裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

14日

木曜日

シャーロック・モー娘。

 ワトソンくん、この時期に矢口と小栗旬の写真が載る謎がわかるかね? 朝3時に目が覚め、ミクシィなどやる。これがまずかった。再度寝て8時起き、寝汗でシャツもパンツもぐっしょり。朝食バナナとリンゴ、この頃はまだよかったがすぐノドがガラガラと言いはじめ、全身に倦怠感。風邪引いてしまった。体力が落ちたからひいたのか、内でひいていたから体力落ちていたのか、とにかくひさしぶりの風邪っぴき。

 11時半出勤、FAXで日テレとHBCから“請求書送れ”の指示。HBCはこのあいだのラジオのコメント代、日テレの方は『サンクチュアリ』の再放送代。どちらも金額にすれば一万ばかりで、請求書出す手間がめんどくさいが、細かい収入もない がしろには出来ない。

 12時、昼食に下のソバ屋で天重。NHKの社員証を首にかけた60くらいのおじさんが、読売新聞の“最古の星発見、130億歳”というニュースを熱心に読んでメモしていた。それ見ながら、
「ああ、そんな一生懸命メモしないでもネットにその記事そのまま載っているのに」
 とかぼんやり思うが、しかし細かなクセのある字で(たまたまよく見える位置にいたのだ)メモにきちっと書き込むそのおじさんの姿はモニターを覗き込んでコピペす る姿よりはカッコいい。

 1時、テレビ『ごきげんよう』。冒頭のクモとゴキブリばなし、よほどスタッフが気に入ったのかわざわざ小堺のセリフを入れ替えてまで流していた。森三中がやって くれた“鳥”のコントはカット。終わってすぐ関西の代理店から、
「テレビで拝見しましたが」
 と講演依頼の電話があったのには驚いた。

 みずしな孝之さんから週プレ『名もニュー後記』来る。私信部分で
「森三中かわいいですねえ」
 とあって驚く。いや、他の人からの“見ました”メールでも、彼女らを可愛いという声が多かった。今の可愛い子というイメージがアレなのか? だとすると私など、 女性をプロデュースすることはもう無理かも。

 頭ボーとして働かず、ネット散策。宮藤官九郎の『タイガー&ドラゴン』の設定を読んで、私が十年くらい前に『月刊漫画サンデー』に原作を描いて連載していた『極道ジュゲム』という作品を思い出した。アレは前座の落語家が師匠のバクチの借金の カタにヤクザの一家に売り飛ばされるという話だったが、その逆ベクトルか。

 この『極道ジュゲム』、人気もあったのだが、月刊漫画サンデーが連載四回目で消失して、それきりになってしまった(漫画サンデーの仕事自体それきりだった)。私のストーリィマンガ原作は『復讐医バロン』といいこれといい、掲載誌に恵まれない場合が多かったな。せめて単行本一巻にでもまとまっていれば、便乗で復刻も出来た のだが、としみったれたことを考える。

 5時、タクシーで赤坂。TBSでエイバックO氏と、TBSのT氏と。T氏は前に青山で話した人だが、いかにものテレビ人、それもバラエティ畑の人という感じ。要するに話、あまりカミ合わず。深夜番組だから女子大生を水着でいっぱい出して、という発言に何か凄いノスタルジアを感じてしまった。いや、そりゃ水着の女子大生も嫌いではないけれども。それでもすぐ、推薦する製作会社(私が最近よく仕事する某社)に連絡つけてくれた。向後しばらく、話が具体的に固まるまではO氏にこのルー トは一任。

 赤坂の通りを少しブラつく。テレビ局周辺ではここの雰囲気が一番好きである。風邪気味もあるし、そのまま帰って寝てしまおうと思ったが、徳間書店K氏から、二ヶ所原稿にナオシ部分ありとの電話、急いで帰ってその分を修正、メール。それから忘れていた、二見書房Yさんへの企画用見本ネタを書いてメール。なんとか仕事らしい 仕事が出来た。

 帰宅し、軽く家でメシ。肉豆腐、野菜類の酒粕サラダ、味噌おじや。そのまま寝ればよかったのに、自室でビデオ『宇宙戦争』(ジョージ・パル)見て、水割り缶一本空ける。しかし、この映画ももう数十回は繰り返し見ているが、凄まじいシンプルなストーリィである。スピルバーグがいかに最新SFX駆使して作ろうと、このシンプ ル故の完成度を越すことは難しいと思える。

 なぜこのビデオを見たかというと、某自称SF・ホラー映画ファン(30代男性) のサイトで、この作品のラストを
「人間が新兵器を作って火星人をやっつけてくれなくちゃつまらない」
 と評していたのを読んで驚いたから。原作のH・G・ウェルズも監督のジョージ・パルも、科学万能、人間最強という19世紀末や原水爆時代の人々の驕りをたしなめようとこういうテーマの作品を世に送ったはずなのだが、今やまた、人間はこういう驕り高ぶりの思考を身につけてしまった。スピルバーグは果たしてその驕りに媚びを 売るか、それとも原作者の意思を尊重するのか?

Copyright 2006 Shunichi Karasawa