裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

27日

水曜日

コマンダー囃子

♪北海道の司令官も、コマンダコマンダ、沖縄の司令官も、コマンダコマンダ。朝8時までひたすら寝ていて、食事のベルで目をさます。女房は遅く帰ってきたくせにテ キパキと起きて掃除などしている。

 朝食、リンゴとバナナ。昨日とはうってかわった快晴。猫はベランダに敷いたマットの上でひなたぼっこ。ただしマットの上に上半身しか乗せず。猫の考えることはわ からん。

 日記より先に昨日のフィギュア王原稿を完成させなくてはいけない。ガリガリとかかってなんとか。その後で日記つけたので、家を出て職場に向かうのが12時過ぎてしまう。仕事場について、急いで弁当を使う。2時半にNHKが来るので、ざっとで も片づけておかねばならん。

 本が乱雑に積み上げられている、というだけならモノカキの仕事場として絵になるのだが、ウチの場合、ゲラなどの用紙、切り抜いてファイルしたあとの新聞、食べた弁当のカラやペットボトルなどが散乱していて、“ただの散らかった部屋”であり、絵にならないのである。これを、“絵になる乱雑さ”にまとめる。あ、もちろん、そんなに汚く散らかっているのはゴールデンウィーク進行だから、であり、普段はもっ とこまめに掃除しています。為念。

 ゴミを地下のゴミ置き場に出しに往復、ゲラ用紙などまとめて縛って捨てようとしていたら今日じゅうもどしのミリオンのものがあったのであわてて目を通したり、おぐりゆかが載った朝日夕刊が私のところにも届いていて(気が付かず他の郵便物にま ぎれていた)記事を書いたTさんの手紙が添えられて
「この取材のことを唐沢さんがピンホールコラムに書いたのを文化部から知らされておらず、読んだ同僚が“おいT、お前朝日新聞に載っているぞ!”と騒いで職場で一時話題になりました」
 とか書いてあるのに笑ったりとかして、半分も片づかないうちにNHK『ニュース10』スタッフ来る。時間ピッタリである。こういう風だから国営放送は苦手だ。
「とっちらかってますが」
 とディレクター、カメラマン、録音技師さん(古いね、音声さん、か)の三人を上げるが、そのとっちらかりぶりがお気に召したらしく、
「オトコの理想の部屋ですね」
 と。まあ、そんなもんであろう。

 話は70年代の魅力、そしてその象徴たる万博の意味。話している最中にノッてきて、自分でも
「ウン、いま、オレはいいことを言っている!」
 と興奮したちょうどそのときにテープが切れたりして、ペースがダメダメになってしまったり、なかなか進まず、終わったのが3時半ころ。グッタリしてしまう。肉体 的疲れはインタビューそのものよりもその前の掃除によるものだろうが。

 その後、楽工社のと学会年鑑本のゲラチェック。本文部分は古くなったネタ等の差し替えもあり、かなり手を入れるが、座談会部分(日暮里の第一回東京大会のもの)はほとんどそのままで完璧。いかにあの大会の密度というものが濃かったかを示して いる。実際はこのフリートーク、やっているこっちとしては
「散漫だなあ、こりゃダレててダメだ」
 という印象で、二回目からは台本から切ってしまったのだが、これは四回目(来年の大会)からはちと考慮の必要あるかも。これだけの座談が散漫に感じるくらい、前 半のみんなの発表、候補作紹介、トンデモ落語などが充実していたのだ。

 ゲラアゲてメール、スケマネ六花さんに高松への講演旅行のことメールしたら、その週にはもひとつ講演がある、と指摘された。凄い講演週間。まあ、ひとつは東京だからそんなに大変でもない。向後は同じ週に北海道と沖縄、なんてこともあるか。いままで一番スゴかったのは取材旅行でサンフランシスコ(ニューヨークだったか?)から帰って二日あけてすぐロサンゼルス、というやつだった。今みたいに連載たくさん持ってるとまず無理、なのか、モバイルがあるからかえって楽、ということになる のか。

 そこで家を出て両国。立ち食いソバ一杯すすってみどりコミュニティセンターなる場所(お江戸両国亭の先)でうわの空の稽古。私の小道具となる医者の往診カバンを持っていく。それは評判よかったが、メスやハサミを包んだ布に血痕がついているのでみんなウヒャーと引いていた。今日は千葉公演の反省と新たなダンドリの打ち合わ せ、くらい。9時には終了。

 返りの電車は小林さんと一緒。いろいろと話す。
「そろそろ緊急だよね」
 というプロデュース計画のことなど。夕飯を食ってないので下北の虎の子ででも、と新宿から小田急で行くが満席。仕方なくスーパーで買い物して11時ころ帰宅。母の部屋の灯りがまだついているので顔を出して、カレーライス小皿に一杯、ホッピー一ビン。それから自室に帰り、白黒時代のテレビのDVDをいろいろ。水割り缶大小 一本づつ。

 スーパーで買った海鮮丼(要するに刺身の売れ残りをご飯の上に乗っけたもの)、無駄にするのもと思い上の具をツマミにしようと思って食ったら案外美味く、結局ご 飯も一緒に食べてしまう。イカンですな。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa