裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

25日

木曜日

三ケ所移動、の記

6時45分起床。日記ざっとつけ、二週続けて遅れているアサ芸にかかる。9時の朝食(スイカと豆スープ。スープが非常にうまい)をはさんで、11時に完成、メールする。11時半、出勤。台風接近で雨、ただしまだそんなに強くない。

途上、声をかけられる。こないだ会った美少女歌手。Xちゃん。なんか顔というか体全体が小さくなった感じだったので
「どうしたの」
と訊いたら、ジンギスカンの生焼けを食べて大腸炎を起こしたのだそうだ。
「前にもやっていて、それいらい大腸炎が癖になって」
とのこと。フリー職業は体が資本。病気しやすい体質というのはつらかろうなあと思うが、こればかりはどうしてあげることも。

渋谷着、メールチェックなどいくつかして昼食。外は台風ますますひどく。しかし2時、ジオサイト打ち合わせ&下見に出かける頃は小やみになっていた。虎ノ門までタクシー。おぐりに“みずほ銀行の前で待ち合わせ”と言っておいたのだが、間抜けな話でみずほはこの地下共同溝建設のために移転していた。移転先の方で待っていたらしいのであわてて携帯で呼び寄せる。六花マネと三人、Wさんの案内で地下に入る。雨がひどく、共同溝内も凄まじい雨音。大雨注意報で、地下での作業が中止され、舞台設営も出来ていない状態。国交省の言うところでは明日、中止か決行かはフィフティ・フィフティの現状だという。

演出のSさんはじめみんなの表情に緊張と不安は隠せない。こないだワガママを言いっぱなしだった現代音楽のねーちゃんも妙に殊勝で、リハ、三時間が無理なら一時間半でもいい、などと言う。彼女も彼女で、あれだけの人を集めて声をかけた(さすがに三十人は無理と言われて出演は少年合唱団と笙の奏者含め10人ほどになった)手前、中止では面目が立たないのだろう。

一応エスカレーターで降りて舞台のみ見て、ざっとした場所の確認だけおぐりとする。その間中もずっと、共同溝内には雨、しとしとと。ところが終わって地上出てみたら、なんと雨、ほとんど降ってない。染み込んだ水がしたたる分、地上より長く雨降り状態になるのであろう。ここで4時。

おぐりと別れ、六花マネと喫茶店で今後のスケジュール打ち合わせ。談之助に私は電話して、神保町での落ち合い場所等を。そこから地下鉄で移動、岩波ホール前で5時、談之助と落ち合い、三人でカスミ書房へ。某件(またかい)打ち合わせ。冬コミの話も。Yさん、肺気腫になって入院していたというのに、胸ポケットにはちゃんとタバコが二箱。
「仕事しているとつい、吸っちゃいますねえ」
と。

そこで談之助と別れ、さらに六花マネとは連れ立って中野へ。芸能小劇場でアニドウ上映会。一日に都内三ケ所というのは新記録か。さすがに開場待ちしながらオチそうになる。前回、なみき会長の日記に、
「(『鉄扇公主』にアニドウなど)週に二回もアニメの上映会を観に行くようなやつは無職のヒマ人だけで、カラサワがあんなに忙しそうな日記を書いているのは全部ウソに違いない」などと書かれたが、このような苦労の末の観賞なのですゾ。テスト上映で『長猫』やっているとみえ、
「ぼくはただの百姓のこせがれです!」
というピエールの台詞が聞こえる。
そこだけ切り取って聞いたので六花マネが“これはなんの台詞ですか”と驚愕していた。

前回の(7/26)が台風直撃下のアニメ大会、と銘打っていたわりにはそれてしまい、スカくった気分(?)になったのだが、今回はビンゴ。さすがにお客さん少ないが、それでも50人以上は入っている。さざんかQさん、まるさん、植木さんなど私近辺の常連は台風をついての決死隊的観賞。

『毎日ニュース』のニュース映画『荒れ狂う台風18号』(昭和36年)がまず最初に上映される。上映フィルムでこういうシャレができるのも上映会開催者の特権だろうが、この一本のためにシネスコレンズを用意したというのは、シャレというのも労力を伴うもの。くわしい内容はなみき会長の日記で。
http://www.anido.com/blog/archives/000141.html

ウサギの出てくる某作品が妙によかったり、『タキシード・ペンギン』はつまらん作品だが、主人公のペンギンの声をドン・アダムス(『それゆけ! スマート』)がアテていることを発見したり、山本早苗の『スパイ撃滅』のスパイ描写と防諜ポスターがよかったりして満足、満足。某最大手プロダクションの、自社作品の自己パロディという珍品も観られた!

外は雨、でもまあそれほどひどくなし。『天動説』のさざんかさん以外のお二人も上映後加わったので7人の大所帯となって、とらじへ。道々、ベティの出自について六花マネに説明したり、玉川良一の声のドルーピーの話をさざんかさんとしたり(クールな狼がみんなに大人気。この声は小林“次元”清志だったなあ)。

雨漏りしている二階に通されるが、階段のまん中に大きな水指しが置かれており、これで雨漏りを受けている。これを避けて二階へ上がるのがかなりの苦労。二階も窓際近辺には青いビニールシートが張られており、ジオサイトと変わらない。アニメの話、だじゃれの話、いろいろと。トイレの床が、こういう店だとよくあるが肉の脂でべっとり。雨に濡れたズック靴がすべって、用を足しているとぐーっと足が開いていき、両側の壁にくっついてしまう。サイレント喜劇みたいだった。

ビールに真露、ホルモンなどいろいろ。カルビクッパまでたっぷり食べてお開き、植木不等式さん、タクシー相乗りで送ってくださる。雨、ようやく繁し。明日はどうなるか?

Copyright 2006 Shunichi Karasawa