裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

23日

火曜日

浜美枝と銀小と、の記

朝7時半起床。
起きてまず、ミクシィってのは中毒か?9時朝食、スイカ二切れ、スープカップ一杯、あと青汁など。

六花マネと今日の文化放送収録のことでメールやりとり。
他にモルガン証券での講演の件など。
11時出勤。

昨日のメールで、FRIDAYコラムに編集長段階でチェック入ったので(小泉首相に好意的だったのがマズかったか?)、そこらへん、別の切り口に直して。昼はお茶漬け一杯、シャケ粕漬け。

Fさんから預かった原稿を読む。精神世界系で、前向きに前向きに書いてある分、読後の印象は暗い。あるオカルト系出版の編集さんに以前目を通して貰ったとき、
「なにかよほどつらい経験をされたんですか」
と訊かれたそうである。

Fさんは今、就職のため面接にあちこち通っているが、さすがにあれだけの腕を持っている人で、店長格での引く手あまただそうな。それだけが救いである。
「店が急に左前になる数日前、足を怪我したカラスが、
地下に通じる階段をひょこひょこと下りて、店に入ってきたんですよ。今思うと、何かを知らせに来たのかなあ」と話していた。実際、その晩に奥さんが、確かに預かっていてなくすはずのない翌日の仕込みのお金を紛失、そこからすべてのことがガタガタになっていったとか。考えるだに無気味な予兆である。

1時半、時間割で二見書房Yさんと打ち合わせ。見本本、もらう。デザインがいいので驚く。よくこれだけ短期間に、こんなに手間のかかる本文デザインを仕立ててくれたものだと感心。写真も豊富で、おぐりゆかの認知に実にいいアイテムになる。売り出しプロデューサーとして感謝。もっとも、急場だけに誤植もいくつか発見。これは増刷で訂正しよう!

サイン会の件、打ち合わせ。サインの他にハンコみたいなものを作ってきて捺したいとのこと。あと、今後のことについてなど、いろいろ。私としてもDVDなど、こんな展開が早いとは予想もしていなかった。当初の予定をいろいろ変更せざるを得ない。基本的なことでのいろんな決断含め。つい、話し込んでしまい、仕事場に戻るのが2時15分になる。すでにスケマネ、来ている。

あわてて支度、持ってきてほしいと構成作家さんに頼まれた古雑誌類など掻き集めて。それ持ってタクシーで四谷二町目の文化放送。文化放送の建物はもと教会だったもの。文化放送自体、もともとは“セントポール放送教会”で、キリスト教の布教放送をするためのラジオ局だった。いまでもステンドグラスや格子模様など、教会時代のなごりがある。古くて(なにしろ開局が1952年)使いにくいがそれなりに味のあるいいビルだったが、来年には浜松町の新社屋に移転の予定だそうである。

何度も通ったところだけに寂しい。浜美枝さんと挨拶。学制時代、浅草東宝のオールナイトでクレ−ジ−キャッツ特集、ゴジラ特集で何度、一晩中彼女の顔を見ていたことか。収録はごく普通に古書ばなし。聴取者の世代層など考慮した話にはしたが、ちゃんと新刊の宣伝と公演の告知はして、役割を果たす。帰宅してちょっと休み、明日以降の打ち合わせのダンドリなど。

4時、時間割でおぐりと落ち合い、二見の見本本を数冊渡す。待ってれば明日くらいにはおぐりのもとにも届くのだが、一日も早く見たいらしい。その気持ちはわかる。
6時半、地下鉄で銀座。橋沢進一さんに京都で誘われた『マジカルTOM 第42回がっかりソロライブ』於銀座小劇場。第42回というが第1回である。大道芸人のマジカルTOMのライブの演出と出演を橋沢さんがやっているのである。冒頭にまず、バルーンで作った(マジカルTOMはバルーン芸人)機関車トーマス(!)をかぶった女優さん二人が物販をはじめるという構成がいい。

以前、場所も同じこの銀小で、同じ大道芸畑の吉沢忠くん(ちゅうサン)と舞台をやったことがある。ピン芸の人というのは基本的に舞台上に別の人がいると非常にやりにくがるものだが、橋沢さんが(苦労しながらも)芝居をつけていたという感じだった。
『ブエノス・アイレス』にも出ていた渡辺克己(以前オノプロにいたナベちゃんとまったく同名)さんの声のよさに驚く。テレビ『今日の出来事』などでナレーションをやっている人らしい。橋沢さんも顔が声を裏切る人だがこの二人が漫才もどきにしゃべるゆるいギャグがおもしろい。客席にいた清水ひとみさんに
「(橋沢、渡辺両氏と並ぶと)三人、やたら声がいいのでヘン。ラジオドラマの楽屋裏、って感じ」
と、褒められたんだかケナされたんだかわからない対応をされる。

終わったあと、打ち上げに誘われる。出演者以上にユニークなキャラの客(役者さんたち)が沢山。その中の一人に酒の大変好きな人がいて、
「今日は乾杯だけつきあいます」
と言ってやってきて、ビールのあと、私とつきあって日本酒を(実にうまそうに)飲む。
「乾杯だけなんじゃなかったのかよ」
「いや、これは日本酒の乾杯で」
などとグビグビやって、最後はつぶれてしまった。

TOMさんに訊いたら、やはりちゅうサン知っていて、大道芸界では伝説の人、になっているらしい。雑談多岐、多々。大笑い。京都での撮影の話、二見のおぐりとの単行本の話等。結局2時近くまで飲み、タクシーで同方向の橋沢さんと帰宅。

しかし濃いスケジュールの日であった。肉体的には大いにクタビレたが精神的には賦活された。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa