で貰った、到来もののタケノコとワカメの炊きもの。それとタケノコの姫皮のさっと煮たやつ。小さいステーキ。母に“もう少し何か食べたい”と言ったら、タマネギと桜エビの掻き揚 げを作ってくれた。これらで浦霞三合ほど。

 DVDで『アタックNO.1』第四話『切り裂かれたボール』。こずえのライバル早川みどり、黒シャツ・黒ズボンの黒ずくめスタイルが『ルパン三世』第一シーズンの峰不二子そっくり。みどりは後に主人公・こずえをしのぐ『アタックNO.1』の人気キャラになるのだが、初出演時はこずえを罠にかけてみたり、完全な悪役キャラである。この回だったか、前の回だったか、バレー部員の女の子が“さーあ、いよいよ新キャプテン、われらが鮎原こずえの登場でありまーす”とかなんとか、活動弁士口調でおちゃらける場面があり、ああ、この時代はまだ、活弁口調というものが、さすがに本物の弁士は見ていないだろうが、何かを大げさに表現してみせるときの口承文化伝統として生きていたのだな、と、ちょっと感慨にふける。11時、寝室に戻り読書しばらくして1時ころ就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa