裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

29日

月曜日

ホエホエ、みんなわスと一緒にエジプトをエクソダス。

 シェー、海が割れたざんす。朝、7時起き。朝食、ハムとメイクイーンの炒めたもの。気力は充実。やはり編集部からの電話のない日曜日という存在は、だいぶストレスから作家を立ち直らせる。この数日、食事以外にはさっぱり外出せず。昨日、沖縄の中笈さんから電話で、“最近の日記を読むと、まるで山手樹一郎のような生活ですね”と言われた。終日書斎に引きこもり、文机の脇のふとんに書いては休み、休みながら考えてはまた起き上がって書く。山手樹一郎はあまりの勤勉な執筆活動の故に自分がどれだけ稼いでいるかも知らず、晩年、家族が好物のトロのおすしを食べさせようとすると、“こんな高いものを買って家計は大丈夫か”と訊いたそうだ。稼いでやろう、などという邪念があっては金はたまらないのかも知れない。

 朝、薬局新聞一本。原稿のラストに(次々回最終回)と入れる。十年使ってきた書院とも、あと二週でお別れか。最近はこの原稿以外ほとんど引退状態。ヘッドにガタが来ていてシステムファイルフロッピーも、根気よく何回も実行キーを押さないと読み取れなくなっている。液晶画面もくすんで、隅の方には亀裂が一本、走っている。それでも、キーを叩きはじめると、長年学習してくれた単語がポンポンと快調に出てきて、この機械とコンビで書き上げた、数々の本や原稿のことが思い出されてくる。ペットロス症候群というのはあるが、愛機ロス症候群というのもありはしないか。

 書き上げてK子に弁当。札幌から送られたサバの味噌煮と、煎り卵をオカズに。そらからエンターブレイン原稿、快調にスイスイ飛ばす。この分でいけば今日じゅうに終わる。まずひと段落分送ってから、風呂に入るが、最中に五本、仕事関係の電話が入る。やはり月曜はあわただしい。週刊ポストはこないだ送った『セシル・B〜』の前にもう一本欲しいというので、『どつかれてアンダルシア』書くことにする。

 昼飯はコブの佃煮で茶漬けですませ、またエンターブレイン。S出版から、日本猟奇人物伝のようなものをマンガで描きおろし出来ぬかという問い合わせ。急がない、というので、とりあえず打ち合わせすることにする。エンターブレイン原稿、さすがに3時近くまでエンエンやっていると、頭の中が完全に煮詰まった状態になってしまう。海拓舎のが手につかない。二冊もギリギリの本を抱えるような愚は以降、犯すまじ、と思う。思ったってそうなっちまうんだが。

 頭を冷ますためにネットをのぞく。一部で名の高い死体観察日記サイト『今日の仏さん』、主宰者はあの世田谷一家残殺の被害者、宮沢氏の英語塾に昔通っていたんだとか。これでショックを受けたものか、閉鎖ではないにしろ、18日をもってこのサ イトは“第一部完”とのこと。まあ、すぐ二部を始めます、とのことですが。http://sv.mcity.ne.jp/diary/745/
 あの宮沢氏は、アニメ関係者の間でもまことに評判のよろしかった人物であるらしく、私と村崎百郎のウルトラグラフィックスの鬼畜対談、編集者が掲載するのを少しビビっている(笑)。5時、時間割でエンターブレインNくんと今後のスケジュール打ち合わせ。『ゴジラブロマイド大全集 東宝人気怪獣総進撃』はまるで売れてないそうである。と、いうか、小学館はじめ、今年のゴジラ本は総崩れだそうだそうである。出版されていることすらそもそも知らないのではないか、と思う。中野昭慶ファンなら必読の濃内容なんだけどなあ。東宝がそもそもこの映画、宣伝してないもんなあ(公式サイトってものすら、果たしてあったのか)。手塚監督の宴席でのエピソードなどもいろいろ聞くが、悪い話をまるで聞かない。これほど評判のいい人も映画界で珍しい。それだけに、これがゴジラでない、オリジナルの作品でどれだけキレを見せられるかが興味のあるところだ。いろいろと次回ゴジラの噂ばなしを聞くが、あまり表沙汰に出来ないことばかり。

 それから急いで買い物し、7時に帰宅。芝崎くん来て、三回目のフロッピーコピーをする。こないだのコピーでは文書がJeditでやっていたので、シンプルテキストでは開けない、というので、またやりに来たのである。面倒なことである。ネットを始めろよ。彼のつけている日記の話にもなる。彼の場合、まず毎日の日記には書き込むべき項目(基本の日課から家計簿まで)があり、それを埋めていく方式なのだ。 「みんなもそうしていると思っていたので、違うと知って驚きました」 と言う。人間、やはりどうしても自分を基準にしてしまう。

 8時半、晩飯。札幌から到来の手羽煮、刺身サラダ、麩の炒めもの。ビデオで元祖モンド『世界残酷物語』。『モア』がこの映画のテーマ音楽と知ってK子が驚愕していた。日本の光景がいくつか映るが、今見るととてもハヤ、日本とは思えず。これ、テレビ放映で記憶に残っているのはナレーションが藤村有弘バージョンなのとタモリバージョンなのだが、DVDで出すときはこのどっちか(できれば両方)を副音声で入れて欲しいなあ。と、いうか、これに私の今の時点からのツッコミを添えて、どこかで発売しないか?

Copyright 2006 Shunichi Karasawa