裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

21日

日曜日

パスタという字は明るい日と書くのね

 書かねーよ。朝7時半起き。6時くらいに、ジャッコ、ジャッコという音で目を覚ます。周囲のビルやマンションの住人が雪をかいている音だった。どれくらい積っているかと思ったが、それほどでもなし。積った下の地面の色が透けて見えるくらい。朝食、マフィンにスモークト・サーモンと味付けノリをはさんでサンドイッチ。果 物はイヨカン。やたら酸っぱい。届いた週刊アスキー読む。こないだ青木光恵ちゃんに 大阪みやげで差し上げたあんプリンは気に入ってもらえたようで、重畳。

 K子に弁当(豚の他人丼)、それから週刊アスキーの図版用ブツを渡す。メール類片付け、書庫から資料さがし、風呂。母親からの電話(まだ今日のことをいろいろ指図している)応対などするうち、12時過ぎる。あわてて家を出る。自家用車族が雪道を怖がっているせいか、車の数がふだんの三分の一。雪の反射で街中がキラキラと輝いている。浜松町まで出て、モノレールで天王洲アイル。BOOKTVの撮りである。いつもは土曜日なのだが、今回はスタジオの都合で日曜となった。この番組、私の他には渡部昇一氏などがゲストで出ているそうだが、どういうことをしゃべっているのか。

 今日の特集はフランスのコミック事情。ソルボンヌ大学の近くにあるというマンガ専門店『アルブム』を取材していたが、ここがなんとアメコミ専門書店。カスつかんだわけだが、予算がないので他に取材先さがすことが出来なかったらしい。そこのアメコミオタクらしい店長によれば、現在、フランスでもマンガの主流はアメリカン・コミックスになっているという。フランスのバンドデシネと言えば古くはグィ・ド・クレパックス、近くはエンキ・ビラルやメビウスなど多士済々のはずだが、彼らについては名前すら出なかった。続いて登場したマンガ評論家の人というのがなんとベルギー人で、話すのは当然タンタンのこと。いったいこのスタッフはどういう前勉強を して、どういう取材申し込みをしたのか?

 今回のニュースは他にもアジアのコミックス事情のことなどがある。やはり、内容によってコメンテーターを選んでいるのか。香港の武侠漫画のことなどを少し話す。今回のコメントトークは、内容はともかく、しゃべりの技術、司会の女性とのやりとり、場の盛り上げなど、技術的な面としてはまず、自分でも高得点。一時間番組の収録が、リハ含めて一時間半で終わる。トッパライでギャラいただき、帰宅。労働時間総計三時間半。とはいえ、今日は本来なら一日じゅう海拓舎の原稿書きに費やす予定であったので、大きな時間と体力の損失となる。

 昼は浜松町のコンビニで買った握り飯をスタジオで食ったが、世にもまずくて半分でよす。帰りも時間がなかったので、天王洲のコンビニで買ったソース焼そばをレンジで温めて食べる。原稿書き再開するが、やはり不捗。無駄に書き直しを繰り返すうちに夜となる。7時20分、家を出て参宮橋の『くりくり』。札幌から豪貴夫妻が上京したので、なをき夫婦と一緒に食事。K子が場を仕切っていろいろニギヤカす。豪貴も夕子さんも、私となをきのオタクな会話には呆れていたが、楽しそうだったんでまあいいのではないでしょうか。

 先日、風呂に入っていたら突然、『コンドールマン』で潮健児(当時健磁)が演じていた怪人ダン・悪魔の名前が、團伊玖磨のパロディだということに思い当たった。これは放映当時(75年)以降26年目の発見だあ、と興奮して、なをきに“ねえねえ、知ってた?”と言ったらなをき、呆れた顔で、“それは本放送のとき、お兄さんが教えてくれたことだぞ”と言う。つまり、本放送以来26年目の発見ではなく、本放送のとき思い付いたことを26年ぶりに思い出した、ということか。なにか、そっちの方が面白くて、自分のウカツがウレシクなってしまった。

 六人で、仔羊のロースト、シシカバブ、ルンピア、クスクスなど食いまくり、ワインを三本、ビール四本をあける。酔ったというより腹がきつくなって弱った。K子は明日の神田陽司との打ち合わせ後の飲み会に、くりくりの黒田さんたちも来ないかと 誘っていた。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa