裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

6日

日曜日

本当にあったエコロジー話

自然を保護するつもりが実は。

朝8時起床、頭がボーッとしている。風邪に関してはひかない男だと自任していたが、体力と免疫力がよほど落ちていたのであろう。

9時朝食、青豆スープ、長野ヒコク氏からいただいた桃。まだちょっと固い。ぼーっとしながら食べて、ぼーっとしながら日記つけてまたベッドで寝ころんで。

昼は昨日『おれんち』のメニューで出て食べきれなかった“白身魚のトマトソース煮”を持ち帰ったものをソースにして魚介パスタ。ズッキーニのチーズ焼きも一緒に持ち帰ってそれもぶち込む。うまし。ダシが違いますなあ。

原稿手をつけようとしていろいろひねくるが、やはり風邪で脳が機能しない。文章が全然つむがれない。外は暑い。今日は3時から王子でプラネタリウム視察だが外は35度。出たくない。

とはいえ出ないわけにもいかず外出。新宿から山手線で田端、そこから京浜東北線で王子。3時に到着するが、待ち合わせは3時40分。近くの書店で『サライ』などを買って、駅前のプロントで読みながら待つ。サライ、特集は『素顔の昭和天皇』。宮内庁大膳課厨房第一係だった谷部金次郎氏の言に曰く
「一尾付けの魚は、ピンセットを使って骨を取り、腸も取り除きました。それから元の形に整えて、お出ししたものです」
ゾンビかフランケンシュタインの怪物みたいであまりゾッとしない。

3時40分、橋沢さんと北口改札で待ち合わせ。
10月に北とぴあのプラネタリウムを使ってあぁルナの芝居をする、その下見なのだが、一緒に行くはずの開田夫妻がいつまで待っても来ない。橋沢さんが電話してみたらなんか夫婦揃って寝過ごしていたようで、携帯の向こう側で
「カイダ、プラネタリウム、プラネタリウム!」
「ええーっ、もう間に合わない!」
というようなドタバタがあったらしく、橋沢さん曰く
「面白いものが聞けたので腹も立たないですねえ」
と。仕方なく、オヤジ2人でプラネタリウム観賞。

ここのプラネタリウムは半球型でなく2/3球型。つまり観客は完全に上を向かなくてもいい形式で、芝居の舞台として使うにはいい。ここの職員さんが解説をしてくれる。何年もやっているだけに妙に慣れているのだが、
「さそり座のさそりが暴れないように、後ろに射手座が矢を弓につがえて狙っています。射たれるとさそりは何と言うか知ってますか? “イテっ”って言うんですよ」
とかに失笑。

1時間ほどのショーを終えて、出る。
知らぬ間に1時間が過ぎてしまったのは大したものだが途中で知らぬ間に眠っていたのかも知れぬ。舞台の上にピアノが据えっぱなしなのをどう逆利用するか、などということを考える。開田夫妻を待つ間、駅前の大衆居酒屋・料理処『半平』に入る。いかにも大衆酒場という感じ。“王子焼き”という厚揚げの焼いたのの名称由来説明に、橋沢さんに『王子の狐』の噺を一席。そう言えばこの噺、私は生で噺家さんが高座で演じたのを聞いたことがあったかしらん。

ちなみに、以前一行知識掲示板に書いたことのあるネタだが、『王子の狐』を逆さにした『狐の王子』という映画がある。1949年製作の西洋チャンバラ活劇で主演はタイロン・パワー。オースン・ウェルズがチェーザレ・ボルジアの役で出ている。

やがて開田夫妻来る。場所の特性を活かしてどうストーリィを作り上げるか、ということをちょっと。あとは酒。くりから(うなぎの幼魚の焼いたの)などを肴に。橋沢さん、こないだ飲んだとき、ジェルスの館長さんからの感動のメールの話をしたのに、私がそれを全く日記に書いてない、と言う。いや、感動の話って書くのはテレ臭いじゃないですか。

あやさんから、新感線の中島かずきさんが私のことを
「唐沢さんはウチのような大きい劇団より小さいところの方が好きなんでしょ」
とスネて言っていた、という話。いやいや、大きいところも好きです。ただ、私のような者でも協力できることとなると、必然的に大きなところに対しては少なくなるわけで。声さえかけてもらえれば歌舞伎座にだって劇団四季にだって。

橋沢さんは今度つまみ枝豆さんの劇団“まめや別館”の公演『みやこ旅館』(8/23〜27)に客演する。
http://www.mameya.jp/index.html
こないだまでジェルス公演、ロフトのイベント、DVD出演、NHKドラマ出演と予定がぎっしりで、全く稽古に参加できず、セリフも入れられなかったという。
「いや、しかし予定がぎっしりというのは楽しいですね」
という。全くそれの楽しさに、私はこの10年、とにかく自分の予定表をぎっしりと埋め尽くすことをやってきた。日記をつけ初めて7年だが、最も登場頻度の低い文字は“暇”なのではないか。今後も基本はそれでいくつもりではあるが、しかしそろそろ自分の体力をにらみながら、ということが必要な年齢ではある。

いつぞやの4時から飲みに比べればまだいいが今日も5時から飲み。体調不良を酒でまぎらす飲み方というのはあまり褒められた飲み方でなし。7時過ぎ、開田夫妻と地下鉄乗り継いで帰宅。家に帰って欲も得もなくそのままベッドへ。一応風邪薬二種、のんで。明日はNHKなんだよな。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa