裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

月曜日

シャンバラなくっちゃ

理想郷めざしてシャンバラなくちゃ。

寝られる寝られる、いくらでも寝られる。
と、いうわけで起きたら11時半。ちと自分ながら呆れた。ゆうべ焼き肉から帰って10時半ころ寝て、2時、5時と断続的に目を覚まして日記などつけているのではあるが、それでまた眠くなって寝て、気がついたらこの時間なのであった。

起きてネットのニュースを見たら何か世間では停電騒ぎだったようだが、寝込んでいて何の不便も感じずに起きたらもう回復していた、という、乗物パニック映画に必ずひとりいるこういう役(たいていホームレスの婆さんとか)、というような役回りだった。それにしても、昨日だったらその混乱いかばかり、と思い、オタクの強運を思わざるを得ない。

モモを噛って朝飯代わり。原稿書き、アスペクトの社会派くんサイトの『亀田号外』原稿を書く。5枚くらいのつもりが8枚半になった。途中、昼飯。卵かけご飯。母の台所から漬物を持ってきて副食物に。

書き上げてメーリングリストに上げ、さて、と出て紀尾井町。角川ヘラルド試写室で『グエムル・漢江の怪物』の最終試写。15分前に到着するが、入り口で係の女性に
「うーん、ちょっともう、満員なんですよねえ」
と言われる。
「補助席ももう出し切って、立ち見でもいっぱいいっぱいなんですよねえ」
とのこと。ならば“なんですよねえ”とか言わずにダイレクトに
「申し訳ありませんが、本日はすでに満席でごらんいただけません」
と言われた方が気分はいい。なるほど大したものだ、試写でこれだけなのだから凄いヒットなのだな、と素直に感心できる。
この女性の口調は、人に“申し訳ありません”とあやまりたくない、という口調だ。“私のせいじゃないしぃ”というところなんだろう。
「でも、今日が最終試写なんだよね」
と言うと
「そうなんですよねぇ」
と煮え切らない。どうしろと言うのか。これ以上話しても無駄なのでさっさときびすを返してタクシー拾って渋谷へ。携帯で連絡とって、ひとつ某件の打ち合わせを入れて、それをすます。こっちも忙しい。ダメならダメとさっさと見切りをつけたいのである。

用件はすぐ終って、ついでに、と東急駅前店で渋谷大古書市。何人かに声をかけられた。雑誌連載のネタ本を拾えたのはよし。あとは講談本数冊と、円谷プロ特撮全集(チビラくんやMJといったマイナー系の載っているやつ)。全部で2万ばかし。試写を蹴られるということがなかったら、今回は行かなかったかもしれない。

夕食の買い物を東武ホテルでして中野に帰る。まだ体に疲れは残っているし、さてどうするか、とぐちぐちしながら、気分転換にギョウザの餡など練る。料理というものは不思議なもので神経が落ち着く。白菜を刻み、ニラを刻み、ニンニクを刻み、合い挽き肉と混ぜてそこに腐乳をひとかけ混ぜ込む。これでコクが出る。干しシイタケを戻して刻むのを忘れたので、ミキサーでジャッ、と細かに砕いて混ぜ込む。

アーコフ・ライブラリーのDVDで、『吸血原子蜘蛛』を見ながらギョーザを皮で包む。バート・I・ゴードンの作品にしては大変に良質な映画で、安っぽさも(まあ比較問題だが)それほどには感じられない。一度退治した(と思った)蜘蛛の死骸を学校の体育館に飾っておくのはどうかと思うが。

8時、作ったギョーザを茹で、水ギョーザにして食べながら『吸血原子蜘蛛』見続け。さらに007ものなど、DVDを数本。ギョーザは30箇ほど、作ったものぺろりと食べてしまい、大根を新たに油揚と薄味出しで煮て酒の肴にする。日本酒を茶わん酒で数杯、それからホッピー2本。いい気分になって寝る。また寝るのかと我ながら呆れる。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa