裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

9日

水曜日

萌え向きに対処いたします

今国会で眼鏡っ娘法案を検討するに当たりまして。

※白夜『パチスロ必勝ガイド』原稿 朝日書評委員会

朝8時半起床、入浴。夏のような湿度。今年初めてエアコンをドライにしてかける。9時朝食、『特ダネ!』で談笑さんの川柳ブーム取材を見る。スタジオのデーブ・スペクターがすぐ、自分も川柳を作ったのに(控室で考えたんではあろうが)驚く。ガイジンに負けてはいられないとやってみるが、私が作るとどうも毒がかつ。

「“つじぎみ”と読んで乱行納得し」(所詮夜鷹だよアイドルなんて)

「太陽は服を脱がせる上手なり」(イソップ童話の昔から)

「ヤオでロリさすがムサシで二刀流」(杉浦太陽ホモ説は二丁目の定説)

朝食、オレンジとイチゴ。そろそろオレンジが美味くなる季節である。自室に戻り、日記つけ。ダーリン先生、ガン患者のくせに大飯を食っちゃ浅草を歩き回って大丈夫かと思っていたら、転移していたガンがなんと半分の大きさに縮小、元のところのそれも機能障害が大幅に低レベル化しているとのこと。芸人というのはまあ、バケモノであることだと感心。

電話いろいろ。大部分は原稿の催促。これまでで最大級の原稿催促によるピンチと言えば、処女出版のとき、担当だったSくんが仕事場に乗り込んできて私の仕事机の後ろにどっかと座り、
「今日はマクラを持ってきました。泊まり込みます。原稿もらうまで帰りません」
と言ったときだったが、そのとき、飼っていたネコがニャーと(人見知りしないネコなので)Sくんにスリよっていき、それを見たSくんはいきなり立ち上がって、
「あっ、ネコ飼ってるんですか。僕、ネコアレルギーなんで、また明日来ます」
と、泊まり込むどころか五分で帰っていった。あのときはネコから後光が差して見えたものである。

昼食は母の作ったエビチャーハン。エビが、小ぶりとはいえ入っていることいること。エビとレタスの間に米粒がまぶさっている、といった体のチャーハンだった。メールで、札幌のでんたるさんから大変ありがたい申し出あり。

岩波新書『鞍馬天狗』(川西政明)読むがあまり面白くない。前半は大佛次郎の原作から、鞍馬天狗が人を斬ったシーンを抜き出して人数をカウントすることに終始、後半は『天皇の世紀』から明治維新の道のりをダイジェストしているだけで、鞍馬天狗とさっぱり結びつけていない。終盤でアラカンの鞍馬天狗の話を唐突に出してオシマイ。何かひとつくらい新機軸の論を出して欲しかった。

3時半、事務所。オノは病院に行く母親の付添で休み。白夜書房のパチスロ原稿、『侍ジャイアンツ』。これはどう紹介したって笑えるものになるので楽、というわけでもない。どう紹介しても面白いからこそ、それをどう料理するかの腕が問われる。5時半、完成させてメール。

それから事務所を出て、築地の朝日新聞社。出ると、渋谷近辺は完全に夏のアンニュイな夕暮れ。タクシー飛ばして書評委員会会合。毎回、読み切れない冊数の本はとるまいと自分をいましめているのだが、さすが、面白そうな本が第一次選考を通過してきていて、十冊近く選んでしまう。本好きの本能。今回は他の委員の方とカチ合って、そちらに回る本がかなりあったのでまあ、何とか期限までの読破が可能な冊数に落ち着いた。

弁当は竹葉亭のウナ重。懐かしい。改装前の竹葉亭は地下が土間みたいな作りになっており、マガジンハウスで最初に原稿採用が決まったとき、あそこの地下でキモ焼きを肴にクイとあおったコップ酒の美味さは忘れられない。

終って、別件の頼みごとを某氏にしたりして、解散。前に提出した原稿(次の次に掲載)でちょっとご相談が、とKさん言うので、じゃア、と中野まで送ってもらう車中で打ち合せ。原稿に何か問題があるかな、と思ったら、字句の調整程度のことであったので安心した。

暑くてノドが渇いたので中野のいろり庵でギネスでも、と思ったら閉まっていたので、仕方なく、近くのモツ焼き屋で、路上のテーブルに座って生ビールとホッピー、杯を重ねながら雑談。モツも酒もうまく、話も楽しく、何か躁的になった。そしたら、偶然にもあぁルナのお肉くんの顔が。坂本ちゃんも一緒。銀小でのこの次の芝居(客演)の稽古の帰りだとのこと。共演の女優さんも一緒。ちょっとした偶然である。こっちともいろいろ話はずんで、いやあ、ダブルで楽しかった。楽し過ぎてホッピー過ごしすぎてしまったが。つきあってくれたKさんには申し訳なし。

この店の近く、座ったテーブルからよく見える位置に『メイドIN中野』というメイド風俗あり。飲みながら見ていると、とにかくよく客が出入りしている。あんなに繁盛するのなら、メイド風俗もそりゃ増える。まあ、モツ鍋屋やジンギスカンと同じ一過性のブームに過ぎないとは思うが。12時、帰宅。ネット確認して、すぐベッドに倒れ込む。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa