裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

10日

木曜日

リスペクトるマン

自分の理想と目的持って地球侵略をしている宇宙猿人ゴリさん、素晴らしい! あなたの強く生きてる姿は銀河系の希望だ!

※渋谷時代『声のインスタントオーケストラ』観賞

朝、友人たちと神社にお参りにいく夢を見る。神社クイズの張り紙があるので見ると、簡単なものだったので答える。アタリの景品で醍醐をくれるので噛っていると、景品係の巫女さんが
「アッ、テレビに出ている人だ〜」
と言って笑う。夢なのに、夢っぽいストーリィの飛躍とか全くなくて、明日、実際にあっても全くおかしくない夢。現実と違うのは醍醐がマシマロみたいなものだったことくらいか。

6時ころ目が覚めて、ベッドで読書。『聖なる妄想の歴史』アゲて、次に『ジョンベネ殺し』にかかる。7時半ころまた寝て、8時50分起床。急いで入浴、朝食。オレンジ、イチゴ。特ダネ!で(テレ朝のスパモニはせっかくタマちゃんが復帰したのに、あのコメンテーター群がダメで、チャンネルが最近はフジに固定してしまっている)苫小牧の、子供餓死事件の犯人の母親の裏に迫る、という追跡コーナーを見たが、餓死した幼児の口の中に虫がわいていたとか、目が動いていた(これも虫だろう)とか、朝から胸がちと悪くなる。

その後、自室で仕事。昼はシャケの粕漬け弁当。一瞬で食べ終える。
ミクシィ日記に“絵文字”という機能がついたらしく、ニュースのコメントなど、うるさくて仕方ない。朝の苫小牧の母親の携帯メール日記というのが画面に映ったが、絵文字だらけで、普通の文字の方がかえって少ないくらいだった。
「絵文字は感情を素直に表現できる」
という意見もあるが、固定化された絵文字を選択して並べるだけの感情表現は、結局は自分の心を型にはめたものでしか表わせない。夫と離婚して子供二人(三人いて一人は事故死)と一緒に暮し、
「○○ちゃん(自分の子供)は私の宝物だから!」
という言葉を過剰なまでの絵文字で飾った母親は、それから一年もたたないうち、新しい交際相手が出来、
「交際相手と一緒に住みたかったので、子どもを殺してしまおうと思った」
と考え、二人の子を放置したまま餓死させようとしたのである。表面的には、どちらの感情もその時点では彼女にとって事実だったのだろうけれど。
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1177265220/l50x

岩波新書『ダルタニャンの生涯〜史実の三銃士〜』(佐藤賢一)読む。『鞍馬天狗』はハズレだったが、こっちは面白い。『創』Kさんから、『オタク論!』三刷決定のメール。動きが早いこと早いこと。

2時ころ、仕事一段落したので、さて事務所へと支度をしかけるが、急速に眠気がさし、ベッドに倒れ込んで1時間、気絶したように寝る。朝目が覚めてしまったので寝が足りないかな、とも思ったが、後で調べたら暴風雨の接近で、気圧が急速に高下したらしい。

事務所に出る。オノに何か連絡事項は、と訊くが、今日は電話すら一件もない、魔日みたいな空白の日であった(もっとも、その後一件、インタビュー依頼があったらしい)。朝日新聞社宛に、書評のアフターケア用のメモを作成して送る。掲載された書評内容に質問などが来たときの、編集部の対応用の心覚えである。この作業に案外ハマってしまい、楽しくなる。

ミクシィニュースで拾った記事。
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=209112&media_id=30
※※
大事そうにランプを抱えたインリン様が、花道に現れた。「ハタリ、ハタマタ…」と呪文を唱えながら、愛(いと)おしそうに手を触れた。注ぎ口から白煙が噴出。大量の煙が立ちこめた後、漆黒の巨体が、輪郭を現した。大歓声。日本プロレス史に残るレジェンド、ブッチャーだった。
※※
「ハタリ、ハタマタ……」
はブッチャーではなくてシンの方だろう。ブッチャーなら
「マカラカシトモマカラ」
でなくてはいかん。タイガー・ジェット・シンが“ハッタラマタハタラー”、そしてシークが“マキマキッ”というのは昭和プロレスファンにとっては動かしてはいかんジョーシキなのだ。

今日は暴風雨ということで雨具も持って出たのだが、霧雨に近い濛状態で、さほどでもなし。唐そばでラーメン一杯すすって、公演通り渋谷クラシックスへ。マイミクけつまん(松本健一)さん主宰の『渋谷時代』のvol.32『声のインスタントオーケストラ』に出向く。これもマイミクのなべかつさん、ハッシーさんも出演をしているので(ハッシーからは今朝、電話も貰った)行ってみたわけだが、実はどんな催しか、内容がまるでわからず。闇鍋状態のライブであった。会場でなべかつさんに会ったので、どういうもの? と訊いたら、本人もさっきようやく全貌を把握した、というもの。客席、ほぼ満員。

で、始まってやっとわかったのだが、現代音楽の作曲家たちが、歌手、音楽家、ボイスパフォーマー、役者、お笑い系など、各業界の人達十数人を集めて、彼らの声を楽器代わりにして現代音楽を演奏する、というものだった。最初の、吉田隆一作曲の『フォルマントエンジン』など、まさに現代音楽。まことに申し訳ないが、現代音楽というものに対する知識が私は『2001年宇宙の旅』のモノリスのシーンに使われていた、というくらいしかなく、また、その後何度も、現代音楽はCDを聞いたりコンサートに行ったりしているのだが、全部『2001年』のあの曲に聞こえる。

この『フォルマントエンジン』もそれで、ただし、コーラスの文句が
「コロッケください」
だったり
「生きていてすいません」
だったり
「NHKの集金でーす」
だったりというアドリブ言葉であるということ。それらが言葉の意味を次第に喪失し、純粋な音の響きの集合体へと純化していって、やがて全く新たな“声”がそこに誕生する……のを、目指しているのだろうが、どうしても私が言葉の“意味”でメシを食っている身である故に、純粋な音として言葉を捉えられぬ。それは、やはり言葉の意味の連なりで演劇を作っているハッシーも同じらしく、彼のパートだけが独り芝居のようになり、なべかつさんもハッシーのハゲネタをフッたりするが、そうすると、完全な意味なしアドリブをやっていた他のパフォーマーたちも、そっちネタに走ってしまったりして、やはり言葉から意味を完全に消去することはムズカシイのだな、と改めて思ったり(お客は私含めみんな笑っていた)。しかし、さすがにみんな、声がいい。聞いているだけで気持ちがよくなる。

その後の曲目も、基本的には同じ構造。決して退屈ではなく、それぞれに面白い。田村夏樹『お告げ』は、チベットの唱詠法を現代音楽的に再現したもの、足立智美『声のための三楽章・新聞』はみんが一斉にスポーツ新聞を読み上げるという趣向だったが、ここでもなべかつさんが風俗店情報を例のいい声で読み上げて一番目立って(耳立って?)いた。

最後の曲目『多摩川に流されて』(金子泰子)は、多摩川に流してみたいものをお客に言ってもらい、それをメンバーが即興パフォーマンスで流される様子を演じるというもの。司会役のなべかつさんが指名して、“死にかけの雷魚”“若気のあやまち”“ダンナ”“女房”“砂金(?)”“万華鏡(?)”“安倍晋三”などというお題(というとお笑いじゃない、と叱られるらしい)をとり、みんなが四苦八苦してそれをイメージする。ここはもう、ハッシーの独壇場みたいなもの。私に最後にフってきたので、某、大嫌いな編集者の名前をあげる。

あと、小柄で童顔の女性がアドリブも聞いてなかなか個性があり、いいな、役者さんかな、と思ったらかわいしのぶというベーシストだった。ちょっと萌えっぽい(そんなアドリブもやっていた)、と思ってサイトを確認したら1971年生まれ。失礼しました。

終って、松本さんに挨拶、次回は出てください、と言われる。ハッシー、YAGIくん、なべかつというメンバー。四人で飲みに流れ。酉十郎という水炊きの店に入り(ただしラーメン食べて腹がふくれていたので水炊きは食べず)今日のライブばなし。もう一件行きましょう、と当然なって、英寿司でまた飲んでワイワイ。地方公演の話とか、映画出演の話、ロフトプラスワンの二村ヒトシイベントの話など。また、何故かどこに行っても“アイツはいいが事務所が悪い”と噂の出る某役者の話などで盛り上がる。結局、1時半まで。昨日に引き続き、楽しく飲んだ一夜だった。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa