裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

22日

火曜日

前世、前世、それは前世〜

♪ミーハーな私が胸こがし江原に訊ねたそのことは〜

※誕生日 朝日新聞原稿 DVDデラックス原稿

朝、見た夢の中に、人々が捨てた若い頃の夢を拾い集めては街中の公園に夜、こっそり埋めている、柴さんという名前の、70くらいのお爺さんが出てきた。その夢を埋めた上には、コマイヌみたいな変な動物の像が要石として置かれている。若い頃の夢を探しにきた男が、その像をどかすと、そこには大きな穴があり、のぞきこんだ男はいきなり吸い込まれて、ニューヨークへ行ってしまう。なんでニューヨークなのかはわからず。とはいえ、49歳の誕生日らしい夢。

朝8時半起床、入浴して9時半朝食。スイカとイチゴ、グレープフルーツいずれも少量ずつ。心斎橋のペッパーランチ報道以来、あれが食べたくなって困る。あれほど衝撃的な事件だったにも関わらず、報道がほとんどなされていない件につき、ネットではかなり猟奇的なウワサも飛び交っているようだが、さて。

日記つけ、原稿書き。YouTubeについ、いりびたる。なにしろ懐かしい映像だらけなのだ。
http://www.youtube.com/watch?v=bqB4lz5QiRo
↑アンディ・ウォーホルの“グンジョウイィロ”。今見てもカッコいいが、“イマ人”ってコピーがダサいな。CMのコピーに経年対応は必要ない、と言えばそうなのだが。

http://www.youtube.com/watch?v=EH2IWDSPSq4
↑当時日本のCMに出て驚いた大物と言えばウォーホルとこの人。しかし流れている曲(『第三の男』)は別にウェルズ作品じゃないんだけどね。まあ、当時の日本人で顔と名前以外、本当にこの人の作品を観ていた者がどれだけいたか。

http://www.youtube.com/watch?v=myQ5A1YdEQk
↑これも、スタッフをトルーパーズにするあたりのダサさがどうしようもないが、ま、そうしないと誰だかオタ以外にはわからない。

http://www.youtube.com/watch?v=gNBJ77W4rZ4
↑これはさすがにシャレていた。

http://www.youtube.com/watch?v=KW9Y2aBi7aw
↑その経験から? あるいはこっちが先? シンプソンズ『ジャパニーズ・コマーシャル』

いつまでこんなことやってられぬ、と、まずは朝日新聞の書評。今回は500字なので、まず7〜800字の原稿を書き、書き上げたものをその字数の中に収めるべく、どんどん削っていく。最後になると、もうあと一文字、こっちで句読点を削って……というような作業になる。ある先輩委員が“あれはパズルです”と言っていたがまさに。

昼は弁当、ポークライス。
原稿完成させてメールし、急いで事務所へ。今日は吉祥寺でオノとバーバラが誕生会を開いてくれるというので、ついでに携帯も新しくしよう、と企画。

その前にもう一本、DVDデラックスの原稿を大急ぎでアゲる。お題は『トルコ風呂』。ソープじゃないですよ。書いていたら、オノがいきなり仕事場に
「センセイ、大変です!」
と飛び込んでくる。何かと思ったら、『永六輔その新世界』からの出演依頼があった、ということだった。なんでそんなに騒ぐか。

そのあと、オノ、バーバラと三人で吉祥寺まで。まずソフトバンクで以前の携帯(ボーダフォン)を解約して、と思ったら、いきなり、
「契約者が奥様になっているので奥様の委任状がなければ出来ません」
と言われる。今日の変更、万全を期そうとオノが朝から電話をかけて、その電話のテープ応対にキーッとなったり、朝、出がけにこのショップに訪れて確認したり、いろいろ手を打ってくれたのだが全部ダメになる。
「詰めが甘かったですねえ」
とオノとバーバラ、悔しそう。

これまでにも何回か、携帯を新しくするココロミが思いがけぬアクシデントやミスでNGになっている。今日やらないと、またこれで数ヶ月、元のまま、という可能性がある。解約は後にして、番号が変わっても、今日新しくしてしまおう、と決心。携帯ショップに行き、wiん(カシオ)を購入。手続きをすます。これで晴れてauだ。番号も覚えやすいいいのが取れた。

その最中、さいとうさんからお誕生日おめでとう電話。あと、ラジオライフTさんから別件で電話。母を拾って、吉祥寺のイングリッシュパブ『ウラプール』へ。ギネスで乾杯、バーバラが“59歳おめでとうございます”と口走るので、それほど歳とっちゃイネエヨ、と。料理はフィッシュ&チップス(“49”のロウソクつき)、スモークサーモン、シェパーズパイ。いずれも美味し。マドもちょっと遅れてきて加わる。

ワイワイと騒いでからそこを出て、母とバーバラと別れ、今度は途中で電話きたハッシーと落ち合って、近くの焼酎居酒屋まで。誕生会の二次会になる。芝居のこと、ホラー映画のことなどいろいろ。オノのツッコミにハッシー大笑い、
「舞台に出ない?」
とスカウトしていた。焼酎半額デーだったのでいろんな種類ガブのみして、ちょっとバテ、途中から半眠り。帰宅して、メールのみチェック。本当にたくさんの方からお祝いメールが届いている。感謝。

正直言って、この歳になると、自分の人生の残り時間を意識せざるを得ない。あせりもあがきもある。しかし、それだけに、ひとつひとつの仕事や出会いが若い頃に数倍して嬉しかったり新鮮だったりする。死を意識してはじめて、生は充実したものになる、と言うがそれを実感している今日このごろである。

ただ、毎年これは誓うのだが、お腹と人間を年齢相応に丸くするのだけは避けたい。モノカキというのはある種の意地悪爺さんでないとやってはいけないのである。これからも圭角のある、偏頗な人間でいくぞ、と改めて決意す。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa