裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

火曜日

せんとエルモの火

あの角の先がぼーっと光るんですよ。

※アサツー原稿 打ち合わせ二軒 『NEO』キャプション

朝、7時半起床。
今日は梅雨の晴間か、いい天気。
心はいい天気とはいかず、メール何通も。
ゆうべ、トンデモ本大賞の予算につき、
経理の某氏と激しいやりとり。
要はディレクターとプロデューサーの対立という、
ありがちなパターンである。
この場合、私はディレクターの立場。
いいイベントを作り、それに協力してくれた者へそれなりの
ペイなり接待なりをするのは当然という考え方と、
しかし総予算というものがある、という立場。

とはいえもう16年も一緒にやっている仲間たちである。
悪意はない。一晩立って、落ち着いて双方主張を折り、
無事手打ちとなる。
これで来年も心置きなく参加できます。

9時朝食、リンゴのコンポートを乗っけたヨーグルト、
スイカ一切れ。ミルクティー。
連絡事項等、全てすませて、時計を見ると11時。

アサツーディ・ケィの仕事の締め切りが本日午前中。
まあ、これまで空き時間を見計らってまとめていたので、
別段あわてることもなく、データの確認してまとめあげ、
11時半にはきれいな形でまとまる。
メールしてまず、ひと仕事。

オノから電話、『世界一受けたい授業』から出演再オファー。
よかった、こないだトンデモ本大賞とカチあってNGだした
のを取り戻せると思ったら、なんと今度はあぁルナの長野公演と
カチ合っている。テレビ収録で土曜というのは珍しかったり
するのだが、『世界一〜』は講師陣に大学や企業勤めの
人が多く、土日しかあかないというので、土曜に収録が
設定されることが多いのである。

オノといろいろ頭ひねる。
収録開始時刻を早いうちに設定してもらえば、長野は夜なので、
そこから向かえるのではないか、と。
アクロバット的なことをあれこれと打ち合わせる。
二回NGというのはちょっと、迷惑をかけすぎる。
こっちで無理をしよう、と。

3時、丸ノ内線で新宿へ。
途中で入ってきた客が、ぴたりと私の前でつり革につかまる。
見た顔だな、と一瞬思ってアレ、となる。
DVDデラックスのKくんだった。
向うも驚き、今日電話するつもりだった、と。
西手新九郎ドンピシャ。
ざっとした打ち合わせして、新宿で別れる。
それにしても、同じ車両に乗り合わせる、というくらいなら
ともかく、私の前に選ったようにやってくるとは。

東口を出て、らんぶるでオノと待ち合わせ、読売テレビ打ち合わせ。
今月末収録の大阪ローカル番組の収録の件。
制作が、なんと古舘プロジェクトで、J−WAVEでルナと
一緒に仕事をしていた(どころか鈴木希依子ちゃんの担当だった)
Yさん。奇遇というか、世の中せますぎというか。
今日はこれで二人目の西手新九郎。

番組に関し、こういうアプローチ例はどうか、といくつか
述べる。向うの顔が見る見る安心したような表情になるのが
わかって、こっちも安心。さして難しい準備はいらない
ようである。と、いうことであっという間に打ち合わせは終了。
Yさんに、鈴木はきちんとコントやってますか、と訊かれ、
オフコース! と答えておく。
(あとでYさんの日記を読んだら、向うもかなり満足して
くださった模様)

オノと椿屋で打ち合わせ。ここ、談話室滝沢から変わっても
やはり、業界人の打ち合わせ場所であることに変わりはなく、
マンガ家や編集者がいっぱい。もう少し打ち合わせしやすい
椅子やテーブルだったらな。知り合いのN氏に出会った。
「ここ来ると、誰か知り合いに会うんですよねー」
とお互い。

サイン会等の算段をいろいろ。
青山でのイベントもあり、飯田でのサイン会の日取りの
ズラしも検討事項。

オノと別れて、6時の打ち合わせにまだ間があるので、紀伊國屋、
アドホックなど冷やかし、喫茶店でリンゴ酢ドリンク。
今日3軒目なのでちょっと胃がガブランガブラン音を立てている。

6時、ニュートップスで♢社社長N氏。
こことの仕事ははじめて。
社長じきじきの打ち合わせなのでちょっと身構えてのぞんだが
極めて気軽に声をかけられる。
名刺交換のみすませて、ざくりと企画の話を切り込まれるが、
思ったよりずっと具体的かつ意外な内容で、長期にわたる(であろう)
ものだったのが意外。こっちは、マニアックぽいネタで一冊、
というくらいの依頼だとばかり思っていた。N氏、
「自分の中では○○(♢社のベストセラーライター)と唐沢俊一、
というのは仕事したいトップツーだったんです」
といい、今後の予定を訊かれる。

ちょっと考える。断る理由は何もないし、
経済的にもまことにありがたい話である。
ベストセラーをいくつも企画しているプロ中のプロの人に
自分の文章を絶賛されるのも照れ臭い。
とまどったのは、デジャブのように、ついこのあいだ、
ある同業者から言われた言葉が、N氏の言葉に重なったからである。
「なんでこういうものを書かないの?」
と。いや、その友人ばかりでない、何人もの業界の人に、
最近言われている。
「そりゃ、どの出版社も書けと言わないもの、そんなもの」
と笑って答えていたのだが、いま、まさに目の前の
出版社社長が書けと言っているのである。
ドウイウコトカシランと、何か最近見ている、リアルな
夢の中の出来事のように思えてきた。

こっちの打ち合わせもすぐ終わる。
地下鉄で帰宅して、白夜書房のキャプション原稿書き。
妙にくたびれて、ふう、と息をつき、
昼間の企画の話のことなどをぼんやり考えながら、
原稿書きながら2時間煮込んだバラ肉と、
冷奴で夕食。
2時ころまで雑多にDVD等とばし見。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa