裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

木曜日

インターネット、インターネット、松島〜の

 タイトルに意味はない。朝8時起き、腹しぶり気味、5時ころ胸のあたりが締め付けられるように苦しくなったが、その後、スーッと痛みが去ると、このうえない快感のようなものが残る。朝食、黒五パン。ドリキャス製産中止、諸行無常。霧雨のようなものが降る寒々しい天候。朝、まず薬局新聞を一本。ニフティのIDをとったK子に、官能倶楽部パティオの入り方を教えるが、これが一大難事。平塚くんのご苦労を偲んだ。昨日の日記をアップしたとたんに、それを読んだ岡田さんから電話。こないだのコンテンツファンド収録のときにその件を話そうと思って、話したつもりになってしまっていたらしい。しかし、日記が連絡用掲示板みたいに使えるとは。

 このホームページ、カウンターを設けていないので、いったいどれくらいの人が訪れてくれているのかわからないでいたが、『YOU―MAYサーチ』なるところ
http://www2.sting.co.jp/cgi-bin/you-may/rnk/rnk.cgi
 によると、公式ホームページでは作家・ライター部門でこの一ヶ月のアクセス数では八位にランク・インされているらしい。『魔女の宅急便』の角野栄子(敬称略以下同)のところが一位、二位はミステリ作家の殊能将之のサイト、三位は俳優でもある田辺誠一(彼のところは芸能部門では第一位。してみるとこの作家部門は人気は芸能人より上?)のとこ……ときて、まついなつきのサイトが六位、七位が飛ばされていて私と同列八位には童話『誰も知らない小さな国』の佐藤さとるの公認ページなどがある。本人が有名であればアクセス数が多いというわけでもないらしいし、いくつかのぞいてみたところ、面白いホームページだから、というわけでも、こう言っちゃ悪いがないと思える。芸能人の部門を見てみても、ジャッキー・チェンや藤原紀香はわかるが、辺見マリとか宮川一郎太のサイトの人気はちょっとナゾである。どこかで、アドレスが公開されたりすると瞬間風速的に上がるらしい。まあ、誰がどれだけ見ていようと私のやりかたは変わらないし、誰も見なくなっても一向にかまわない。もちろん、アクセスした方々みんなが私の著書を買ってくれるなら、少しウレシイ。

 昼はK子の弁当に作ったチャーハンの残り(茶椀三分の一ほど)と、カップラーメン。朝食のとき噛んだ舌が痛んであまり食欲がない。三時半の試写会に行きたいが、原稿書きで諦める。原稿、書いても書いても面白くなく、絶望的になりかけるが、思いついて、これまでメインとしていた部分をバッサリ削ったらとたんにいきいきしたものになる。

 世界文化社から、今度の打ち合わせのとき井上デザインの装丁見本カタログを持ってきてほしいと頼まれたので、手にとってパラパラと見る。中で、イザラ書房の『大久保鷹写真集』は“フリーの編集者が途中で脳溢血で倒れて記憶喪失になり、台割つくって全頁レイアウトもしたのにお金もらえなかった”という仕事で、大変な業界だなあ、と改めて感じる。記憶喪失なんてのは安手のマンガの中にしかないだろうとお思いかもしれないが、私も中学生のころ、友人にマンガ本を貸したら、彼が風邪で高熱を出し、その前後一週間のことをまるで記憶から抜け落としており、ついに返してもらえなかったことがある。人生、一寸先にナニが起こるかわからぬ。開田さんイラストのミレニアムゴジラベストCDのパッケージも井上くんなのね。例の使い込み疑惑(笑)の写真集ももちろん載っていて、証言してくれている。うれしかった。

 海拓舎Fくんからはげまし(?)の催促メール、それから他の仕事メール多々。鶴岡から、彼原作の『ヤマアラシ』、表紙にも載らない新連載にもかかわらず、読者票での人気三位につけていると電話。これで今年の早稲田のマンガ講議は実践編ができるね、と言ったら、“あ、そうでしたねえ、すっっかり忘れてました”と言う。この男の欠点はいま、眼前でやっていることしか視野にないことだな。……まあ、眼前のことも視野にないヤツがいることはいるが。

 Fくんには悪いが、雨繁く、気圧激変で、夜に入って頭が全然動かなくなる。中止して、新宿へ出て、官能倶楽部の面々と新宿鳥源で飲み会。『キッチュの花園』をみんなに進呈。串間さんとはひさしぶり(年末にコミケで挨拶はしたが)。新雑誌創刊とかで意気軒高である。あやさんは愛猫病気ということで欠席。人に聞くと、猫というものはかなりしょっちゅう病気をするものらしい。うちの猫は、嫌になるくらい健康である。日本酒飲んでしまったので、カラオケボックスに入り、少しアルコール抜いて、氷雨の中、帰宅し、また少し仕事。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa