裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

13日

土曜日

夜中まで原稿、の記

朝7時起床。日記つけ、いろいろと京都行き雑用。
コミケの準備と京都行き準備、とにかくすべてに時間がない。
石井輝男監督死去の報。
あれはまだ大学生の夏、その夜、札幌に帰省するという日に昼間、三軒茶屋の名画座でやっていた『直撃地獄拳・大逆転』を観て、まさに脳天を直撃されて、まだ大学の夏期講議で阿佐ヶ谷に残っていた弟(なをき)に電話して、
「夏期講議など受けずとも、何をおいても観ろ」
と厳命、その夜、さっそく観てきた弟が興奮の口調で実家に電話してきて
「日本にもこれだけ徹頭徹尾馬鹿馬鹿しいものを
撮る監督がいてくれたとは……」
と、兄弟二人、熱くあつく語り合った25年前。
いまだあれを超えるテンポの“喜劇”を、われわれは観ていない。
『ルパン三世』をオモシロイという友人たちに「アニメよりルパンぽい実写映画があるんだぞ」とビデオを貸して、ショック受けさせるのも秘かな楽しみだった。
『網走番外地』『恐怖奇形人間』『地獄』『忘八武士道』……。
石井輝男という名前と共に、私の青春は薄汚れたオールナイト上映の映画館の中で過ぎていっていた。すばらしい青春だったと思っている。その時間をいただいたことの感謝を直接、お伝えできなかったのが残念である。安らかにお眠りくださいというよりは、あちらでまた土方巽や吉田輝夫、嵐寛寿郎などと新たな作品の構想をお練りくださいという方が合っているだろう。
いつか観られるその作品を期待しつつ。
9時朝食、モモとバナナ、カボチャのスープ。
おぐりに明日の京都行きの件でメール。
ラジオライフから原稿ゲラ。かなり行がハミ出ている。ベギラマのイラストがもう最高!
12時、出て、中野駅で蕎麦食って、
某人と某件で待ち合わせ。
待人来らず、こっちのカン違いか、と思って近くで買い物していたら携帯鳴って、あわててまた駅まで。いろいろと話す。
向こうが近松門左衛門知らないのにちょっと呆れた。ただし、提示してくれた資料は凄い。
ヘビーという形容が妥当か。
なんだかんだ検討するうち、5時近くになってしまう。一旦家に帰り、金成さんの歓迎会に出ようかと思ったら大雷雨。
ちょっと止むまで家で寝ている。
ゲイパレードから帰ったK子といろいろ話す。やがて止んで、さて出ようと思ったら、今度はラジオライフから、ゲラ縮めを早く、と催促。
急いでやって送る。
それから今度こそ出て、秋葉原まで。
ローズ&クラウンで金成さん歓迎&開田さんとこの参加一日目
お疲れ会。
金成さんの神戸の友達という女性にサイン求められ、薔薇族にサイン。昼間はゲイパレード行っていたらしく、すでにK子のサインあり。
開田さんと、
「しかしいい歳して、われわれはなんでこうコミケが好きかねえ」
と話す。
原稿これだけ詰まっている状態で、自分の同人誌だけならともかく、私なども開田さんの『ローレライ』や眠田さんのトゥーン同人誌などにまで原稿書いているんである。あのイベント感覚がたまらないのだろう。オタクの聖域。
そんな話の最中におぐりから電話。
明日のコミケの集合時間のこと。も少しゆっくりでいいのでは、と。やはり一般人はわれわれと温度差があるな、と笑う。こっちは一分でも早く行きたいのに。早く行くどころかIPPANくんとは、来年のコミケ時は会場隣のワシントンホテルに泊まってしまおうかという話。普通、ああいうホテルは海側の方が人気だが、コミケ時期はビックサイト側の部屋が人気で、言うまでもなく、徹夜組や朝並ぶ組の連中を窓から見下ろし、
「ハッハッハ、人が虫けらのようだ!」
とムスカ気取りで言うためである。
しかし、コミケ季節は一年前からの予約が必要、それも三連泊優先だそうである。果たして。
10時散会、新宿までみんなと電車、そこからタクシーで仕事場。
ファックス類チェックして、少し横になってビールの酔いをさまし、それから原稿。メモ稿をアテにしていたら、そんなに分量なし。2時までかかってなんとか。
タクシーで帰宅、
メールやりとり。
関口誠人さんがコミケに来るというが、全くコミケのことをわかっていないようなので不安。

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