裏モノ日記

裏モノ採集は一見平凡で怠惰なる日常の積み重ねの成果である。

5日

月曜日

秋田名物八森ハタハタ、男鹿では漫画ブリッコ

 アギダには美少女萌えが多いだでな。朝、7時半起床。朝風呂に入る。この風呂も入るのはこれが最後だが、すでに床暖房も切れてしまっているし、やはりあちこちにガタは来ていて、ここらが限界かな、という感じ。あまり惜愛の情を感じないのは、小学四年で引っ越してきてから三十五年、そのうち十年間は、一日も早くこの家から出たい、ということばかり思って暮らしてきて、一種憎んでもいたせいだろうか。

 東京に送る荷物を作る。カバンを軽くするため、衣服類などもみなつめるが、昨日コンビニで買ったエスビー食品『ホンコン焼きそば』一ダースも詰め込んだ。子供の頃の定番のおやつが、これと日清のママースパゲッティナポリタンであった。“ホンコン焼きそば、ホンコンにうまいよ”というテレビCM(立川談志!)があったように、昔は全国区の商品だったわけだが、いつの間にか姿を消して、北海道・東北にのみ(九州の一部にもあるらしい)残るものとなってしまった。高度経済成長期の味、という記憶がある。昨日たまたま出かけたときに見かけ、急になつかしくなり、大量購入してしまった。今、食べてみてうまいかどうかわからないが。
http://nagoya.cool.ne.jp/babuo/honkon.htm
↑いまやエスビー食品のサイト(ちなみに社名のエスビーとは“ス”パイスのSと、ハー“ブ”のBだそうな。かなり無理が……)内にも商品紹介がないホンコン焼きそば、しかもマニアたちが作っている『ホンコン焼きそば全国販売促進委員会』のサイ トも更新停止中。せめてここで作り方でも。

 10時、星さん来る。途中ブランクはあるが、この家に四半世紀以上勤めてくれて祖父さん、祖母さん、親父までをも看取ってくれた人である。私の目には、当時とほとんど変わらないイメージの、頑丈な人なのだが。K子がこの家に迎え入れられたのは、この星さんとすぐ仲良くなってしまったことが大きい理由のようにも思う。

 メールのみ確認(昨日よりモバイルの調子はいいようである)、年末にアゲておいた原稿受領の報告、それから今年最初の原稿催促メールなど。すでに日常が回復している。“読んでます”メールはしかしまだ来ている。これも『おれんち』近辺の人。 兼業主婦の女性だそうで、
「オタクカルチャーや落語などには全く無縁の人間なのだが、それでも面白い」
 という評価は大変にうれしいもの。

 10時45分、家を出て、タクシーで北四条のからさわ薬局へ。すでに豪貴に常連のお客さんが相談に来ていた。風邪薬、K子の咳の薬などを買う。札幌駅からスカイライナーで新千歳空港、12時。好天で雪の反射がまぶしい。空港で青龍の塩ラーメン。一度札幌駅地下の青龍で食べて、まずまずと思った店と同じチェーン。麺がよろしい。しかし、シナチクはケミカルな匂いが鼻にツンときた。飛行機の時間に間がないので、おみやげはロクに買えず。年末年始の帰省も最後になってつくづく思うが、 時間を大いにロスするものである。

 航空会社はJALだったが、JASの機体を使っているので、座席にゲーム機器がついている。K子はテレビゲーム熱中症であり、テトリス、スペースインベーダーなどの懐かしいゲームにはまりこむようにして、フライト中ずっと過ごしていた。無事羽田到着、こちらも好天。タクシーで渋谷へ。猫は元気だが、すでに耳が衰えてほとんど聞こえなくなっているので、帰りを聞きつけて迎えに出るということがなくなっ た。年賀状を眺めたりして、しばし過ごす。

 ネットで仕事がらみの通信数通。NHKラジオ出演の打ち合わせなどについて。その後は、年末の日記をつけることに没頭。夜は華暦に行く。“日記読んでます”メールでも、華暦に行きましたという人が多かった。女将に“ラジオ、聞きました!”と言われる。TBSのデイキャッチのことらしい。開店前にまかないを食べながらラジオをつけていたら、聞き覚えのある声が聞こえてきて、みんなで盛り上がったとか。鎌倉河岸の刺身、相変わらず美味。

Copyright 2006 Shunichi Karasawa