裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

木曜日

真人・イスト・レヒト

「子門真人こそ正義なり」(アニソンマニア)

※フィギュア王コラム アーバンフォレスト観劇

朝8時45分起床。
雨また蕭々なれど、時おり太陽ものぞく。
朝食、9時。ミニメロン1/4顆、キウイ半分。
ミルクコーヒー。

朝食とっているところへ『探偵ナイトスクープ』
から電話。メールを送ったから見てくれとのこと。
自室に戻ってみたら、また変な歌の問い合わせ。
また電話かかってくるので、知ってることと電話口で
歌まで歌って説明する。

追って電話がかかって、7日の日にぜひインタビュー収録したいと
言ってくる。残念ながら7日は一日中イベントで詰めている、
と答えると、どうしてもしたいので何とか時間を作ってくれないか、
という。イベント終わって片づけ作業のある6時から7時の間なら、
と答えると、じゃあそれで、と言って切れた。
この時間に何か用事が出来ると困るので、大賞MLに
すいませんがそういうことで、とアップする。

メール、3時くらいまでで20通ほどやりとり。
決めても決めてもまだ決めねばならぬことがある。
花などを贈られたときの担当は誰か、音響費の機材追加分は
どうするか、招待客で来るか来ないかわからない人の
扱いをどうするか、招待客の二次会費はどうするか、などなどなど。
上映するDVD関係はほぼ制作者全員が凝りに凝って、
素材を当日渡しにしてほしいと言ってくるので機材担当が
キーッ、となってるだろうなあ、と思ったり。

昼は弁当、焼きオニギリとミニ焼肉。
連絡類ひと通り終わったと思ったら、スライド上映ブツに
タイトルを入れ忘れていた、というこっちのポカミス発見、
あわてて入れてもらったり。

そんなわけで原稿書き出しが極めて遅れる。
フィギュア王原稿、あわてて書き進める。
数年前に取り上げたテーマを、今日的な状況に合せて
書き改めたものを中心に、いろいろネタをかぶせる。

4時に書き上げてメール。
ハッシーに当日の細々とした点を伝える。
すぐ電話で確認がくるが、どうも話が噛み合わない。
おかしいと思ったら、“二次会”という言葉を、
ハッシーは打ち上げの二次会ととり、私は打ち上げのこととして
言っていた。イギリスとアメリカの階数表示の違いみたいだが、
確かに考えれば、劇団公演は“舞台”であって“会”じゃないから、
終わっての飲み会が一次会。
しかし、と学会のような学会は、本会と呼称するくらいで、
イベントそのものが一次会、従ってその後の飲み会がすぐ、二次会。
常識っていろいろ異るねえ。

雨まだソボつく中、タクシーで新宿、全労済ホール・スペースゼロ。
老運転手、実に濃い関西弁。いつごろ東京に出てきたんだか、
道は脇道も抜け道も熟知しているのでこちらでの仕事はかなり
長いと思うが、それでこの濃さが抜けないところが凄い。

アーバンフォレスト公演『おいしいタイミング』。
老舗のフレンチレストランを舞台に、総勢30人の登場人物が
繰り広げるドタバタ・シチュエーションコメディ。
入ったとたんに、舞台上に設置されている厨房のセットの豪華な
ことにまず、度肝を抜かれる。いくらかかっているのだろう、
この舞台装置だけで。

伝説の名シェフが開店したフレンチレストラン『ラ・カヌビエール』。
シェフの死後、店はその愛弟子をシェフに、長女をスー(副)・シェフに
して、創業者の味を守っていた。
だが、店のオーナーである創業者の長男(スー・シェフの弟)が、
オタクぽいキャラクターTシャツの事業に手を広げ失敗。
5000万の借金を作り、店を手放すかどうかの瀬戸際に
追い込まれてしまう。長男は、父の代からのお得意客である
宝飾会社の女社長の息子の結婚披露パーティを成功させて、
その後で借金の肩代わりをしてもらうことに賭けようとするが、
何とそのパーティの当日、冷蔵庫が故障して、全ての食材が
使えなくなってしまう……。
大友恵理ちゃんが長女のスー・シェフ、渡辺シヴヲさんはソムリエ
を演じている。

いろんな問題を抱えた何人ものキャラクターが、ひとつの
シチュエーションの中で右往左往しながらストーリィと、トラブルが
進行していく、というのがアーバンフォレストの舞台の持ち味で、
今回も、どうおさまりがつくかと思わせるほどトラブルが連続し、
それが最後に収斂していく過程がお見事。
だが、今回はちょっと、それがうまく有機的に噛み合って
なかったかな、という感じがちょっとした(同じ伊丹ドンキー
演出で、似たようなシチュエーションを旅館を舞台にした
『みやこ旅館』という傑作をすでに見てしまっているせいもある)。
やはり30人の登場人物を動かして見せ場をもたせるのは
難しい。もう少し整理して絞り込めば倍は笑いが来たと思う。

また、ゲストを呼んだ舞台の場合(今回はAKB48の
秋元才加などが出ている)、そういう人に花を持たせるために
劇団のメンバーの役が小さくなってしまう場合があり、
今回の芝居では渡辺シヴヲさんがもうちょっと活躍してほしかったな、
と思った。

……などと、いつものアーバンの芝居にしては点が辛くなって
しまったが、最後の舞台挨拶のときに、主宰俳優の穴吹一郎
(伊丹ドンキーの役者としての名前)が、舞台に並ぶ役者たちの
方に向かって“すいませんでした”と頭を下げていた。
大出トチリがあって、全員舞台上で“えーっ”となっていた
らしい。アーバンらしくない妙なぎくしゃく感があったのは
それか。まさにこれこそ“魔の二日目”。

終わって、ロビーに出たところで『探偵ナイト』から電話、
出演者の都合がつかなかったのでインタビューはいいです、とのこと。
ま、テレビとはこういうものだ、と最初から諦めてはいるが、
朝の“どうしても”からどうしてこうすぐ一転できるのだろうか。
ロケット団(漫才コンビ)の人に挨拶される。
今度アーバンと一緒にライブやるそうである。
シヴヲさん、恵理ちゃん待って、オノマドと劇場の真ん前の
地鶏と地ビールの店に入る。メニューがなかなかよさげなので
(なにしろレストランを舞台にした話を観たばかりなので、
腹が減った)喜んでいたら、なんと団体客が入り、焼き物の
ほとんどが品切れだという。団体客の一組や二組入ったくらいで
焼鳥屋が焼鳥品切れになってどうするんだよー、と急に不機嫌になる。
空腹は人間を変えるねえ。

二人が来る前に、仕事の話ちょっと。
今日、芝居の中で名前が出てきた某アニメスタジオがらみの仕事
だったのでちょっと笑う。やがて二人来て、地ビールで乾杯。
シヴヲさんには9月の件いろいろ話し、恵理ちゃんからは
「それ、そのまま舞台に出来るよね」
というような、人間関係の話、さらには今回のスポンサー(日清
食品)のことから、毎度の舞台のスポンサー探しの苦労を
聞いて、すごく勉強になる。

胃的には欲求不満を抱えたまま、店を出てもう一軒、とか
思って時計を見たら、もう12時! 驚いた。
丸ノ内線荻窪行き最終になんとか乗って帰れた。
山口さんから来た16周年記念DVDの完成版をパソコンで
見て、自分一人ひっくり返って笑う。
2時半、就寝。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa