裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

17日

水曜日

ビジュアルことは三度ある

 タイトルに意味はない。朝7時起き。朝食、チリコンカンのレトルト。K子にはハムと赤ピーマンの炒めもの。ワイドショー、高校生に刺殺された三二歳主婦の話。この犯人が優等生というところが強調されすぎではないか。優等生だろうと劣等生だろうと、この年頃の男子に脂の乗り切った三二歳女性の肉体を投げ出しゃ、もう行き着 くとこまで行ってしまいますがな。

 11時、平塚くん来て、ホームページまわりのことを整理してくれる。案外、早く新機種には慣れそうである。ことえりもまずまずの使い勝手。新・マックワードの、画面スクロールの矢印が下部にまとめられたのだけが、いまだに慣れず、ツいマウスを上に持っていってしまう。人間の感覚にあわせたデザインをすべきだ(あとですぐ安達Oさんに教わってアピアランスを開き、もとの位置に戻した)。K子に日記UPの新手順を教えて平塚くんは帰る。昼飯は急にナッツ炒飯が食べたくなり、冷や飯で炒飯を作ってワカメの味噌汁で食べる。K子の弁当にはジャコ入り卵焼き。

 3時からコンテンツファンド収録。それまでに原稿をいくつか、と思っていたが、官能倶楽部新年会の会場おさえ、打ち合わせの場所確認、なをきとの連絡、今日の収録の参考ビデオ見、なんぞでツブしてしまう。3時15分過ぎくらいに、芝スタジオ着。柳瀬くんに冬コミのと学会ブースの売り上げ渡し、OTCのIくんにこの番組のギャラ支払い催促(笑)。今日のゲストブレーンの西山英一(コンテンツプロデューサー)、鈴木昭(日経クリック編集長)両氏に挨拶。西山さんはなんと、昔PAFで自主アニメーションを発表していたことがあり、そのころから私を知っていらっしゃるとのこと。少し、あの当時の話題で盛り上がる。司会の勝村政信氏、あの『ゴジラ対メガギラス』の出演者である。私の中での評価基準がキューン、と上がり、サイン をねだる。ミーハーなることかな。

 本日の売り込み作品はテレビ画面にいきなり現れて、格言らしきことを言って去るという『テレビョン』(池田一真)、ファンタジックなCGイラスト『パルス』(佐藤和芳)、仏像マニアの女子大生のイラスト『i-DOLL』(神田尚子。以上#5)、単純極まる線で描かれたネコのキャラクターゲーム『しーなねこ』(椎名隆彦)、動物写真をCGに取り込んで作ったデジタル絵本『しあわせの色』(木村英子)、ガスマスクマンから骨マンとなり、それが天使となる、という(ここのところ短い時間内での説明だったんでよくわからない)『骨マン』(天野タケル。以上#6)の6人。天野氏は駒場に自分のショップと、40畳のアトリエを持っているニューヨーク仕込みのハンサムという、他のクリエイターとは一線を画すカッコよさで、アシスタントの小川奈那ちゃんの目が輝く。

 レギュラーブレーンの内藤陽子ちゃんは彼女とはまるで正反対に、頼りなげなオタク男が大の好み、という変わった(と言っちゃいけない、まことにありがたい)女性で、ことに椎名くんがチョーお気に入りらしい。この椎名くんが、まさに対人コミュニケーション技術が不自由な工学系オタクの典型であり、岡田さん曰く“メモリーユニットを抜き取られているHALみたいなしゃべりかたをする”。そういうところもまた“かわいー!”とのことで、わざわざ収録終わった後でもいろいろ話していた。岡田斗司夫は前回に引き続き、妖精声の木村英子さんに萌え萌え。

 まあ、また物議をかもすといけない(笑)ので誰とは言わないが、やはりプライドがギンギンに高いプレゼンターがいて(アーティストなら当たり前で、理解はできるのだけれども)、それにまた、岡田斗司夫が“こんなクリエイティブ性感じない作品初めて見た”なんぞと言うもので、少し緊張が走る。実は私もそう感じていたので、フォローもたどたどしくなってダメであった。ゲストの西山氏、鈴木氏は大当たりの人選で、よく発言してくれるし、的確な指摘をするし、今回はいつもよりしゃべりを三割方減らしてしまった。

 私と鈴木氏に大ウケだったのが神田尚子さんの仏像キャラ。本人も勉強家だし、感性はいいし、目のつけどころもいい。鈴木さんが自分の雑誌のイラストに使いたい、と名乗りを上げた他、バイヤーさんたちにも好評で五つ、アダプトランプの黄色(打ち合わせ希望)がついた。前回もやはり岐阜の本間希代子さんに高い点数つけたし、われわれは地方で製作している女性クリエイターにヨワい、という特長があるかも知 れない。

 番組、サクサク進み、三○分の遅れで収録完了。次回は私がロフトで来られないので、トラ(代演)に談之助さんを入れることにする。今夜は植木不等式氏と幸永で打ち合わせと称しての焼肉なので、タクシーで大久保まで。チョイ待ちでK子と三人、座れる。ホッピー飲みつつ、ホルモンを親のカタキのように食う。打ち合わせらしき 台詞は“原稿、早く書いてください”のみ。NTTコミュニケーションの駄ジャレ作成人工知能の話など、いろんな話が出たが酔っぱらっていて覚えておらず。12時、帰宅。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa