裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

土曜日

思いコントラ試練の道を

 行くがゲリラのど根性。寒くて目が覚める。暖房は入っているのだが、正月中冷え切った部屋が暖まるまでは、一昼夜くらいはかかるらしい。二階の居間の暖房、昨晩はスイッチを入れても動かず、故障かとちょっとユーウツになったのだが、今朝は正常に動いて、ホッとする。朝食、冷蔵庫に残っていたサツマイモをレンジでふかし、ダイエット・ポタージュと。たまっていた新聞を整理。五日の夕刊には、宇都宮でタイ人女性の首が切断され持ち去られたという事件、今朝の朝刊にはウズベキスタンで大学教授の夫と外科医の妻が旅行会社を経営、やってきたお客を健康診断にかこつけて殺害、臓器を売っていたという事件の記事。今朝のにはさらにイギリスで終身刑の判決を受けている医師が24年間に297人の患者を殺害していたという記事もあった。新世紀を迎えて、猟奇事件も花ざかり。

 帰宅して気がついた20世紀最後のチョンボ。せっかく吹き込んだ留守録のスイッチを入れ忘れて出かけてしまっていた。最近、鶴岡が何かというと“塚原さんのタタリですよ!”というギャグを口にする。ちょいとしたバカらしいミスなどがあるたびに“これは塚原さんのタタリですよ!”と大げさに叫ぶのであるが、これを発見したときは私も声を大にして“塚原のタタリだ!”と叫んでしまった。そういえばこれも鶴岡情報で、三木助の自殺の原因が、前夜に三題ばなしの競作をやって負けたことではないか、と報じられているが、あれが新潟だった、という。新潟に殺されたことになっては浮かばれまい、という話(あとで快楽亭に聞いたら、三木助が負けたのは大阪の歌之助であるらしい)。

 メール、年末にまとめてドカッときたせいか、新年にはあまりなし。太田出版から『と学会年刊2001』増刷決定のおしらせ。阿修羅掲示板でPROMというHNの書き込み者が去年の11月、志水さん相手に「来年のと学会本が初版で終わるということが分かればどなた様も納得がいくことと思いますよ。こまごまと内輪の方が自分を擁護なさっても、結局は現実は後からついていきますのでね。こういう結果を出されるのは都合が悪いのは分かりますが来年になればいやでも分かることではないでしょうか」と嫌味な書き込みをしていて腹が立ったものだが、幾多の予言の例にもれずこれも大ハズレ。それも“来年”のトッパナに外れるというのも残念なことだったろう。

 その他、いくつかのサイトを回る。更新しているところもあり、新世紀を迎えてもさっぱりされないところもあり。されてもやはり馬鹿、というところも沢山あり。昼までガリガリと仕事するが、まだ本調子とは言えず、2時までかかってフィギュア王一本がやっと。それから街へ出て、京王古書市をちょいと冷やかし、ナニを食べようかと考えて、古書つながりで神保町まで足を延ばし、ボンデイで初カレー。正月でミカンがつき、“いつもおいでくださっているので”と、ミルクティーをサービスに出してくれる。ちょっとうれしかった。

 中野書店など見回って一万円ほど買い、帰宅。たまった日記つけて、6時に新宿で初サウナ&マッサージ。いわゆる“休み凝り”を取るため。整体のお兄ちゃんに“暮れのあの凝りはなくなってますね”と言われる。寝正月が効いたか。そこから歩いて歌舞伎町のミスドの前でK子と待合せ、初焼肉とシャレようと幸永に行くが、すでに店の前に二タ組も待っている。中をうかがうと、どうもヤンキーのアンちゃんたちが新年会をやっているらしい(この店は味に比して客ダネが悪いのが欠点である)。寿司屋の方にしようか、と思ったが、すでに胃をホルモン仕様に初期化してしまっているので、意地になって寒風吹く中を表で待つ。私らの後ろにさらに並んだ。幸い、新年会はすでに終盤であったので、二○分程度の待ち時間で、中に入れる。さらにその後、外で待っていた人たちがいたが、これは一時間くらい待ったのではないか。

 メニューは忘年会であらかた頼み尽くしているので、今回はいつものやつ。極ホルモン、スライステール、豚骨タタキ、それとテールスープ。ホッピーが細胞に染みわたるうまさ。昨日のアルコール抜きが効いている。私たちのすぐ後に並んでいたカップルは韓国の人だったが、オトコはジャニ系の美形なのに、女性の方は一○は確実に年上の老けた醜女。それでもなかよく手など握りあっているから男女の仲はわからぬものである。一時間根気強く待って入ってきたのは、ちょっとオタ入っているかな、と思える容姿・服装の、視線一定系の女性、だった。女性が一人で焼肉屋入るというのも珍しいし、別にここがご贔屓というわけでなく、初めてぽかったのがよくわからない。まあ、このテの女性のやることは大概、よくわからないのであるが。ホッピー二本と生一パイ、冷麺で〆。食べながら“ンまいなあ、ンまいなあ”と、思わず何度も口に出る。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa